バカテスと艦これと東方   作:海棠

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第71問

「で?次は誰が行くんだ?」

雄二が誰にともなく言葉を投げかける。

まさかの秀吉が撃沈したことで皆の士気が下がっているのだ。

 

「じゃあピンクに暴力女。お前らが行ってこい」

「「えぇ(はぁ)?!」」

天龍さんが真顔でそう言ったら当然二人は抗議にかかった。どうやら二人はお化けとかそういう類が苦手らしい。

これはいいことを知ったぞ。

使えるな、と僕は思い、思わずニヤリと口元をゆがめた。

 

「おい、明久」

「何?」

「お前新世界の神になろうとした男の笑みになってんぞ?」

「・・・むしろ俺は"913"の人の方かと」

え?僕そんな顔してたの?どんだけゲスな笑みをしてたの?

 

「い、嫌ですぅ!」

「そうよ!だったらあなたが行きなさいよ!」

すると天龍さんは悪びれずにこう言った。

 

「じゃあ、強制的に連れていくだけだな」

「「へ?」」

天龍さんは二人の襟首をガシリと掴むと引きずって行く。

 

「は、放してくださいぃいい!!怖いですぅううううう!!!」

「どっちが?」

「天龍さんです!・・・ハッ!」

「どうやら余計に手を放すことができなくなったようだなぁ・・・」

「いやよ!行きたくないわ!ねぇ、吉井!」

なぜ僕に振る。僕は関係ないだろうに。

 

「何?」

とりあえず聞いておこうかな。

 

「私を助けなさい!あんたと私の仲でしょ?!」

何言ってんだ、あのまな板。

 

「僕と島田さんって助け合うほどの仲じゃあないよね?」

「へ?」

「え?」

なんでその『なんで?』みたいな顔するん?実際そうでしょ?

 

「…うだうだ言ってねぇで」

天龍さんはそう言いながら二人を前に放り投げ、

 

「さっさと行って来い!」

そして二人を扉の外へ蹴飛ばした。

そのままバタンと扉を閉めると言った。

 

「さて、と・・・。じゃあモニターでも見るか」

僕らはモニターのほうに目を移す。

 

『怖いですぅ・・・』

『天龍め・・・後で覚えときなさいよ・・・』

『そんなことより早くいきましょう、美波ちゃん・・・』

『それもそうね・・・気乗りしないけど・・・』

『あぁ・・・不幸だわ・・・』

「あのまな板後で関節という関節全部外してやる」

「何それすごく怖いんだけど」

想像しただけで背筋に悪寒が走った。

 

「まあ、冗談だが」

「冗談なの?!」

「ああ。やっても得しないし」

やっぱり天龍さん丸くなったよねぇ。昔は有言実行主義だったのに。

 

『美波ちゃん、手を放さないでくださいね・・・?』

『当たり前よ、うちも怖いもの・・・』

「いつも野獣みたいなことしてるくせによく言えるよな」

「うんうん」

雄二が的確なことを言ってきた。

 

『い、いきなり来ないわよね・・・?』

『・・・(プルプル』

そしてそんな光景を天龍さんが死んだ目をして紅茶を飲みながら見ていた。

 

「・・・(グビッ」

「天龍さんなんで紅茶飲んでるの?」

「落ち着きたい」

「ああ、そう・・・」

なんか天龍さん哀愁漂ってるなぁ・・・。疲れてるのかなぁ・・・。

 

「なあ、吉井」

「なに?」

「おれの話聞いてくれるか?」

・・・明日は槍かな。

 

「うん。僕でよければ」

「ありがと」

そう言いながら天龍さんは紅茶をグビッと飲み干す。

 

「俺さ、夕立と春雨いるじゃん?」

「うん」

「あいつらがさ、最近俺の言うこと聞いてくれなくて困ってんだよ・・・。俺、なんか悪いことしたか・・・?」

「・・・」

・・・これ、あれかな?子供が反抗期で困っている父親かな?

 

「たぶん、難しい時期なんだよ」

「うん、そうかな・・・。最近は俺の作った飯を残してるからさ、なんか自信なくなってきてて・・・」

そう言いながら涙目になる天龍さん。

うわぁ、この人のこんな顔見たくなかったなぁ・・・。

 

「大丈夫だよ!天龍さん!」

僕は天龍さんの肩をポンッとたたきながら言った。

 

「大丈夫!」b

ついでにサムズアップもつけておいた。

 

「・・・おう。あんがと」

そう言いながら天龍さんは立ち上がり、気合を入れるように顔をたたき、口元にこぶしを当てた。

 

「ッシャア!」

僕はこの時、鏡の世界で人知れず戦う赤い騎士(ライダー)のイメージがふと浮かんだ。

 

『『キャアアアアムグッ』』

突如叫び声が上がったのでびっくりしてモニターを見たらなんか二人がお互いの口をふさいでいた。

 

「叫びそうになったペアの口をお互いでふさぐ。いいチームだな」

「そのチームを作ったのはお前だがな」

「さあ、なんのことやら」

天龍さんは肩をすくめてへらへらと笑った。

 

 

 

次の瞬間、姫路さんの頬をシャーペンがかすめた。

 

 

 

「「「「「『・・・へ?』」」」」」

今起こった出来事に全員がびっくりしてあんぐりと口を開けた。

いや・・・、だってシャーペンが飛んでくるんだよ?

 

「おかしいな。物理的に危害を加えるやつは禁止だったはずだが・・・」

雄二がなんかつぶやいていた。

 

『お姉さまに近づく輩は例え女性でも容赦しません・・・!』

なんか呪詛みたいな声を絞り出すようにしゃべっている清水さんがいた。なんだ、あれ。

 

「おい、あいつ何やってんだ」

天龍さんも少し焦ったように言う。

 

『み、美波ちゃん!はやく逃げましょう!』

『え?!どこに?!』

『地獄の果てまでです!』

「・・・なんだかんだ言って姫路も毒されたな、Fクラスに」

「今更だよね、すごく今更だよね。ムッツリーニ。というよりいつの間に?」

「・・・気配を消すなど俺たちにとってはたやすいこと」

「さいですか」

なんか割とどうでもよくなったので適当に返しておく。

 

『このままでは死んでしまいます!何か隠れるところを!』

『どこにあるっていうのよ!』

『・・・!思いつきました!美波ちゃん!こっちに!』

『え?!ここ行き止まりよ?!』

『美波ちゃん!召喚獣を召喚してください!』

『え?!さ、サモン(召喚)!』

 

 

ゴゴゴゴゴ・・・

 

 

・・・あ(察し)

『ここでこういう風に・・・』

『・・・ええ』

そうしている間に清水さんが出現した。

 

『オ姉サマオ姉サマオ姉サマオ姉サマオ姉サマオ姉サマ・・・アレ?ドコ行ッタ?』

『どうやらここじゃないみたいだね・・・』

あ、久保君いたんだ。

 

『オ姉サマ待ッテイテクダサイ。今スグアノ淫乱女ヲ砕イテ見セマスカラネエエエエエエエ』

『君のほうが化け物に見えるよ、清水さん』

「どっちが妖怪だろうな?」

「どういう意味?」

「レズとゲイの妖怪」

「本当にどういう意味?!」

本当にどういう意味なのその発言?!

 

「明久」

「何?秀吉」

「この世には知らないほうがいいこともあるのじゃ」

「何その発言?!ものすごい怖いんだけど?!」

僕の知らないところで何が起こってるの?!すごい怖いんだけど?!しかもそれを回りが知ってるのがなんかさらに怖いんだけど?!!

 

「そんなことよりモニター見るぞ」

うん、天龍さん。ナチュラルに心読まないでくれるかな。

 

『瑞樹』

『どうしたんですか?美波ちゃん』

『ちょっとあっち向いてなさい』

『?』

『この、デカ乳が!』ペシーン

そう言いながら島田さんは姫路さんのお尻を思いきりたたいた。

 

「おい、そこ胸じゃねぇのかよ」

「ごめん、雄二。多分ツッコミどころはそこじゃない気がするんだ」

『痛いですぅ!』

『私の召喚獣を利用するってどういう神経してるのよ!』

『だって仕方ないじゃないですか』プクー

「どっちもまともな神経はしてないと思うがな」

「うんうん」

「というより私怨でたたいたよな」

「というよりあいつは最初から私怨しかないだろ?」

「え?呪怨?」(難聴)

「なんか呪われそうだな」

「白い男の子出てきそう」

「女の髪の毛で首吊りさせられそう」

「風呂場で浴槽に引きづりこまれそうだな」

「なんかこの話終わらなそうだからストップストップ。モニター見ようよ」

「いや、もう気絶してるんだが」

「え?」

『『キュ~~・・・』』

僕がモニターに目を向けるといつの間にか姫路さん達は気絶していた。

 

「おお、ひめじたちよ・・・。きぜつしてしまうとはなさけない・・・。」(雄二)

「クックック・・・。・・・しかし奴らは(お化けに対しての耐性という意味で)Fクラスの中では最弱・・・」(ムッツリーニ)

「Fクラスの面汚しよぉ・・・」(僕)

「やっぱりなんだかんだ言ってノリいいよな、お前ら」

天龍さんがそう言ってくる。実際その通りだと思う。

・・・のどかわいたな。

 

「・・・自販機ならあそこ」

・・・なんで僕の周りには心を読める人が多いのだろうか。

そんなことを思いながら僕は自販機に歩いていく。

えっと、なにがあるかな・・・。

 

 

・フルーツバスケット(スイカ味)

・オレンジスカッシュ!一!十!百!

・バナナ?!バナ?!バナナ?!ジュース

・俺の味にお前が泣いた!(レモン味)

・BLACKコーヒーRX

 

 

アカン(確信)

やばい!まともなタイトルが一つもない!というよりどれ選んでも地雷な気がする!

ええい!こうなったらやけだ!

僕は小銭を入れると目を閉じて深呼吸する。

 

「ソイヤッ!」

 

ガコン

 

僕が目を開けて取り出し口をのぞき込むとそこにあったのは

 

 

 

【俺の味にお前が泣いた!(レモン味)】

 

 

 

・・・どうやらこれが僕の選んだもののようだ。

僕はそれを取り出して開けると一口飲む。

すると何か頭の中で電車が通り抜けるような感覚を感じた。なんだろう、頭の中で演歌が流れてくる。

 

「で、次誰が行くんだ?」

「・・・雄二」

「なんだ?翔子」

「・・・(クイクイッ」

霧島さんが黙って雄二の裾を引っ張り始める。・・・ハハーン、そういうことか。

 

「雄二」

「なんだ?」

「一緒に行ってあげなよ」

「・・・なるほど、そういうことか。翔子、言えばいいのに」

「・・・恥ずかしい」

「あー・・・」

何だ、この夫婦。早く結婚しろよ。しかもさりげなく手つないでるし(しかも恋人つなぎですよ、奥さん)。

 

「明久!」

「何かな、亜紀」

「私たちも対抗しましょう!」

「え?」

すると亜紀は急に僕の腕に抱き着いてきた。・・・うわ、やっぱりいい匂いするししかも胸が当たってそれがまた柔らかいっていうかなんというか・・・。

 

「最高です」

「え?何が?」ギュッ

「言わせんな恥ずかしい」

そしてその光景を天龍さんはニヤニヤしながら、龍田さんは頬に手を当ててニコニコしながら見ていた。多分天龍さんは龍田さんと組むだろう。というより絶対組むだろう。

 

「・・・で?誰がトップバッターだ?」

「俺たちは最後でいい。龍田はどうだ?」

「私も天龍ちゃんに賛成だわ~」

「で、亜紀。どうする?」

「私は二番目でもいいけど・・・」

「じゃあ俺たちが一番だな」

「・・・じゃあ雄二、行こう」

「オイ、ちょっと引っ張るな。大丈夫だって。俺は逃げやしないから。おーい、話聞いてるかー?」

「・・・少し間開けてからいこうか」

「そうですね」

ちょっとモニター見よ。

 

『おい、翔子。お前お化け怖がらねぇだろ』

『・・・』ギュッ

『・・・おい、黙ってたら何もわかんねぇだろうが』

『・・・離れたくない』

『・・・』

『・・・あの時みたいに、離れたくない』

『翔子・・・』

『雄二・・・』

「さっさと行けよさっさと。出ないと俺たち行けねぇだろ」

天龍さんが無線機に話しかけた。

 

『お、おい。いいとこなんだから邪魔すんな』

「邪魔するに決まってんだろドアホが。見せつけてんじゃねぇぞクソが」

『見てるお前らが悪い』

「見ざるを得ないんだよ。さっさと行けそして死ね」

何で天龍さんそんなにイライラしてんの?

 

『ヘイヘイ』

『・・・(ムスー』

『よしよし』ナデナデ

『えへへ・・・』

それを見ながら天龍さんは少しため息をはく。

つられて僕も溜息を吐いた。

 

「・・・で?吉井に亜紀はいつ行くんだ?」

「もうすぐ行くよ」

「頑張りましょう!」

「そうだね、亜紀」

「おう、そうか。じゃあさっさと行ってこい」

そう言いながら天龍さんは僕に対してサムズアップしてきた。僕もそれにサムズアップで返す。

 

「行くよ!亜紀!」

「ええ!明久!」

「いってらー」

僕らは扉を開けた。

 

 

続く

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