選挙結果の翌日、全校集会で、生徒会長となった恋のあいさつが行われた。
「改めまして、この学校の初代生徒会長に任命された葉月恋です。この名誉ある仕事につく事ができ、光栄であると同時に、身の引き締まる思いです。」
「私は、この結ヶ丘女子を地域に根ざし、途切れる事なく続いていく学校にするために、誠心誠意努力する所存です。そのために…」
「どうしたのデショウ?」
「そのために、最初の学園祭は、音楽科をメインに行う事と決定しました。」
「葉月さん…」
嫌な予感というのは当たると言うもので…
その後、教室に戻ると…
公約違反だと不満を感じ、抗議の署名を集めようともしていました。リコールの話も出ていた。
「やるなら徹底的にデス!」
と可可ちゃんの言葉もあり、大変な事になりそうだった。
教室の雰囲気から逃げたい僕は、休み時間の間歩いていたのだが
「あっ…」
「あっ…」
この事件の張本人である葉月さんと出くわしてしまった。
「葉月さん…」
葉月さんは僕の事をジッと見るのだが何も発してこない。
「…何もないのであれば失礼しますね」
と言って葉月さんの元から離れようとしたのだが…
葉月さんに腕を掴まれてしまった
「村上君、ちょっといいですか?」
「葉月さん…」
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その後、葉月さんと何故か一緒に帰る事になってしまった。
「なんで僕と葉月さんが一緒に帰る事になってるんですか…」
「村上君の家はこちらの方向で合ってますよね?」
「ええ、合ってますけど…」
「なんでも嵐さんの家でお世話になっているとか」
「幼馴染なので」
なんでバレてるんだ…
音楽科に居る時に話した事はないんだけど…
「すみません…村上君と話したくて個人情報を見てしまいました…」
「あーそういう事ですか…」
生徒会長になったからと言って…そんな簡単に見ていい物なのだろうか…
それよりも後ろに居る4人が気になるんだけど…
「なんでしょーくんが葉月さんと一緒に帰ってるの!?」
「ちぃちゃん…落ち着いて…」
「落ち着けないよ、私、彼女なのに!」
ちーちゃんが暴れていた。
「何かありました?」
「いえ…」
恐らく尾行のつもりなんだろう…
僕にはバレてしまってるぞ…
その後、すみーが変な格好をして接触を図ったりしてきたけど…
葉月さんは気づいていなさそうだった。
本当に疑ったよね。
「それじゃ、僕はこっちなので」
「分かりました。では」
と言って葉月さんに手を振って、彼女が見えなくなるまで送った。
その後を追っていたのは、かのん、可可、すみーの3人だった。
「ねぇ…しょーくん…話があるんだけど…いいかな?」
ちーちゃんの姿が見えないと思ったけど…背後に居たのか…
というよりも顔を見てないのに…もうなんかオーラを感じるよね
「葉月さんの事でしょ?」
「そう。なんで一緒に帰ってるのかなぁって?」
「一緒に帰ろうって誘われただけ」
「本当?」
「本当だって」
「詳しい事は後で聞くとして、今は葉月さんの事を尾行しなきゃ」
「思ったんだけど…なんで葉月さんの事を尾行してるの?」
「それも後で話すから一緒に来て!」
めんどい事はしたくはないのだが…ここまで言われて帰るような人ではないので、いーちゃんに付いて行くと、かのんちゃん達と合流し、葉月さんが入っていったのは大きな屋敷だった。
「葉月さんってお嬢様?」
「押しますよ」
「ちょっと!?」
可可ちゃんはみんなの意見も聞かずに、インターホンを押してしまった。
その後、葉月さんではなく、家の人が対応してくれて、家の中に入る事が出来た。
「今お嬢様を呼んでまいりますので、ごゆっくりおくつろぎ下さい」
「はい」
僕達に丁寧な対応をしてくれて部屋から出ていくメイドさん。
「でも…急に来て話聞いてくれるのかな…」
「大丈夫デス。最後に頌樹が話を付けてくれます」
「何も知らない僕に頼られても…」
「それにしても、立派なお家デスね。見てくだサイ! 大きなぬいぐるみデス!」
「ぬいぐるみ? 剥製じゃないの?」
「こんな大きな犬いる訳ないじゃないデスか。わあ…暖かい…」
「暖かい?」
「ホントだ…それに、トクントクンって…」
「何言ってるのデスか。また、適当な事ばっかり言って…」
みんなが触れ合っている犬らしい物は、急に追いかけてきた
『本物だー!』
という事で、犬から逃げる僕達
「かのん!あのボールでどうにかしてくれ」
「えっ?分かった」
と言ってかのんは逃げる最中の部屋にあったボールを投げました。犬は、それに釣られ、何とか逃げる事が出来た。
「はぁ…はぁ…」
「なんで家の中で走る事になるんだよ…」
僕達が息切れ気味になっていると、かのんは近くの部屋に入っていた。
「これ…」
「かのんちゃん。卒業写真かな?」
「結ヶ丘っぽいデスけど…」
「それにしては、随分古くない?」
「何年前のなんだろう…」
僕達が卒業写真を見ていると、外から声が聞こえてきた。
「いけません…」
「本当に今までありがとう。このご恩は一生忘れません」
「いいえ、受け取れません…」
「お願い。来月からは、あなたを雇っておけるお金もないのです…」
「必要ありません! 私は、この葉月家に仕えているだけで…」
「そういう訳にはいきません。あなたのような人をただ働きさせたら、それこそ亡くなったお母様に怒られてしまいます」
「しかし、それでは、お嬢様は本当に1人きりに…」
「平気ですよ。わたくしにはチビがいますから」
「チビ? あれが?」
「シッ!」
さっきの尾行もそうだけど…隠れてる時は静かにしなよ
「あなたがここに来たのは、まだチビが生まれたばかりの頃でしたよね。あの頃は、お父様がいて、お母様も元気で、皆、仲が良くて、家の中はいつも賑やかで…」
「お嬢様…」
「悲観しているのではありませんよ。私には、まだお母様が遺してくれた結ヶ丘がありますから…」
すると、チビがこっちに向いた。
「あっ…やばい…」
「えっ?」
そう思った瞬間、僕は咄嗟に回避行動を取ったのだが。
遅れたかのんとすみーはチビに舐められていた
チビ、カム。セット。ステイ。」
「聞いていたのですか?」
「1人ってどういう事? お金がないって?」
「そのままの意味です。この家に残っているのは私1人。お金もありません。このままでは、学校を運営していく事も…」
「え?」
「母が遺した学校を続けるためには、私が頑張るしかないのです!」
「葉月さん…」