~明久サイド~
終わった……………。
何が終わったって?
テストが終わったに決まってるだろ?
そりゃあ努力しましたよ。努力しましたとも。死ぬほど努力しましたとも。
でもね?
英語には勝てなかったよ……。
そして、今僕は姉さんに対して土下座していた。
「姉さん、勘弁してつかあさい」
「確かに見てて必死になって解こうとした形跡が見れますね。問題用紙共々」
姉さんは珍しく苦笑いをしていた。
「まあ、アキ君はそこまで問題じゃないんですよ。いや、問題ですけど」
どっちだよ。
「問題は明菜。あなたですよ」
「へ?」
「何故数学が真っ白なのですか?」
「全然わかりませんでした!」
「素直でよろしい」
「せめて抵抗しろよ、明菜」
姉さんは少し表情を曇らせた。
「判定が難しいですね・・・・・・・。」
「「判定?」」
「はい。」
「「なんのですか?」」
「罰の」
「「罰…?」」
なんか嫌な予感が・・・・・・・。
「ええ、私がお嫁に行けるくらいのディープキスを。・・・・・ってなんでそんなに離れてるんですか?」
まずい!これはまずい!姉さんとしては別にいんだろうけど僕らとしては死活問題だ・・・!
「明菜!君が生贄となれ!女性同士だからやりやすいはずだ!」
「いえ、アキ兄が行くべきです!姉さんはアキ兄とのキスを望んでいるはずです!」
「「ぐぬぬ・・・・・・・・・・・」」
「いえ、私としては別に両方しても構わないんですよ?」
「「そこはどっちかに選んでよ、姉さん」」
見境なく人を襲わないでよ。
ピンポ~ン
その時、玄関のチャイムが鳴った。
「私が行きます。」
明菜が行こうとする。そうはさせるか・・・・・!
明菜の肩を僕は掴む。
「アキ兄、放してください」
「いや、僕が行くよ。明菜。君はここで寝てるといいよ」
「いえ、アキ兄がここで寝ててください。」
「「グググ・・・・・・・」」
「は~い」
「「あ」」
玄関のドアが開く。
「あの~・・・」
「ああ、神田さんでしたか。どうぞあがってください」
亜紀?!!ここに何の用があってきたのだろうか?
「亜紀、何故ここに?」
僕は明菜に押さえつけられながら言う。
はたから見ればシュールかもしれないが仕方ない。組み手だったら明菜の方が一枚上手なのだ。
合気道で全国優勝したことのある妹にただの一般ピープルの僕がかなうはずがない。
「いえ、その、お礼がしたくて・・・・」
「おれい?」
姉さんが不思議そうに訊く。
「アキ兄、なんかした?」
「え・・・・・。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ。
「いや、あれは僕の方がお礼を言うべきじゃないかなぁ・・・。」
「?」
僕らを置いて話は進む。
「はい。ちょっと前に私の家に泊まった事があったじゃないですか」
「ええ」
「その時に明久に抱きしめてもらったんですよ」
「・・・・ゑ?」
姉さんの吃驚する顔を初めてみた気がする。
「それで、そのおれいがしたくて・・・」
「ええ」
「パパとママに訊いてみたんですよ」
『そりゃあ脱げばいいんでねぇの?』
『ええ?!脱ぐの?!!』
『明久君のこと、愛してんだろ?』
『はい!この世のすべてを敵に回してでも明久を愛してると言える自信があります!』
『そう思うんだったらすぐに実行するべきよ。ねえ、アナタ?』
『ああ。俺もそう思うな』
「・・・・って、ことがあって」
ご両親方何教えてはるの?!!!
「それで、どう脱げばいいかわからいんですけど、とりあえず頑張るから!」
「そこは頑張らなくても大丈夫!大丈夫だから!」
「アキ君」
「何?姉さん」
「据え膳くわぬは男の恥って諺を知ってますか?」
「ごめん!知らない!」
知ってるけど知らない!知りたくない!
「アキ兄」
「?」
「人は決断しないといけない時が来るんです」
「待って!それは今じゃない!最低でも今じゃない!」
「あの・・・・・・」
僕はその時、亜紀の方を見るのを後悔しなかった。何故なら僕はその時、この世に桃源郷がある事を実感したからだ。
ブラ姿の亜紀がいたのだ。
「ゴフッ」
僕は口から血を吐いた。
「明久?!!!」
「明久?!!」
「アキ君?!!」
「我が生涯に、一片の悔いなし・・・・!」
そういうと僕は親指を立てて意識を手放した。
期末考査編 了
次回からは少しの閑話休題と新章突入です!