平行世界のドラゴンたち。   作:ペンギン隊長

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暗躍回


レッドドラゴン10

 

 

 

「…ドラゴンなら此処にはいないが」

「いや。今日はお前に用があってきたのだ」

「私に用、だと?」

綺礼は思わず胡乱な顔になってギルガメッシュを見る。

「そうだ。言峰綺礼、時臣の協力者でありドラゴンのマスター、ということになっているお前に、(オレ)は用があるのだ」

「・・・」

綺礼は無言でギルガメッシュを見る。ギルガメッシュはそれをニヤニヤと見つめ返した。

「…一体、何の用だというのだ、英雄王。お前は私などには大した興味はないのだと思っていたのだが」

「優先順位の問題だ。お前は時臣よりは見込みがあると思っていたとも。…ドラゴンは完全に"壊れる"か"壊れない"かの瀬戸際というところだった故、優先して構ってやっていたが」

「…私に一体何の用だ」

睨むようにして綺礼はギルガメッシュを見る。

「お前は本当にドラゴンのマスターなのか?」

「…何?」

綺礼の手の甲に刻まれた三画の令呪にギルガメッシュは目をやる。

「成程、確かにお前はアレとパスが繋がっているし、令呪も持っている。だが、お前はアレにマスターとして扱われているか?」

「・・・」

「お前は令呪を用いてでもアレに言うことを聞かせることができるのか?」

「…アレは基本的に(マスター)の補助は必要ない上に。さして問題行動は起こさん」

本来であれば魔法に近いレベルの大魔術である空間転移でさえも令呪の補助なしに行えるのである。令呪を使用する必要のある状況などそうそうない。また、その対魔力の高さから令呪の強制に一画なら抗えるのではないかと思われるため、できる限り温存しておきたいというのもある。

「それは本当にお前の判断か?」

「何だと?」

「アレの精神誘導スキルは規格外…この(オレ)でさえ、油断すれば流されてしまうレベルだ。それを凡人のお前に抗えるとでも思うのか?」

「・・・」

 

ドラゴンは綺礼から魔力の供給をされていない。だから、そのことに直ちに気づくことはできなかった。

「…あれ、何かパスが変…?」

「何か問題でもあったか、イッセー」

「うーん…まあ、別に大丈夫なんじゃない?僕は別に困らないし」

ドラゴンが綺礼の存在に依存しているのは、この地に留まるための依り代として、程度の話でしかない。本人が特に逆らう必要性を感じていないというだけで、唯々諾々従おうというつもりは元よりない。

そもそも、人がドラゴンを従えようというのが間違っている。竜とは、幻獣の内でも最も強い者。只人にコントロールできるような存在ではないのである。

「しかし…念の為に気をつけるくらいはしておくべきではないか?仕組みはわからぬが、この地の聖杯は勝ち残った者の願いのみを叶えると聞く。アーチャーは元より、パートナーと争うことになる可能性もあるのだからな」

「キレイの立ち位置もよくわからないもんね」

教会と協会、代行者と魔術師は相容れないものだという知識がドラゴンにはある。にも関わらず、綺礼は神父であり代行者でありながら魔術師の弟子となった。それは、普通に疑わしい経歴である。何某かの思惑、盟約のようなものがあるのか。今のところその程度の予想しか出来ていない。

「できれば、穏便に終わらせたいけど…」

ドラゴンは、願いを譲るつもりはない。おそらく、これが唯一のチャンスであるのだから、譲る理由がない。そもそも、大抵の願いであれば、彼自身かアポロの力で充分叶えられる。できないのは余程特殊な場合くらいだ。…他者の願いを積極的に叶える理由もない。ドラゴンたちがその能力で他者の願いを叶えることはないだろうが。

「しかし…まだ、一陣営しか落ちておらぬであろう?ここらで一つ、何かしらの行動が必要ということではないか?」

「っていっても、できることってあんまりないじゃん?アポロのブレスは派手だから街中では自重しなきゃだし、対魔力系スキルのあるサーヴァントばっかだから魔術ってあんま効果なさそうだし。肉弾戦とか論外だし」

ドラゴンは身体能力的には何らかの方法で強化を行わなければ見た目通りの幼い子供のものでしかない。特に高い戦闘技術があるわけでもない。戦うことが得意ということはけしてないのである。アポロとて、(本来の)素の能力がずば抜けているというだけで、戦うことが得意なわけではない。強いて言えば、どちらも圧倒的な力で蹂躙するタイプなのである。

 

 

 

 

 




ランサー脱落の裏側ぐらいのタイミング
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