天才ピアニストとスクールアイドル   作:桜紅月音

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「神宮音楽学校の生徒だった母は、同じ場所に再び学校を創りたいと願い続けていました」

    

「それで結ヶ丘を…」

 

「しかし、海外での仕事が決まっていた父は、それに反対し、家を出ていったのです」

   

「それでも、母は頑張って創立までこぎつけたのですが、無理をした事もあり、2年前、帰らぬ人に…」

   

「じゃあ、1人っていうのは本当に…」

 

「はい…」

 

「お金がないというのも?」

 

「恥ずかしながら本当です…父は、海外で一緒に暮らそうと言ってくれましたが、断りました…」

   

「母が遺した学校を、この街で一番の高校にしたい…より多くの生徒を集めなければ、その目標を成し遂げることはできません…」

   

葉月さんの言葉はあまりにも重かった。

 

「勝手に押しかけちゃってごめんね」

 

「いえ。今までの私の態度を考えたら仕方ないです…」

 

「葉月さん…」

    

「あの…今日話した事は一切口外しないでくれませんか…」

 

「でも…」

    

「生徒が不安になったり、結ヶ丘に入学した事を後悔してほしくないのです…お願いします…」

    

そう葉月さんに言われては何も言えなかった。

 

 

 

 

*****

 

次の日、僕達はいつも通りに屋上で練習を行っていた。

 

「じゃ、音楽科だけ学園祭をやるっていうのは」

 

「多分、入学希望者が少なったじゃないかな?」

 

「優秀な音楽家だけの方が注目を集められる」

 

「苦肉の策って事?」

 

「痛いデス!」

 

かのん達が屋上で練習を行っている中、僕は中庭を見ていた。

 

「で、しょーくんは何をしてるの?」

 

「あれやばいかもしれないね」

 

と指で差しながら言う。

そこには、葉月さんの事を囲む普通科の子達が居た。

 

「葉月さん!これ、学園祭の決定に反対する意見書です」

 

「創立者の娘だからって学校はあなたの物ではない」

 

「よく考えてください」

 

「話は生徒会を通してください、失礼します」

 

それだけ言って葉月さんは去っていく

 

「何その態度」

 

「信じられない」

 

と言う普通科の子達…

 

「あーあ…普通科と音楽科の溝が深くなりそう…」

 

と僕がそう言うと、かのんは何かを決めたような表情をして

 

「…私、どうにかならないかみんなに話してみる」

 

その後、音楽科に行ったのだが

 

「音楽科でやるのは今回だけ!」

 

「それに一切関わるなと言ってる訳じゃないんだよ」

 

「思ったよりも当たりが強い…」

 

音楽科はすみーが思っていたより当たりが強かった…

 

「我儘を言ってるのは普通科の方なんじゃない」

 

「ははは…」

 

「何圧倒されてるのよ」

 

音楽科は当たりが強くて話にならなかった。

それで普通科の方に戻ってきたのだが

 

参加したくないとか手伝わせてあげるという感じに思われているようだった。

 

「私は音楽を前面に出したうちらしくて良いと思うけど」

 

「なら普通科も一緒にっていうのが筋でしょ!」

 

「公約でそう言ってきたんだし」

 

公約で言ってしまってるもんな葉月さん…

 

「大体、生徒会長の肩を持ってるのよ」

 

「そうだよ。それに学園祭でライブやりたいって言っても絶対に反対されるよ」

 

その後、話は大きくなっていき

 

「よくよく考えてみれば、葉月さん、スクールアイドルに反対なのですよね!」

 

「えっ?」

 

可可ちゃん?

 

「可可、普通科の皆さんに賛成します、一緒に戦いましょ!おー!」

 

「これ以上ややこしくしないで!」

 

結局、普通科でも話がまとまる事はなく…話はただただややこしくなっていった。

 

その後、音楽科だけで準備が進められていった。

それは同時に、普通科と音楽科の溝を深めていく事になっていった。

 

 

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