俺は春の道を歩いていた。道の端に桜が咲き乱れている。とても綺麗だ。桜は咲き乱れているより散っていく姿の方が綺麗だと思う。
「おはよう、彩樹」
「あ、どうも西村先生」
西村先生。鍛え上げられた筋肉と人間離れの身体能力。それゆえ召喚獣と生身で戦える(らしい)。
はっきり思う。本当に人間と呼んでいいんだろうか?
「おい、彩樹。今失礼なこと考えなかったか?」
「いえ、滅相もない」
更には読心術まで使えると来た。本当に凄い。
「彩樹、お前の実力ならAクラスはいけたんじゃないか?」
「面倒くさかったです」
「よし、歯をくいしばれ」
何故だ。俺は正直に答えたぞ。何故殴られるんだ。
「まあ、冗談だ」
冗談かい。
西村先生は封筒を渡してくる。
「何故こういう渡し方をするのか聞いても?」
「この学校は世界でも注目されている学校だからな。」
「ああ、そういう事ですか。」
そう言いながら俺は封筒を開ける。
『 彩樹天龍 Fクラス代表補佐 』
俺の学園生活が始まった。
「・・・。」
俺はAクラスの教室を見ていた。
「金掛けすぎだろ」
豪華だ。豪華すぎる。こんなところに予算を使うんだろう。
『では、代表。前に出てください』
ん?あれは霧島翔子か。学年主席になったのか。去年クラスメイトだったがほとんど話さなかった。
・・・どうでもいいか。
そう思いながら俺はAクラスを後にした。
「………。」
誰かに見られている気がした。
~Fクラス前~
「・・・。」
噂程度にしか聞いてなかったがこれはひどい。どうやら生徒に期待するしかなさそうだ。俺は障子を開けようと手をかける。
ガッ ←障子がつっかえた音
・・・。
ドギャァッ ←蹴とばした音
「おはy「早く入れ蛆虫野郎」」
直後、俺はその赤い男に飛びかかった。だが目標がよけたために黒板を殴る羽目になった。
「おい、どうしてくれる。黒板にひびが入っただろうが」
「お前のせいだろ!つか、殺す気か?!」
「そのつもりだったが?」
「鬼か?!」
それは褒め言葉ととらえておこう。
「おはようございます」
「おう」
「お、明久。お前はもちろんFクラスだと信じてたぜ」
「もちろんって何さ!」
こいつが吉井明久か。
「担任がいるぜ?」
「え?」
なんか貧弱そうな先生がたっていた。確か古典の何チャラ先生だっけ。
「皆さん、席についてください」
「「「へ~い」」」
「そこの赤モヒカン。座席表は?」
「席?自由だぞ?」
席さえ決まってないとはどういうことだ。
そんなことを思いながら俺は座布団に座った。座布団の空気が抜けた。ひどいな、ここの設備。
「私の名前は…、福原慎です。」
どうしたんだ?黒板と向かい合ってすぐにこちらへ身を翻したが。
(何で振り向いたんだろう?あの先生。)
(見たんだがチョークの粉しかなかったぞ?)
俺は赤ゴリラと学園壱の馬鹿の会話が聞こえてきた。これはひどい。
「この設備に不満がある人は手を挙げてください」
不満が無い奴なんて普通はいないと思うがなw
「先生、座布団に綿がほとんど入ってません」
「我慢してください」
ゑ?
「先生、隙間風が寒いです。」
「後でビニールテープとセロハンテープを渡しますので我慢してください」
うわ…。
バキャンッ
突然俺の卓袱台の足が折れた。
「先生、ちゃぶ台が折れました。」
「我慢してください」
「できるか!」
「冗談です。足が折れたならばボンドで接着し、本体が折れたなら技術室で新しく作ってください」
おう・・・。
「ちなみに家から持ってくるのは大丈夫です」
ほう、良い事を聞いた。
「では自己紹介を始めてください。窓際の方から」
~略~
「木下秀吉じゃ。」
ん?演劇部のホープか。
「後、わしは男じゃからな」
そう釘を刺しても容姿のせいで男か女かわからん。
「なんだって?!」
「待て!あいつは男とは言ったが女とは言ってない!つまり第3の性別『秀吉』だ!」
『それだ!』
「わしは男じゃ!!」
第3の性別なんてあるわけないだろ、ファンタジーじゃあるまいし。
本当に馬鹿の集まりだな。Eクラスに行けばよかった。
「…土屋康太。」
短いな。
「私の名前は島田美波です。趣味は吉井明久を殴ることです。」
「それは趣味とは言わん。理不尽な暴力だ。」
俺は忠告しておく。
「何よ!あんたに何が解るのよ!」
「一般常識」
「www」
赤ゴリラが声を殺して笑う。
「島田さん、次にいけません。」
そう言われると暴力女は渋々と座る。
「吉井明久です。どうか一年間よろしくお願いいたします。」
意外と礼儀正しいな。
「俺の名前は彩樹天龍。趣味は料理だ。」
そう言いながら俺が座ろうとしていると
ガラッ
障子が開いた。
「遅れてすいません!」
「いえ、ちょうど自己紹介していたので姫路さんどうぞ。」
「はい!姫路瑞樹といいます!一年間、よろしくお願いしまひゅ!」
噛んだな。自己紹介が終わると、姫路は吉井に近づいていく。ついでに座席はこんな感じだ。
廊 明久 赤ゴリラ 俺
下 暴力女 ピンク モブ
土屋 モブ モブ
木下 モブ モブ
「質問です」
「はい」
「何でここにいるんですか?」
失礼な質問の仕方だな。
「えぇ~と、試験の日に高熱が出ちゃったので。」
つまり体調管理を怠ったのか。自業自得だな。
『そういえば俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに』
『ああ。化学だろ?アレは難しかったな』
『弟が事故に遭ったと聞いて実力を出し切れなくて』
『黙れ一人っ子』
『前の晩、彼女が寝かせてくれなくて』
『一番の大ウソを有難う』
バカだコイツら。
「緊張しました~」
「姫路」
座った丁度に大男が話しかける。
「は、はいっ。何でしょうか?えーっと…」
「坂本だ。このFクラスの代表だ。よろしく頼む」
代表だったのか、コイツ。
「あ、姫路です。よろしくお願いします!」
「一つ聞いておきたいんだが、もう体調は大丈夫なのか?」
「あ、はいっ。一時的な熱だったので、もう大丈夫です」
「そうか、ちょっと確認しておきたかったんだ。すまんな」
「僕も気になってたんだ。」
「よ、吉井君?!」
「スマンな、明久が不細工で」
「いえ、そんなk「大丈夫だよ、それくらいじゃ傷なんてつかないからね」・・・え?」
意外と精神はタフだったようだ。
さてと・・・。
「おい、ピンク」
俺は愛称を姫路に付ける。
「ピンク?!」
観察処分者が俺に食いつく。
「何だ、吉井。」
「もうちょっといい名前が無かったの?!」
「ない」
あるわけなかろうに。
「そこ、静かにしてくd」
そう言いながら教師が机をたたくとバキィと音を立てて崩れていった。
「替えを取りに行ってきます。」
そういいながら教師は教室を出て行った。
「ちょっと来てほしい」
と、吉井が俺に話しかけた。
「あんだよ」
「廊下で話したい。」
「ほう、面白い話じゃなきゃあ殴るぜ?」
吉井は不安そうな顔をした。
Fクラス前
「で、話は?」
「此処の設備、酷いと思わない?」
「ああ」
「まぁな」
俺と赤ゴリラの意見が一致したのは気に食わないが、まあいい。
「だからさ、姫路さんに支障が出ると思うんだよ」
「ああ、つまり御人好しなお前は姫路をAクラスの設備で授業を受けさせたいってわけだな。」
「雄二、よく解ってくれたね。彩樹さんは?」
うむ…。
「却下」
「「はぁ?!」」
「なんで?!」
「まずだ」
と俺は一つ人差し指を立てる。
「姫路みたいなやつがAクラスにいるかもしれんだろ。寧ろ多いと思うが?」
「ああ、そうか」
「赤ゴリラ、なんかいい案はねぇのか?」
「お前どういう階級だよ」
「Fクラス代表補佐だ」
「は?」
「代表補佐だ」
「お前が?」
「ああ」
「明久は?」
「僕は『秘書』だね。」
「お前に秘書が務まるのか?」
「失礼だね!」
「ヘイヘイ。で、赤ゴリラ。」
俺は呼び掛ける。
「何だよ?」
「てめぇ、代表だろ。」
「何故わかった。」
「さっき自分で言ったろうが」
その時、少し古ぼけた教卓を持って先生が帰って来た。
「おっと、先生が来たようだな。戻るぞ」
俺達は教室に撤退した。
~天龍サイドアウト~
次回は雄二サイドです。