天才ピアニストとスクールアイドル   作:桜紅月音

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生徒会長

選挙結果の翌日、全校集会で、生徒会長となった恋のあいさつが行われた。

 

「改めまして、この学校の初代生徒会長に任命された葉月恋です。この名誉ある仕事につく事ができ、光栄であると同時に、身の引き締まる思いです。」

   

「私は、この結ヶ丘女子を地域に根ざし、途切れる事なく続いていく学校にするために、誠心誠意努力する所存です。そのために…」

   

「どうしたのデショウ?」

   

「そのために、最初の学園祭は、音楽科をメインに行う事と決定しました。」

   

「葉月さん…」

 

嫌な予感というのは当たると言うもので…

その後、教室に戻ると…

公約違反だと不満を感じ、抗議の署名を集めようともしていました。リコールの話も出ていた。

 

「やるなら徹底的にデス!」

 

と可可ちゃんの言葉もあり、大変な事になりそうだった。

 

教室の雰囲気から逃げたい僕は、休み時間の間歩いていたのだが

 

「あっ…」

 

「あっ…」

 

この事件の張本人である葉月さんと出くわしてしまった。

 

「葉月さん…」

 

葉月さんは僕の事をジッと見るのだが何も発してこない。

 

「…何もないのであれば失礼しますね」

 

と言って葉月さんの元から離れようとしたのだが…

葉月さんに腕を掴まれてしまった

 

「村上君、ちょっといいですか?」

 

「葉月さん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

******

 

その後、葉月さんと何故か一緒に帰る事になってしまった。

 

「なんで僕と葉月さんが一緒に帰る事になってるんですか…」

 

「村上君の家はこちらの方向で合ってますよね?」

 

「ええ、合ってますけど…」

 

「なんでも嵐さんの家でお世話になっているとか」

 

「幼馴染なので」

 

なんでバレてるんだ…

音楽科に居る時に話した事はないんだけど…

 

「すみません…村上君と話したくて個人情報を見てしまいました…」

 

「あーそういう事ですか…」

 

生徒会長になったからと言って…そんな簡単に見ていい物なのだろうか…

それよりも後ろに居る4人が気になるんだけど…

 

「なんでしょーくんが葉月さんと一緒に帰ってるの!?」

 

「ちぃちゃん…落ち着いて…」

 

「落ち着けないよ、私、彼女なのに!」

 

ちーちゃんが暴れていた。

 

「何かありました?」

 

「いえ…」

 

恐らく尾行のつもりなんだろう…

僕にはバレてしまってるぞ…

 

その後、すみーが変な格好をして接触を図ったりしてきたけど…

 

葉月さんは気づいていなさそうだった。

本当に疑ったよね。

 

「それじゃ、僕はこっちなので」

 

「分かりました。では」

 

と言って葉月さんに手を振って、彼女が見えなくなるまで送った。

 

その後を追っていたのは、かのん、可可、すみーの3人だった。

 

「ねぇ…しょーくん…話があるんだけど…いいかな?」

 

ちーちゃんの姿が見えないと思ったけど…背後に居たのか…

というよりも顔を見てないのに…もうなんかオーラを感じるよね

 

「葉月さんの事でしょ?」

 

「そう。なんで一緒に帰ってるのかなぁって?」

 

「一緒に帰ろうって誘われただけ」

 

「本当?」

 

「本当だって」

 

「詳しい事は後で聞くとして、今は葉月さんの事を尾行しなきゃ」

 

「思ったんだけど…なんで葉月さんの事を尾行してるの?」

 

「それも後で話すから一緒に来て!」

 

めんどい事はしたくはないのだが…ここまで言われて帰るような人ではないので、いーちゃんに付いて行くと、かのんちゃん達と合流し、葉月さんが入っていったのは大きな屋敷だった。

 

「葉月さんってお嬢様?」

 

「押しますよ」

 

「ちょっと!?」

 

可可ちゃんはみんなの意見も聞かずに、インターホンを押してしまった。

その後、葉月さんではなく、家の人が対応してくれて、家の中に入る事が出来た。

 

「今お嬢様を呼んでまいりますので、ごゆっくりおくつろぎ下さい」

 

「はい」

 

僕達に丁寧な対応をしてくれて部屋から出ていくメイドさん。

 

「でも…急に来て話聞いてくれるのかな…」

 

「大丈夫デス。最後に頌樹が話を付けてくれます」

 

「何も知らない僕に頼られても…」

 

「それにしても、立派なお家デスね。見てくだサイ! 大きなぬいぐるみデス!」

 

「ぬいぐるみ? 剥製じゃないの?」

    

「こんな大きな犬いる訳ないじゃないデスか。わあ…暖かい…」

 

「暖かい?」

    

「ホントだ…それに、トクントクンって…」

 

「何言ってるのデスか。また、適当な事ばっかり言って…」

 

みんなが触れ合っている犬らしい物は、急に追いかけてきた

 

『本物だー!』

 

という事で、犬から逃げる僕達

 

「かのん!あのボールでどうにかしてくれ」

 

「えっ?分かった」

 

と言ってかのんは逃げる最中の部屋にあったボールを投げました。犬は、それに釣られ、何とか逃げる事が出来た。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「なんで家の中で走る事になるんだよ…」

 

僕達が息切れ気味になっていると、かのんは近くの部屋に入っていた。

 

 

「これ…」

   

「かのんちゃん。卒業写真かな?」

 

「結ヶ丘っぽいデスけど…」

 

「それにしては、随分古くない?」

 

「何年前のなんだろう…」

   

僕達が卒業写真を見ていると、外から声が聞こえてきた。

 

「いけません…」

 

「本当に今までありがとう。このご恩は一生忘れません」

 

「いいえ、受け取れません…」

    

「お願い。来月からは、あなたを雇っておけるお金もないのです…」

 

「必要ありません! 私は、この葉月家に仕えているだけで…」

    

「そういう訳にはいきません。あなたのような人をただ働きさせたら、それこそ亡くなったお母様に怒られてしまいます」

 

「しかし、それでは、お嬢様は本当に1人きりに…」

   

「平気ですよ。わたくしにはチビがいますから」

    

「チビ? あれが?」

 

「シッ!」

 

さっきの尾行もそうだけど…隠れてる時は静かにしなよ

   

「あなたがここに来たのは、まだチビが生まれたばかりの頃でしたよね。あの頃は、お父様がいて、お母様も元気で、皆、仲が良くて、家の中はいつも賑やかで…」

 

「お嬢様…」

    

「悲観しているのではありませんよ。私には、まだお母様が遺してくれた結ヶ丘がありますから…」

 

すると、チビがこっちに向いた。

 

「あっ…やばい…」

 

「えっ?」

 

そう思った瞬間、僕は咄嗟に回避行動を取ったのだが。

遅れたかのんとすみーはチビに舐められていた

 

チビ、カム。セット。ステイ。」

    

「聞いていたのですか?」

 

「1人ってどういう事? お金がないって?」

   

「そのままの意味です。この家に残っているのは私1人。お金もありません。このままでは、学校を運営していく事も…」

 

「え?」

   

「母が遺した学校を続けるためには、私が頑張るしかないのです!」

 

「葉月さん…」

 

 

 

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