~天龍サイド~
「どうしようもないな、あのバカどもは」
と代表が溜息交じりに言う。
「俺もそう思う」
と須川が言った。
「どうした、須川?追いかけないのか?」
代表が訊く。
「FFF団は脱退したからな。それよりもこの紐をといてくれないか?」
「ああ、わかった。」
と返事しながら俺はナイフで須川のロープを切る。
「どうして束縛されてたんだ?」
「いや、佐藤とお弁当交換しただけなのにあいつらにつかまったんだ。」
「本当に油断ならないな。」
代表が言った。俺は一応女子だが覚えておこう。
「で、土屋は何故?」
「・・・工藤と一緒に登校してたら…。」
は?
「それだけで?」
「・・・それが奴らだ。」
マジで呆れるしかない。
「木下はいつも通りか。」
「?」
「お前ら、まじめに自習n・・・どうしてお前ら以外いないのだ?」
あ、西村先生。
「ああ、鉄人」
「西村先生と呼べ」
とか言われながら代表が拳骨をくらわされる。ヒュ~、いて~。
「・・・西村教諭。実はこういうことがあって・・・。」
~木下説明中~
「・・・ということなのじゃ」
「全くあのバカどもは・・・。」
西村先生も呆れて溜息をついていた。
「此処は俺達に任せてもらっても大丈夫ですか?西村先生。」
「・・・ああ、彩樹に免じて任せる。」
やったぜ。
「で、話変わるんですけど」
「なんだ?」
「フランは?」
「今日も欠席らしい。」
そう言うと西村先生は教室から出て行った。
「フラン、欠席多いな・・・。」
病弱なのか?
そんなことを思いながら俺はさっき吉井が落とした雑誌を拾う。題名は『HUMITUKICONNECT』とある。どうやら第24号らしい。
ったく・・・。
「こんなのどこで発行するんだか・・・。」
「新聞部が発行してるらしいぞ?」
アイツらは掲示板の仕事だけしてろ。
そんな事を思いながら1ページ目を開ける。
『彼氏にしたい男子生徒ランキング
第一位:吉井明久
第二位:坂本雄二
第三位:彩樹天龍
第四位:土屋康太
第五位:須川亮 』
どうやらここには一位から五位までしか書かれていないようだ。
・・・ん?
「何故俺の名前が書かれているんだ?」
「え?あ、本当だ。」
「・・・勘違い?」
ありえそうで怖い。去年なんか女子から大量のバレンタインチョコもらったし。
「あ、俺5位なんだ」
「・・・まさかのベスト5入り」
俺達は少しばかりその雑誌を読み進める。
そしてあるページで手が止まった。
そのページにはこう書かれている。
『姫路瑞希の思い人に送るおいしい肉じゃが講座(DVD&Blu-ray講座付き)』
特典映像つきなんて手が込んでるな。・・・いや、そうじゃないか。
「・・・おい、これ。」
と代表が言いかけてくる。
「・・・言うな、言わないでくれ・・・!」
土屋が少し震え始める。あの時のトラウマか・・・。
「で、でもよ!」
と須川が言いかける。
「ふ、普段姫路さんがどんな劇薬を入れてるか知りたくないか?!」
・・・成程、多少は対処しやすくなるか・・・。
「そ、そうじゃのう。せっかくじゃし、見てみるかのう。」
「・・・そうだな。しかも映像特典付きか。こっちの方が読むより早いな。」
とかいいながら俺はバッグからブルーレイを取り出すとそのDVDをセットした。
「「「「「・・・。」」」」」
俺達は真剣に画面を見る。
『姫路×吉井の女子ごはん』
まず最初のテロップがこれだ。
・・・ゑ?
「おい、天龍。さっきのテロップをもう一回見せてくれ。」
「ああ」
少し巻き戻す。
『姫路×吉井の女子ごはん』
・・・ああ。
「あいつ、くわされたのか…。」
「あの時、心肺停止してたのはそのせいか…。」
「・・・天龍がいなかったらヤバかった。」
「AEDが効かなかったしのう…。」
「天龍が思い切り鳩尾を殴ったからな。」
殴ったのは賭けだったがな。
音声が流れる。
『作って楽しい、食べて楽しい姫路の女子ごはん。今日のメニューはあの人の舌もとろける特性肉じゃが。これを食べたらほかの肉じゃがを食べられること間違い無し。』
「物理的にな」
「「「「うんうん」」」」
『トラウマになること保証付き。』
料理食ってトラウマになること自体おかしい。そして保証するな。
『では、食材です。』
「「「「「(ゴクリ)」」」」」
俺たち全員固唾をのんだ。怖いかって?もちろんです、ピンクですから。
『まず材料はじゃがいも4個、玉ねぎ1個、しらたき1玉、牛肉200g、グリーンピース大さじ4、しょうゆ大さじ4に、みりん大さじ3、食塩小さじ1、水2カップに隠し味です。』
「あれ?」
「普通・・・だな」
材料は普通だな。・・・隠し味ってなんだよ。
「隠し味ってなんだよ」
どうやら代表も同じことを思ったようだ。
『まず下ごしらえとして皮をむいたじゃがいも、玉ねぎと牛肉を適当な大きさに切ります。
お鍋に油をひいて、玉ねぎを透明になるまで炒めます。
そのあと、牛肉、じゃがいも、しらたきを加えてさらにいためます。
ほどよく炒めたら、水、砂糖、しょうゆ、みりん、お塩をいれて、よく煮込みます。』
「普通だ」
「「「「うん」」」」
『ほどよく煮込めたら、ここで隠し味です。』
全員に緊張が走る。
『濃硫酸45CCを加えます。』
「「「「「?!!!」」」」」
馬鹿じゃねぇの?!馬鹿じゃねぇの?!!
『これにより、じゃがいもに含まれるデンプンが活性分解をおこし、単糖類にかわり甘味がまします。」
ない。絶対ない。
『仕上げに、しっかり煮込んだ肉じゃがの火をとめて、隠し味にクロロ酢酸を加えます。
さっぱりした酸味が食欲をそそりますよ。』
・・・肉じゃがに酸味って必要だったか・・・?必要かもしれないがクロロ酢酸はおかしいだろ。
『このとき一緒に防腐剤として硝酸カリウムを入れましょう。美味しさが長持ちし、お弁当にも喜ばれます。』
絶対に喜ばれないな。防腐剤なんて毒だろ。
『最後によく掻き交ぜてから、もう一度強火で煮込みましょう。これで完成です。
コツとしてはのんびりしていると、鍋まで溶けてしまうので素早くガラス食器に移しましょう。』
「何故鍋が溶ける事態になるんだよ!」
須川が少し大きな声で言う。全くその通りだ。
・・・・・・・・・・いや、待てよ。
1:濃硫酸が加水分解すると炭素が出てくるから灰になる。
2:濃硫酸は脱水作用も引き起こす。
3:そもそも塩酸と硝酸が混ざると「王水※」になる。
4:結論として食った人は死ぬ。
※王水とは・・・
金さえ溶かす強力な劇薬。プラチナも溶かすことが出来る。
・・・よし。
「ちょっと姫路探してくr(ガチッ)離せ、代表!」
「おい、待て。試食シーンがまだだろうが!」
「結果なんてもうわかりきったことだろうが!」
「明久は大丈夫かもしれんだろ!」
「絶対ねぇよ!」
『では、試食していただきましょう。』
「「「「「・・・。」」」」」
『ガタン カランカラン ドサッ』
まあ、そうなるな。
プツン
俺はブルーレイを切る。
「・・・姫路探してくるわ」
「・・・俺も協力する」
「そのためにはまず明久をかくまわないと」
「スピードが命じゃ、短時間で済ませよう。」
俺達は明久を探しに行くことにした。
活動報告にバカテストを掲載します。
皆様、興味が向いたら、ぜひ回答してみてくださいね?