~天龍サイド~
「ゼェ・・・ゼェ・・・」
死ぬかと思った。マジで死ぬかと思った。あの人、更に胸が大きくなってやがる。あともうちょっとで死ぬところだった。
「愛宕さんは・・・?」
「どっかいったぞ」
俺はほっとするとすぐさま立ち上がる。
「さて、てめぇら!」
と代表が言う。
「準備だ!」
そこにピンクが割って入る。
「み、皆さん!頑張りましょう!!」
『オー!!!!』
ただ、その準備が後で難航するとは誰も思っていなかった。
~吉井サイド~
僕らは唖然と見ていた。理由がある。僕らの目の前にはえぐいものがあったからだ。
畳の裏が腐ってて蟲が湧いていたのだ。
もちろん女子は気分を悪くしたし(彩樹さんや鈴谷さん、フランさんを除く)、男子だって気持ち悪がっていた。つまり、これはどういうことか。今教室には僕と雄二と彩樹さんと秀吉とムッツリーニ、鈴谷さんフランさん。そして須川君しかいないのだ。
「天龍、どうにかできないのか?」
雄二が彩樹さんに尋ねる。
「無理言うな。俺は何でも屋じゃないんだぞ?」
そりゃあそうか。
「じゃあ、どうするんだ?」
「(スッ)」
彩樹さんは無言でスマホを取り出した。
「どこに連絡するの?」
「業者に」
しばらくした後、業者さんが来てくれて見事に修復してくれた。
~天龍サイド~
ピンポンパンポーン
『2年Fクラスの坂本雄二、吉井明久、彩樹天龍は今から速やかに校長室に来なさい。』
「お前何かしたか?」
「何故俺に聞く。吉井が怪しくないか?」
「僕は何もしてないよ?雄二、何かやらかした?」
「俺は何もしてねぇぞ!」
どこの口が言うんだか・・・。
「まあ、こんなことしても何も進展しないし、行くか」
俺達は校長室へと向かった。
『……賞品の……として隠し……』
『……こそ……勝手に……如月ハイランドに……』
学園長室の前まで俺達三人が来ると、扉の向こうから誰かが言い争っている声が聞こえてきた。
「・・・どうする?」
「帰るか」
俺はUターンして帰ろうとすr(ガシッ)
「おい、放せ」
「お前も一緒に行くんだよ。」
「付き合えるか。俺は帰るぞ」
「失礼しまーす!」
吉井は勢い良くドアを開ける。お前は自重ってもんを知ろうな?
「本当に失礼なガキどもだねぇ。普通は返事を待つもんだよ」
「すいません、ウチの連れがここまで馬鹿で」
「ちょっと!それどういう事さ!彩樹さん!」
校長室にいたのは長い白髪が特徴的な藤堂カヲル学園長と鋭い目つきとクールな態度の竹原教頭だった。
俺は竹原教頭の事は快く思ってないが・・・。
「やれやれ。お取り込み中だというのにとんだ来客ですね。これでは話を続けることもできません。……まさか、貴方の差し金ですか?学園長」
とか言いながら竹原教頭は学園長をにらみつける。
「さあね、ご想像にお任せするよ」
さすがだ、学園長。クールにスルーしていらっしゃる。
「・・・では、失礼させて頂きます。」
竹原教頭は観葉植物を一瞥した後、校長室を出て行った。・・・ああ、あれか。
「で、名前は?」
と学園長が聞いてくる。
「ええ、私は彩樹天龍と申します。で、こちらの大男が坂本雄二。もう一人のいかにも馬鹿そうな顔をしたのが吉井明久です。」
「彩樹さん、酷いよ!」
うるせぇ。
「ほう、A級戦犯に観察処分者二人か。気が変わったさね、聞いてやるよ。」
どっかの悪役だろ、その口調にその態度。
「えー、学園長。俺達のクラスの設備についてなんだg」ドグッ
俺は代表の鳩尾に裏拳を叩き込んだ後、腰に装備してあるサイレンサーを引き抜き、叫ぶ。
「お前ら、耳をふさげぇ!」
その直後、俺はサイレンサーの引き金を引く。
其処から放たれた弾丸は一直線に観葉植物の根元に到達した。
「何するさね?!」
「盗聴器が仕掛けられていたので破壊しただけです。」
「・・・本当かい?」
「だったら確認すればいいでしょう?」
学園長は観葉植物を確認する。
「!本当さね!また借りが出来ちまったね。」
「それは返さなくていいです。それよりも学園長。この写真を見てください。」
俺は学園長に一枚の写真を提示する。
「何さね?」
「これは土屋康太が撮影したFクラスの畳の裏です。見事に腐っている上に蟲が湧いております。」
「本当さね。で、どうしたいんだい?」
「業者にかかった経費を俺達の収入で払う代わりに、俺達に試験召喚大会の科目を決めさしてほしいのです。」
「・・・いいさね」
「有難うございます、学園長」
「だが」
何かあるのだろうか?
「吉井に坂本、そして彩樹の三人は誰とでもいからペアを組んで絶対に参加し、優勝することが条件さね」
は?
「何故です?優勝せずとも景品はもらえるのでしょう?」
「確かにもらえるさね。だが、この内容を見てみな。そして座りな。」
と学園長が紙を突きだす。俺はそれを受け取ると座って内容を見る。吉井や代表も隣から覗き込むようにしている。
「えっと・・・、優勝が『黒金の腕輪』に『白銀の腕輪』で・・・・、準優勝が『如月グランドパーク プレオープンプレミアムペアチケット』・・・・。最後に準々優勝が『食堂タダ券1年分』・・・。」
吉井が読み上げる。そして顔を上げながら学園長に尋ねた。
「これのどこに問題があるのですか?」
「その準優勝の景品が問題なのさ。それについてよからぬ噂を聞いてねぇ。なにやら『ここを訪れたカップルは幸せになれる』に基ずくモノさ」
「「「?」」」
次の発言が吉井と代表を本気にさせることなどその時の俺にはわからなかった。
「プレミアムチケットを使ってやって来たカップルを結婚までコーディネートするつもりらしい。」
ガタッ
「座れ、お前ら。」
見事な『ガタッ』だった。百点満点、模範的な『ガタッ』だった。
「おい、明久。これは準優勝を狙わんといかんなぁ!」
「そうだね、雄二!やってやろうよ!」
優勝を狙え、バカども。
「後、『白銀の腕輪』についてなんだが・・・。」
「何か問題があるんですか?」
「これは点数に対する出力に問題があって『腕輪を使用する時の科目が学年平均以下』しか使えないのさ。」
俺は横目で吉井を見た。
「で、何故その問題が景品にした後で発覚したんですか?」
「経営は全て竹原に任せてたからね。知らなかったのさ」
せめて目は通しといてください、学園長。
「それだけさね。質問は?」
「ないですよ。失礼しました~」
俺達は学園長室を後にした。
「いきなり鳩尾を殴るなよ・・・。」
鳩尾をさすりながら代表が言いかけてくる。
「その行為については本気で反省してるから許せ」
俺が返す。
「しかしさ、よく盗聴器が仕掛けられてるってわかったね。」
「まあな、教頭の目線を観察してたからな。」
「成程・・・。」
俺達3人は教室へ戻りながら話し合う。
「ところでよ」
「何だ?」
「姫路の野郎、なんかやる気満々だったよな。」
「確かにそうだね。小学校の頃からそういう傾向があったけど、今回は更にやる気があるような・・・。」
「あいつと幼馴染のコイツが言うんだから間違いではないんだろうさ。」
「何でだろうな?」
「僕にもわからないよ・・・。」
「理由を聞いてみるか?」
「あいつが簡単に口を開けると思ってるのか?代表」
俺の疑問に代表は首を横に振る。
「だろ?だったら関係者に聞けばいい。」
「誰?」
「暴力女だろ」
「・・・確かに会話するところよく見かけるし、有力だね。」
「さっさと帰って聞くか。」
「「うん(おう)」」
「といってもあいつも口を開かないだろうし、作戦たてるか。」
「ああ」
「そうだね」
俺達は教室に戻るまで歩きながら作戦を練っていた。
「あれ?皆は?」
「帰ったわよ?」
吉井の疑問に島田が答える。
ここにいるメンバーは、俺、代表、吉井兄、神田、明菜、暴力女「殴るわよ?」、変態忍者「…異議あり!」、演劇のホープ、現リア充の嫉妬武装集団元会長に、フランに鈴谷か・・・。それ以外は全員帰ったのか。
・・・本当にEクラスに入るべきだったと後悔している。
「そういえば」
と吉井が口を開く。
作戦はこうだ。
1:吉井が何も知らないように疑問を投げかける。
2:反応した人に代表(もしくは俺)が尋問する。
3:俺がそいつが疑われる証拠を言う。
4:話させる。
「何で姫路さんはあんなに積極的なの?」
その直後、暴力女が少し目をそらしたのを俺と代表は見逃さなかった。
「おい、島田。」
「何よ?」
「何か知ってるだろ。」
「Sie sagen, dass es nicht weiß.」
『仰っている事が解りません』か。独逸語だ。そういえばアイツは独逸からの帰国子女だったな。
「知ってるな?」
「どこに証拠が・・・。」
「目をそらした。更にさっきの返答が独逸語だったからだ。」
「わかった。話すわよ。」
あくしろよ。
「瑞希は、・・・親に転校を進められたらしいの。」
心底どうでもよかった。
~吉井サイド~
え?つまりそれは・・・、オアシスがさらに減るってことか?!こんな砂漠みたいな糞のクラスからさらにオアシスが減ってしまえば、秀吉や亜紀、明菜にも被害が及んでしまうではないか!そうなったら僕は三人を守るためにどこぞやの世紀末の様にモヒカン頭で筋肉モリモリのマッチョマンになって皆を守らなければならないんだ・・・!
「おい、コイツ思考停止してやがるぞ。」
「明久!しっかりして!」
僕の天使が話しかけてくる。
「ねえ、亜紀。僕が守ってあげるから、モヒカン頭になっても好きでいてくれるかい?」
~申し訳程度の天龍&坂本サイド~
坂本:いや、どうやったらそういう結論になるんだ?
天龍:なんか錯乱して訳がわからんこと言ってるな。
~再び吉井サイド~
「なんか明久の脳内環境が超トリップしておるぞ?!!!」
「明久ぁ!ねえ、しっかりしてよ!明久ぁ!」(涙目)
「ハッ!僕は一体何を?!」
「なんか錯乱してどこぞやの世紀末でも想像してたのか?」
イグザクトリー。その通りでございます。
「まあ、いいや。で、姫路が転校するようだがそれがどうかしたのか?」
静かに彩樹さんは誰にともなく、質問した。