平行世界のドラゴンたち。   作:ペンギン隊長

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聖杯問答


レッドドラゴン8

 

 

「子雑種、出かけるぞ」

「ふぇ?こんな時間に?」

夕食前である。

「ライダーに誘われてな。アインツベルンの城で酒を飲みながら問答でもしよう、という話だ。貴様も付いてくるがいい」

「僕お酒飲めないし、その組み合わせってことは王様の集まりなんじゃないの」

「酒宴であれば酌を行う美童は付き物であろう。まあ、貴様は美少年とまではいかんが悪くないので許す。光栄に思うが良い」

「イッセーを侍らせるなど許さぬぞ、暴君」

「貴様の許しなど、知ったことか。王たる(オレ)の決定が優先されるに決まっておろう」

ドラゴンは小さく肩をすくめる。

「しょうがないなあ。でも王様、空きっ腹でお酒を飲むのは体に悪いんだよ。…英霊にはあんまり関係ないかもしれないけど。ライダーはそういうの気にしなさそうだし、何かお酒の肴になるものを買っていこう?僕、ピザが食べたいな」

「ふむ…よかろう。では適当にテイクアウトして持っていくとしよう」

「イッセー…」

「アポロはお留守番にする?」

「するわけがなかろう。だが、我は絶対に何があっても暴君を背に乗せる気はないからな」

 

新都の飲食店で料理を幾らかテイクアウトし、ギルガメッシュが王の財宝(ゲートオブバビロン)から取り出した戦車で彼らはアインツベルンの城に向かった。

彼らが到着した時には既にライダーは交渉を終えており、寒々とした庭にセイバーとライダーが向かい合っていた。ウェイバーとアイリスフィールもそばに控えている。

「酒宴と言うには貧相な場だな。貴様らはもてなし方というものを知らぬのか」

「おお、来たかアーチャー。お前もどうだ、駆け付け一杯」

「ふん」

ギルガメッシュはライダーから柄杓を受け取って口をつける。そして僅かに眉をしかめた。

「何だこの酒は。こんな安物しか用意できなかったのか」

「そうか?一応市場で一番いいやつを選んできたはずなんだがな」

「ふん、(オレ)が本物の美酒というものを味合わせてやろう」

そう言ってギルガメッシュは蔵から酒と黄金の杯を三つ取り出す。その後ろでドラゴンはこれだから酒飲みは、と肩をすくめていた。ちなみに酒の肴は一旦ギルガメッシュの蔵に仕舞われている。さらっと自分用のピザをドラゴンが確保して自分の収納にしまっていたりするが。

ドラゴンはウェイバーとアイリスフィールの方に歩み寄り、ピザを取り出す。

「お兄ちゃんたちも食べる?」

「え、あ、ああ…って」

自分を見て固まったウェイバーにドラゴンは首を傾げる。

「…サーヴァント?」

「うん、一応そうなるね。でも安心していいよ。マスターを殺せって指示は受けてないし…王様にも僕は人を殺すなって言われてるから」

ドラゴンはにこりと笑い、ピザを人切れ頬張りながら残りのピザを差し出した。それをアイリスフィールが一切れ受け取り、ウェイバーも警戒しつつ一切れ受け取った。

「…お前、何のサーヴァントなんだ?残りはアサシンのはずだけど…違うよな?能力的には寧ろキャスターっぽいし」

「一応、クラスはドラゴンってことになってるよ。まあ、エクストラクラス、ってやつみたいだね。ちなみに、見ての通り、今年で七歳だよ」

「…幼くして死んだ英雄、なのか?」

「ううん。僕まだ死んでないんだ。一回世界は滅ぼしたんだけどねー」

「おい子雑種、何故そちらに行っておるのだ」

「だって僕別にライダーに呼ばれてないし。邪魔しちゃ悪いでしょ?」

ドラゴンは首を傾げてみせる。

「良いからお前は(オレ)の傍に来い」

「はーい」

「アーチャー、お前の…従者(マスター)か?」

「イッセーが暴君の従者?殺すぞ人間」

「あなたは…」

「セイバーは一応面識あったよね?僕は最後のサーヴァントにして、今回の聖杯戦争で最初に呼ばれたサーヴァント、ドラゴンだよ。よろしく」

「ほう。して、ドラゴンよ、余の配下になる気はないか?」

「僕、自分の願いがちゃんとあるからパス。後、そういうのアポロが嫌がるだろうし」

即答され、ライダーは苦笑いする。

「取り付く島は、なさそうだな」

「目をつけたのは(オレ)の方が先だ。横から手を出そうとするでない、ライダー」

「それはそっくりそのまま貴様にも当てはまるのだがな、暴君」

「アポロ、僕が赤ん坊の時から目をつけてたみたいなこと言ってたもんね…」

ドラゴンはそう言って肩をすくめた後、首を傾げる。

「僕のことはどうでもいいとして、王様の格でも争うんじゃなかったの?…まあ、三人とも時代も民族も世情も違うから一概に比べられるものじゃないと思うけど」

「何を言う。当然(オレ)が最も優れた王に決まっておろう」

「王様、適才適処って知ってる?…まあ、王様は裁定者であり支配者、武力も強大で呪いレベルのカリスマ、っていうハイスペック(キング)だから大抵のシチュエーションで上手くいかせられるんだろうけど。根は賢王なわけだし」

「そうであろう?」

ドヤ顔をしたギルガメッシュにドラゴンは首をすくめる。

「王様は絶対王政の権化だから、立憲君主制とか議会王制とかになると暴君でうまくいかない可能性があるんだよね」

 

 

「例えば、セイバーの所は立憲君主制の議会制との複合でしょ。王様とはいえ、セイバーが一人で何でも自由に決められるわけじゃないし、(クラウン)よりも先にまず(ルール)がある。そして尚且つ、王と法は常に同一ではない。時代が下ってくると、立法、司法、行政の三つを完全に分業させる三権分立によって王や首長の力が抑えられるようになるんだけど、その原型と言えなくもないんじゃないかな」

すらすらとドラゴンは続けていく。

「ライダーは制度的には絶対王政の内だけど、アーチャー程には己を法として絶対化していないし、部下たちとの壁がなかったんだよね。ある意味、王というより、王や貴族なんかを取りまとめる皇帝とかの方に近いのかな。下克上も良しとしていたんでしょ」

「ああ。余と余の部下たちは同志であり盟友でもあった!余を越えようという意思のあるものがあれば、勿論受けてたったとも」

「三人とも、後世の評価は悪くないし、勿論臣下の支持も受けていたのなら、三人ともその国にとって良い王様だったんだよ。だけど、例えばセイバーとライダーが逆だったら、そう上手くいっていなかっただろうね。そうだな、ライダーは戦に明け暮れる暴君、セイバーは部下を御しきれない暗君、とかになってたかも。最悪の想定ではあるけどね」

「余は暴君か」

「暗君…ですか」

「ライダーもセイバーも己を皆の規範、目指すべき姿、形として示された目標として魅せたわけだけど、方向性が違うでしょう?えーっとね、言葉的に多少違和感があるけど、ライダーはアイドル、セイバーは優等生か模範生、ってところかな?周囲を熱狂させるライダーと、守るべき秩序を示すセイバーじゃ導き方が違うんだよ」

「まあ、要するに民や臣から求められたものが違うということだ」

アポロが一言でまとめる。

「そっちの暴君も、なんだかんだ己の敷いた法は己も含めた全員に守らせるタイプだから暴君であっても悪王ではないのだ。自分の決めた法を己の都合で安易に曲げることをせぬというのは我も人が見習うに足ることだと思うぞ」

「トカゲ風情が、生意気なことを言う」

 

「…私は、国の滅びの運命を変えることが望みです」

「…それは正気で言っとるのか、セイバー」

「己の国が滅びることを憂うことがおかしいというのか、ライダー」

愁眉を吊り上げたセイバーに対し、ライダーは苦い顔をする。ギルガメッシュは道化でも見るように面白がっている顔をしているし、ドラゴンは僅かに眉根を寄せている。

「お前さんは、王として己が成したことを後悔しとると、そういうことか。ドラゴンが後世の評価も、お前さんの臣下も、お前さんを良き王と認めておるのだと言っておったではないか」

「それは…」

「そうとわかっていながらも己の選んだ道を悔いるというなら、お前さんは最早王ではない」

 

「そういえば、そなたも己の願いがあると言っていたが、具体的にはどのような願いなのだ?」

ライダーに尋ねられ、ドラゴンは少し考える。おそらく、空気を変えるための質問だとは思うのだが、相手と質問が悪かった。

「んー…僕の願いはね、お父さんとお母さんにまた会うことだよ。二人の自慢の息子のままでね。だから、成長すれば自分で"できる"かもしれないけど、それじゃ意味がなくて、今の僕が叶えなくちゃ意味がない願いなんだ」

空気が凍る。

「…それで、聖杯に願わなきゃならんってのは、つまり…」

「ざっくり簡単に説明するとね、僕が人を救ってたことを理由に父さんと母さんは殺されちゃったんだ。だから、二人を生き返らせるか、二人が殺された時間に居合わせて、二人が殺されるのを阻止したい。単純明快でしょ?」

こてり、とドラゴンは首を傾げる。

「…戦禍の時代であれば、家族・友人を喪うことは珍しくない話とはいえ…」

「人を救ってたってのは、具体的には何をやっておったのだ」

「まあ、色々。人体実験されてた子供に抗うための力を与えて保護させたり、病人や怪我人を治したり、スラムの子供たちにインスタントにだけど自分でまっとうに稼ぐ術を身につけさせたり、単純に困ってる人たちの相談に乗ってみたり…それで、一部で"紫の瞳の救済者"とかって評判が広まってたらしくて…"人の身で救済者を名乗るのは傲岸だぞ異端者め!"って勢力と、"そんな優秀な人材なら現在の保護者から引き離して囲い込もう"って勢力の二つの過激派が偶々(・・)同日に家に襲撃をかけてきて…全くの一般人で何も知らない父さんと母さんが殺されることになったんだよね。丁度僕とアポロは家にいなかったんだけど」

「…それは、そなたにも両親にも特に非はなさそうだな」

「まあ僕、その後そいつらごと世界滅ぼしちゃったから、あんまり人のこと悪く言えないんだけどね」

 

 

ドラゴンは薄く笑みを浮かべている。だから、セイバーは彼の発した言葉を聞き違えたと思った。

「ええと…今、世界を滅ぼしたなどと聞こえた気がするのですが、私の聞き間違い、ですよね?」

「ううん、聞き間違いじゃないよ。この世界から見れば平行世界にあたる世界を僕とアポロは滅ぼしたんだ」

「我が本気を出せば世界の一つや二つ、簡単に滅ぼせるということだな」

アポロはふふん、と鼻を鳴らす。

 

「子雑種」

ギルガメッシュはドラゴンに杯を差し出す。ドラゴンは大人しくそれを受け取って飲み干す。潔い飲みっぷりだったが、その中身は例の酒だった。

「道化を演じようというのであれば笑え。でなければ無理におどけようとするでない。笑えぬ道化など痛々しいだけだ」

「…ひっく」

ドラゴンの気配が緩む。制御が緩み、魔力も漏れる。

「…おい暴君、イッセーに何を飲ませた」

(オレ)の蔵にあった酒だが?」

「子供に酒を飲ませるでない」

「…ふふ、ふふふ…」

ドラゴンはふわふわと笑みを浮かべる。それを見てアポロはあっさり前言を撤回した。

「可愛いは正義!」

「まあ、子供は笑っているのが一番であろうな」

「…だからといって、幼子に酒を飲ませるのはどうなのでしょう…」

「良いではないか、無理に飲ませているわけでもないのだしな」

「うるせえ、酔っ払いどもが。てめえの頭で鏡割りしてやろうか」

ドラゴンの口から飛び出した暴言に一同は動きを止めた。ドラゴンはアポロの尾を掴んで放り投げる。

「そーれっ」

「ぶふぉっ?!」

「ストラーイク!」

アポロはワインの入った樽に頭から落ちた。ドラゴンは楽しそうにからからと笑っている。どうやら、酔ったことで理性が何処かへ行ってしまったようだ。

「そのまま酒に溺れとけあんぽんたん」

ドラゴンの左手に現れた籠手から光弾が発射され、酒樽にあたる。ワインが噴水のように溢れて飛び散った。当然、近くにいたライダーたちにもワインが降り注ぐ。

「…アーチャー、ドラゴンは酒を飲ませちゃならんタイプの人間だったんじゃないか?」

「うむ…(オレ)もまさか、こやつの酒癖がここまで酷いとは思わなかったぞ…」

「そのようなことを言っている場合ですか。…ドラゴン、食べ物で遊んではいけません。無駄にするなど以ての外です」

「僕、食べ物で遊んでないよ。だってアポロは食べ物じゃないし、煮ても焼いても美味しく食べられそうにないもん。非常食にもならないと思う」

「いえ、あなたはワインに対して何か(・・)したでしょう。それが余計なのです」

「あれはワインの体積にえーと、三回?倍加して、減ってたの増やしただけだし。ちょっと増やしすぎたかもしれないけど」

「倍加?…ドラゴン、もしやあなたは…」

「何だ、ドラゴンは酒が増やせるのか。だったら、ほれ、アーチャーの酒も増やしてみんか?」

「貴様、何を無粋なことを…」

「んー、それも増やすの?」

ドラゴンの放った光弾により、酒が倍になる。

「うぐぐ…イッセーには、二度と酒は飲ませぬぞ…」

やっと復活したアポロがよろよろとドラゴンのところに戻ってくる。

「うっわ、アポロ酒臭っ」

「そなたが我をワインの中に放り込んだのであろう…」

「だって、アポロだけ完全にシラフじゃつまらないでしょ?」

「我はちょっと飲んだぐらいでは酔ったりせぬがな…」

「えー、じゃあ、アポロがどれぐらい飲んだら潰れるのか、試してみたいなー」

「?!」

「貴様本当は子雑種に嫌われているのではないか?」

ギルガメッシュが腹を抱えて笑いながらアポロを指差す。アポロはファイアボール(小)をギルガメッシュに向かって吐きかけた。

「我が、イッセーに嫌われているなどということがあるわけがなかろう!」

ギルガメッシュは火球を軽く避ける。

「まあ、酔うとタガが外れる人間もおるからな…」

「まあ、大切にされてはいないでしょうが…」

「どうなのだ?子雑種」

「イッセーは我のことが一番好きであろう?」

「僕が一番好きなのはお父さんとお母さんだよ。アポロとドライグはその次」

ぷー、とドラゴンは口を尖らせる。

「一番はお父さんとお母さんだもん。…お父さんと、お母さん…おとーさん、おかーさん…ふぇえ」

すぐにドラゴンの瞳から大粒の雫が溢れ出す。アポロはそれにぎょっとして宥めようと試みる。

「イ、イッセー?!そんなに泣いては目が腫れてしまうぞ」

「アポロ酒臭いもんやーっ」

「!?」

ボロボロ泣きながらドラゴンは両腕を振り回す。スキル・竜哭が発動したことで大気が騒めく。竜の因子を持つセイバーも、酷く落ち着かない気持ちになってドラゴンを宥めにかかる。

「ドラゴン、心配してくれたものにそのようなことを言うものではありません。あなたも心配した時に邪険にされては悲しいでしょう?」

「心配なんてしてないもん、狼狽えて、嫌がってるだけだもん」

「うぐっ…」

「…図星なんですか?」

「うー…」

 

 

散々泣いて暴れた後、疲れたのかドラゴンは電池が切れたように眠り込んでしまった。セイバーが膝枕をするような形になっている。

「…やはり、感情のままに動く子供の相手は難しいですね」

『…いや、今回は感情のままに動く子供というより、酒癖の悪い酔っ払いだろう。相棒は元来、自制心の強い子供だからな』

ドラゴンの左手の赤い籠手から響いた低い声に、セイバーは瞠目する。

「…ドライグ、ですか?」

『ああ。久しいな、アーサー。お前が何故"そのような状態"でこの場に居るのかは知らないが…というか、先程の願いというのは本気なのか?』

「…本気ですよ。あなたも、私の願いがおかしいと言うのですか」

『あれは、お前自身と、お前を信じてついていった臣下や民を否定する願いだろう』

「それでも…カムランの丘の結末は、けして良いものとは言えません」

『…アレを変えるには、モードレッドを消すか、反乱を起こさせないか…否、相棒の言っていた世界の修正力、ジェイルオルタナティブとバックノズルというものを思えば、時期がズレるだけか、他の者が同じことをするという可能性も…しかし、だからといってそれを警戒して粛清などを行えば矢張、国が滅ぶ結末しか…』

うむむ、とドライグは唸る。

「…モードレッド、は」

セイバーは口篭る。

『アレはアレなりにお前を慕っていたんじゃないのか。…結果を見るとヤンデレっぽいが』

「…私は、あの子を恨んではいません。それに、ランスロットのことも…」

『…それが、あいつらにとっては逆に辛いんじゃないか?』

「え?」

『悪いことをしても咎められないのは、けして良いことではない。…裏切りに対して、咎め立てをせずに許されるというのは、心情としても辛いだろう。それは、償う機会を与えられぬということでもあるからな。咎められる、罰を受けるということは、逆に言えば贖罪の余地を与えられるということでもあるのだ』

「…それを、丘に至る前に教えていただきたかった」

『残念ながら、当時の俺にはわからなかったことだ。人の中で、人を見続けた今だからこそ、理解できたことだよ』

「そう、ですか…」

セイバーは天を仰ぐ。

「だとすれば、私の間違いは、王として、人であることを放棄しすぎた、というところでしょうか」

『そんなお前だから導けたものもあるのだろう。相棒も言っていたが、どのような状況でも当てはまる、正しい王の形などないのだ。確かに、もしかしたら、もっと良い選択肢があった可能性もあるだろう。だが、それは今のお前が手に入れたもの、救えたものを捨てる道であるかもしれない。…あまり喪ったものばかりを悔やむな。アーサーは確かに、民に慕われる良き王だったということも真実なのだから』

「ドライグ…」

『…それに、強くてニューゲームは存外恐ろしいものだぞ。同じ難易度で行えるとは限らないし、強制的に難易度が跳ね上がる場合もあるからな…』

「…何を言いたいのかよくわからないのですが…」

セイバーが訝しげな顔をした時、アポロが二人の前に転がってくる。

「いてて…む?いつの間にイッセーは眠ってしまったのだ?全く気付かなかったぞ」

「ん?もしや貴様は加わっていなかったのか、セイバー」

「何だ、ドラゴンはいつの間にか潰れとったのか。道理で、途中から獲物の動きも増え方も鈍っとったわけだ」

ライダーとギルガメッシュの手には戦利品とおぼしき幻獣(低ランク)の骸がある。酒の席の余興代わりに狩っていたらしい。まあ、彼らの時代に狩猟は日常の延長程度の行為だろうが。

 

王様トリオが散々飲んで騒いで解散したのはもう日付も変わろうという時刻だった。行きと同じく戦車を使い、ドラゴンとアポロを小脇に抱えてギルガメッシュは上機嫌で遠坂邸に帰り着く。

帰ったギルガメッシュが見たのは、お葬式状態の時臣と鉄面皮の癖に何やら楽しそうな雰囲気を醸し出している綺礼だった。つつくと楽しそうではあるものの、何故か宴の余韻の楽しい気分が台無しにされるという虫の知らせが来たので、ギルガメッシュは二人をスルーすることにした。

すっかり酒臭くなっているアポロはバスルームに放り込み、自分も軽くシャワーを浴びてラフな格好に着替える。ドラゴンは完全に熟睡している。

 

「何故か昨夜何があったかよく思い出せないけど、今日はすごく調子がいい感じだよ。もしかして、此処最近で一番調子がいいかも」

『…まあ、アレだけ思いっきり笑って哭いて暴れてとすればストレスも大幅に解消されるだろうな…』

ぼそりとドライグが呟いた言葉にドラゴンは首を傾げる。二日酔いでもしているのか、アポロはグロッキーな顔で悲壮な声を出した。

「イッセー、そなたはもう酒を飲まないでくれ…」

「お酒?この国だとお酒は二十歳になってから、だよ?」

国や時代によって飲酒が許される歳は変わってくるが、大概は成人しているかどうかが一つの指標である。

「適度な量であれば良いのではないか?…まあ、(オレ)も暫くはやめておく方が無難とは思うが」

「いや、そもそも僕別に自分から積極的に飲む気はないんだけど。別にお酒好きってわけじゃないし」

『子供の内から酒の味を覚えるのはどうかと思うが…』

 

 

 

 

 




お酒は20歳になってから
ちなみにドライグはセイバーの女としての名は知らないと思われる
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