「ところでさ」
と僕は切り出す。
「なんだ?」
「召喚獣はどうなったんだろうね?」
「確かにそうだな。8月の序盤に禁止されてたからもうできてるはずだよな。」
「じゃあ、今から召喚許可もらおうよ」
「ああ、そうしようぜ。幸い、こちらにはこれがあるからな」
と言いながら雄二は腕輪を見せてくる。
「西村先生」
「どうした?急に本名で呼んでくるなど」
「召喚許可をもらいたいのですが構いませんか?」
そういうと鉄人は急に苦虫を噛み潰したような顔をした。
「ああ、それは・・・」
しかも妙に歯切れが悪い。
これは何か裏がある。
そう僕らは確信するとすぐさま行動に移した。
「先生、なぜ許可をくれないのでしょうか?」
「それは、だな・・・。まだ、終わっていないんだ」
「いや、あのババァのことだ。もう終わってるはずだぜ。ということは、何か隠してるんだな?」
「いや、そんなものはない」
「そんなこと言いながら許可くれないのはなぜですか?」
「・・・。」
「わかったぜ、鉄人。だったらこっちはこっちで勝手にやらさせてもらうだけだ。起動!」
雄二の掛け声で召喚フィールドが展開される。
「明久」
「OK!サモン!」
僕は召喚獣を召喚する。魔法陣が展開されて煙が上がる。
「え・・・?」
「等身大・・・?」
「え、ちょっと待って。え?」
そこには剣を持ち、甲冑を着込んでいる、いかにも西洋風な騎士が立っていた。顔は僕にそっくりだ。
「これ、僕の召喚獣?」
「わあ、カッコいいです!」
すると鉄人は疲れたような顔をしてため息をついた。
「西村先生、これはいったい…?」
天龍さんもうまく状況がつかめずに困惑しながら鉄人に質問する。
「ああ、学園長が少し設定をいじったようでな」
またあいつか。
「オカルト面が強く押し出されているんだ」
「へぇ・・・」
「後、召喚者の特徴をとらえているように設定されてしまっているらしい」
「なるほど、つまり僕はカッコいいと…」
「寝言は寝て言え」
雄二が僕の召喚獣の頭を小突く。
「いてっ、なにするのさ雄二」
すると、召喚獣の頭が胴体から離れていった。
そして地面に落ちた。
「・・・・。」
沈黙。
「キャアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
島田さんの悲鳴で教室が騒がしくなる。
「アイエエエエエエエ?!!クビガ!ナンデ?!!」
「え、ちょっと待って?!これ首が座ってないとかそういうレベルじゃないよ!胴体から離れちゃってるよ!」
その時、天龍さんが冷静に言った。
「これ、デュラハンナイトじゃね?」
「首無し騎士?」
「ああ。で、こっから推測される吉井の特徴は・・・」
なんか嫌な予感がする。
「吉井は『バカ』だと」
言い切りやがったよ、この人!!!
「ああ、なるほど」
雄二も納得するんじゃねぇ!
「じゃあ、わしも召喚するとするかの」
「秀吉のことだし『可愛い』じゃないかな?」
「うるさいぞい。サモン!」
現れたのは黒くうごめいているヒト型の何かであった。
「なんじゃ、これ?」
「・・・?」
するとその物体はうにょうにょと動き始めると姿を変え始める。そしてそれは僕の召喚獣とそっくりの姿になった。顔は秀吉だけど。
「ドッペルゲンガー、か」
天龍さんが言う。
「つまり、わしの特徴は…」
「『物まね』だろうね」
「なんか釈然とせんのぉ・・・」
『可愛い』よりかましだったと思うけどなぁ…。
「じゃあ、俺だな」
「お、待ってました代表!」
雄二を天龍さんがちゃかす。
「うるせぇ。サモン!」
そこには上半身裸の雄二そのものがいた。
「弱体化してるじゃんか!」
「は?え?まじかよ。」
素手かよ!まだ前のがましだったよ!
「これは何の妖怪じゃ?」
「・・・見当もつかない」
・・・そうか!
「わかったぞ!」
「知っているのか、明久!」
「これは新種妖怪『坂本雄二』なnグハァ?!!」
僕の召喚獣の頭を雄二が思い切り蹴飛ばした。
「雄二、なにすんのさ!」
「いうだろ、友達はボールだって」
「ボールは友達だ、ばかたれぃ!!!」
「ちょっと二人とも見るのじゃ」
「「?」」
「雄二の召喚獣を見るのじゃ」
僕らが見ると雄二の召喚獣は低いうなり声を上げたかと思うとそのまま化け物に変化した。
「狼男だったのか」
だからなんで天龍さんはそこまで冷静にいられるんだろう。
「でも、満月がないのにどうやって?!!」
「さっきのボールじゃね?」
「僕の召喚獣の頭はボールじゃない!!」
「すまねぇ、今のは素で間違えた」
素でかよ!
「・・・次は俺だ」
お、ムッツリーニか。
「サモン!」
そこには漆黒の服とマントを身にまとった男の姿があった。
「ドラキュラだな」
「いつも血に飢えてるもんね」
「どちらかというと若い女性に飢えてるんじゃね?」
「・・・!(ブンブンッ」
ムッツリーニ、今否定しても遅すぎるよ・・・。
「じゃあ俺が」
お、天龍さんか。
「サモン」
天龍さんが召喚するとそこには頭に二本の角をはやした和服を着て巨大な棍棒を持った巨躯な女が立っていた。
「鬼、だな」
「じゃあ特徴は『怖い』、なのかな?」
「さぁ・・・」
「じゃあ、次はウチで!サモン!」
突如壁が出現した。いや、違うか。あれだ、これぬりかべだ。
「・・・・・・。」
だめだ、今笑ったら殺される。
「こ、これは何が特徴なんでしょうねぇ・・・?吉井」
「ゑ?!!こ、これはあれだよ!拳が固いとかそういう意味じゃないかな?!!」
「胸が薄いんだろ」
「天龍さん言ったぁ!全員が思っていたであろうことをオブラートに包まず、しかも臆さずに率直に言い切ったぁ!!!」(僕)
「さすが天龍!俺たちにできないことを平然とやってのける!」(雄二)
「そこにしびれる!!」(秀吉)
「憧れるぅ!!!」(ムッツリーニ)
ノリいいな僕ら。
「どうせ・・・私なんて・・・」
「教室の隅っこでいじけ始めた!!」(僕)
「何故だ!ここは腹いせに明久を殴ると思いきや、まさかそのままいじけることに走った!」(雄二)
「明日は空から槍でも降ってくるか?!!」(須川君)
「こんなの島田じゃねぇ!!」(天龍さん)
「あんたたちの私の評価どうなってんのよ?!」
「暴力女」(天龍さん)
「貧乳」(僕)
「女子にモテる女子」(秀吉)
「特攻隊長」(雄二)
「AAカップ」(ムッツリーニ)
「理不尽に暴力を行う人」(須川君)
「モウイヤダ・・・」
あ、本気でいじけた。
続く