~天龍サイド~
今は16時57分・・・。もうすぐで来るな・・・。お、来たな。
俺は清水が女子風呂に入って行くのを見やると、そっと後を追うように歩いて行った。
『確か、彩樹さんが呼び出したのはここで間違いないはず・・・。』
ああ、間違いねぇよ。清水。
~NOサイド~
清水は女子風呂に入るときょろきょろし始めた。不安で無意識にしているのか、もしくは何かを探しているのかどちらかわからないような雰囲気を出していた。
ガラッ
清水はぎょっとして音のした方を向くとそこには自分を此処へ呼び出した張本人である天龍がたっていた。
「待たせたか?」
「いえっ!全然っ!」
「ならいい。」
すると天龍は手の平を見せた。何かが乗っている。清水はそれを見て目を見開いた。
「これは何だかわかるか?」
「・・・超小型監視カメラ、ですね。」
「これは昨日小山たちによって発見されたものと同じものだ。」
清水は自分の背中から冷や汗が流れていくのを感じた。
「清水、今朝早くここで何をしていた?」
「え・・・?」
「俺がここに来た時、此処で何をしていた」
「・・・・・・。」
清水は押し黙ってしまった。
「・・・わかった。もういい。俺が話す。」
天龍は今朝について話し始めた。
~@~
「フワァ~、ねみぃ・・・。」
俺はあくびをする。
「やってられねぇよな~。なんで個室風呂だよ・・・。もっとでけぇ所で入りたいんだよ、こっちは。・・・せっかく早く起きたんだし、浴場で入るか。」
ガラッ
「!」
俺は物陰に隠れる。
「・・・。」
しばらく観察を続けていると、清水が出てきた。何やら深刻そうな顔をしている。
「・・・・・・・・・・・・。」
俺は清水が向こうへ行くのを見やるとすぐに女子風呂へ入った。
「・・・ここか。」
俺は服を入れるかごの中に手を突っ込んでまさぐる。何かが手の平に当たる。俺はそれを握ると取り出した。
「・・・やはりか。」
俺はそれをポケットの中へ突っ込んだ。
~@~
「ま、予想はしてたんだがよ。やっぱ証拠が欲しかったわけよ。こっちとしてはな。」
天龍はそう言いながらカメラを床に落とし、踏み砕いた。
「・・・何故こんな真似をした。」
天龍が問うと、清水は何かをこらえるように言った。
「・・・お姉さまを、撮りたかったんです・・・!」
やっぱりか。と天龍は思った。しかし、更に質問する。
「他の理由はないのか」
「・・・あの豚やろうと、お姉さまを引き離したかった・・・!」
「逆効果だったがな。ま、結論を言えば、島田が派手にやってくれたおかげで吉井は更に島田との距離を置くようになったし、結果オーライなんでねーの?」
「ダメです!」
清水が大きな声で言う。少し面食らったような顔を天龍はした。
「何故だ?」
「・・・暴力を振るってほしくありませんでした・・・!」
そう言うと清水は顔を覆い隠して崩れ落ちた。
「つまり、あれか。お前は島田に暴力を振るわずして吉井と離れさせたかったわけだな?」
「(コクリ)」
清水は頷く。
「・・・黙っててやるよ、お前が犯人だってことはな。」
「・・・え?」
顔を上げた清水の目には涙があふれていた。
「ただし、戦果を上げろ。それなりのな。」
そう言って天龍はその場を去って行った。ただ、出ていく前に天龍はこういった。
「
~19時~
「で、Dクラス」
「うん」
「参加するか?」
「・・・うん」
「どちら側で?」
「A,B側で」
「よろしく」
「こちらこそ」
「では、今から作戦会議をしたい。代表と代表補佐、それに秘書は5階の空き部屋に来てくれ」
「部屋番号は?」
「501だ」
~明久サイド~
「今から作戦会議を始める」
と彩樹さんが言う。
「今回、吉井を主軸とした連合軍団として俺達は存在している訳だがはっきり言って勝てる勝率は十二分にある」
少し歓声が起こる。
「まず、俺達の勝利条件と敗北条件を伝える。」
そう言うと天龍さんはホワイトボードにキュッキュッと書き始めた。
「まず、勝利条件として敵の大将を戦死させる、全敵軍を殲滅する。この二つだ。そして敗北条件は吉井明久の戦死、及びこちらの全滅、女子風呂への侵入だ」
そしてホワイトボードを指し棒で叩く。
「3階はBとDの大半、1階はAクラスで固める予定だ」
「・・・!」
ムッツリーニがドアの方をにらんだ。どうしたんだろう?
「・・・盗聴された危険性がある・・・!」
僕が廊下へ飛び出すと向こう側に走っていく屑二人の姿が見えた。
「あんの野郎・・・!」
根元が憎々しげな表情を浮かばせていた。
「大丈夫だ、想定の範囲内だ。さっきのは忘れてくれ」
「「「・・・ゑ?」」」
「さっきの人員配置は真っ赤な嘘だ」
彩樹さんが言うと雄二が抗議した。
「嘘かよ!じゃあ何で言わなかった!」
「敵をだますには最初は味方からだませっていうだろ?」
そう言って彩樹さんは何事もなかったかのように続ける。
「で、人員配置についてだが、土屋」
彩樹さんはムッツリーニの方を向く。ムッツリーニの方を向くと通信機の様なものを調節している姿が見えた。・・・いつの間にあんな機材を手に入れたんだ?
「・・・よし!つながった!」
「聞かせろ」
ムッツリーニがヘッドフォンを抜く。
『・・・皆、相手は3階にBとDの大半。1階にDの少数とAを置くそうよ。』
「小山・・・!」
根元が悔しそうな顔をする。
『だったら私たちは3階にEとF、1階にCを投入しましょう!』
「見事にかかったな」
彩樹さんはそう言うと説明する。
「人員配置は3階にA,D、1階にBを投入する。で、俺達Fクラス(あっち側じゃない奴)は吉井の護衛だ。で、土屋。ここにきている教師は?」
「・・・9人」
「じゃあそのうち6人は動けなくする。」
「どうやって?」
平賀君が訊くと彩樹さんはにやりと口をゆがませながら言った。
「補充試験だ。これを利用すれば教師はそれに立ち会わないといけなくなる。しかも、この間は試験を受けてる生徒の方が尊重される。これを利用する。」
「誰がやるんだ?」
「人員はもう決まってる。国語を木下、数学を鈴谷、英語が須川、理科がフラン、その他のうちの保体は工藤、社会は亜紀だ。全員開戦直後に受けるように指示してある。」
「で、動けるのは?」
「西村先生に高橋先生、それに愛宕さんだ」
「で、科目は?」
「姫路、島田には愛宕さんを使わせる。愛宕さんは技術だからな」
「どうやって?」
「三階に西村先生を、一階に高橋先生を使えばいい。」
「科目は?」
「三階は英語、一階は総合科目だ」
「吉井の護衛は?」
「俺に代表だ。後は夕張に霧島さん。頼めるか?」
「・・・うん」
「まかせといて!」
「おうよ。では、解散!全員持ち場に着け!」
彩樹さんの号令で皆は部屋を出て行った。
「見せてやろうぜ、作戦指揮の差をな・・・。」
続く