fate/zeroとのクロス
滅多なことでは動揺しない彼も、この事態には狼狽えざるをえなかった。
「えっと…僕を喚んだのは、おじさん?」
召喚陣の中心に立っていたのは幼い子供だった。
「…私は、おじさんと言われるほどには年を取っていないんだが」
「七歳児から見れば20を越えた男などおじさんに決まっているだろう」
子供の腕にぬいぐるみのように抱えられていた、赤いドラゴンのようなものが人を馬鹿にしたような口調でそんな事を言う。
彼は、聖杯戦争に参加するためにサーヴァントを喚んだはずだった。それも、アサシンを指定して喚んだはずなのだ。確かに、子供の姿をしていれば相手を油断させることはできるだろうが、この子供がアサシンだというのか?
「お前は、サーヴァント…なのか?」
「うん。そうみたいだよ?クラスはえっと、ドラゴン、だって」
にこり、と子供…ドラゴンは笑う。事態が理解できない。
確認できるドラゴンのステータスはいずれも低い。まあ、身体能力は見た目通りしかないということだろう。その代わり魔力は
「…
「アポロのことだね」
「我がおれば幾らでも世界は滅ぼせるぞ」
「世界を滅ぼされるのは、困るのだが」
「何で?」
彼が何か言う前にドラゴンは言葉を紡ぐ。
「アポロが世界を滅ぼせるって言った時、キレイ笑ったのに」
「…笑った?私が?…そのようなこと、あり得るはずがないだろう。私は聖職者だぞ。世界の滅びを望むはずなどないだろう」
「でも、神様は世界を滅ぼして作り直すんでしょ?キレイはそれを望むんじゃないの?」
「我には二つ程世界を滅ぼした実績があるからな。期待して良いぞ。まあ、面倒なので"後始末"はしておらぬが」
「そんな…そんなことは、ない」
彼は、手で自分の顔を押さえ、自問自答する。
そんなはずはないのだ。言峰綺礼はそんな破滅的な人間ではないはずなのだ。例え、この世界に何の楽しみも見つけられていないとしても、だからといって世界の滅びなど…
「そう?…まあ、アザゼルさんが大人は何時でも自分の思うとおりに動けなくなるって言ってたから、それかな」
「本音と建前というやつか。あのエロ親父も偶には含蓄のあることを言うのだな」
ドラゴンはただの子供にしか見えないし、アポロも動かずドラゴンに抱かれていればちょっとリアルな玩具にしか見えない。スキル構成的には、キャスターの変種にも見える。
「ふむ…まあ、アサシンが確保できなかったのは残念だが、キャスターのようなものであるのならサポートは十分務まるだろう。作戦は変更する必要があるようだが、幸いまだ練り直しをする時間はある」
師の召喚予定日までは約一ヶ月あった。早めの召喚が功を奏したと言えるだろう。
「Cランクの陣地作成とは、どの程度のものだい?」
「小規模の工房、とはありますが…」
本当に使えるものであるか怪しいと彼は思っている。
「ふむ…問題があるとすれば。単独行動Exと対魔力A+か」
規格外とも言えるその魔力の影響か、事実上ドラゴンを現代の魔術で傷つけることは不可能である。令呪による命令さえ、一画は抗える可能性もある。そして、単独行動Ex、これの意味するところは、
「ドラゴンは既に受肉している存在です。扱いは慎重にするべきかと」
「…聖杯をきちんと満たすことができれば良いのだがね」
ドラゴンが特殊なサーヴァントであることは分かりすぎる程にわかっている。
「ところで、そのドラゴンは今何処にいるんだい?」
「――キレイ、お話まだ終わってない?」
「…えっ」
時臣が思わず呆けた顔をする。
「アレがドラゴンです」
「?…僕がドラゴンだよ!キレイ、楽しそうだけど何かあった?そのお髭のおじさんもキレイのお友達?」
「…私は、綺礼の魔術の師をしている遠坂時臣だ。よろしく、ドラゴン君」
「トキオミさん、よろしく!」
にこりとドラゴンは笑う。時臣も戸惑いながら笑い返す。
「ドラゴン、この屋敷に陣地作成を使用することはできるか?」
「え?うーん…侵入者迎撃のトラップを設置するくらいならできるよ」
「魔術による警報は既にあるようだったがな。いっそ、赤外線カメラやクレイモアでも仕掛けてみるか?」
「クレイモアは効率的にどうかと思う。味方も近づけなくなるし」
「そういえば、対戦相手は
「譲渡しなくても街一つぐらい余裕だもんね」
「…街ごと壊されては困るのだが」
ちなみに混沌・善属性。秩序に拒まれたものとしての混沌属性。
アポロは混沌・悪かもしれない。