「開いた」
箱を発見し、かのんが持っていた鍵を嵌めると、見事に開いた。
中を確認すると、ノートが入っていた。
「これは…」
ノートの中身を確認すると、そこには楽しそうにしている葉月さんのお母さんの写真などがあった。
「早く葉月さんの元へ行くよ」
「うん!」
そう言って、全校集会が行われている体育館へと急行した。
僕達が体育館に到着する頃には、想定していた通り荒れていた。
「待って!」
そんな中、かのんが大きな声でそう言うと、みんなはこっちに振り向いた。
そのまま、かのんは教壇に向かって歩き出した。
「葉月さん、私から話したい事があるんですけど」
「澁谷さん…」
「いいでしょう」
かのんの言葉を聞いて、理事長が許可を出してくれた。
みんなが注目してかのんの事を見る中、かのんはノートを葉月さんの前に差し出す。
「それは…」
「さっき、スクールアイドル同好会の部室で、このノートを見つけました。この学校ができる前、ここにあった神宮音楽学校の生徒達が書いたものです。」
「その生徒達は、廃校の危機が訪れた時、アイドル活動で生徒を集めようとしたのです」
「その時の日誌にこう書いてあります。学校でアイドル活動を続けたけれど、結局、学校はなくなる事になった。廃校は、阻止できなかった」
「でも、私達は何一つ後悔していない」
「え?」
「学校が一つになれたから。この活動を通じて、音楽を通じて、みんなが結ばれたから。最高の学校をつくり上げる事ができたから」
「お母様…」
「一緒に努力し、一緒に夢を見て、一緒に一喜一憂する。そんな奇跡のような時間を送る事ができたから」
「だから、私は、みんなと約束した。『結』と文字を冠した学校を、必ずここにもう一度創る」
「音楽で結ばれる学校を、ここにもう一度創る。それが私の夢。どうしても叶えたい夢」
「この学校を創った葉月さんのお母さんは、音楽で結ばれる事を望んでいたんだよ」
「この学校は、その夢を叶えるための学校。普通科も音楽科も心が結ばれている学校」
「スクールアイドルは、お母さんにとって、最高の思い出だったんだよ」
かのんがそう言うと、葉月さんは泣き出してしまった。
「これも、ノートと一緒に」
可可ちゃんがお母さんがその時に使っていた制服を渡す。
「お母様…お母様…」
そう言ってこの場にいる生徒が拍手を送った。
*******
それから少しして、理事長は、他のスクールアイドル活動の記録を取り出し、理事長は真実を知っていましたが、恋の母から何も言わないでほしいと言われ、今まで黙っていたとの事。恋の母から、娘が自分で決めるのを見守ってほしいとも言われていたようだった。
「これは、スクールアイドルの…」
「うん! みんなで作ってる学園祭ライブのステージ!」
「みんなで…」
「ねえ、葉月さん…」
「葉月さん。ううん、恋ちゃん。一緒にスクールアイドル始めませんか?」
「今まで澁谷さん達の邪魔をし続けてしまった私に、そのような資格は…
」
「私、恋ちゃんと一緒にスクールアイドルとして歌いたい…この学校のために、いや、この場所で作られた沢山の想いのために!」
「大丈夫! できるよ!」
「素直じゃないわね!」
「私達は、いつでもファインファインデスよ!」
かのんは葉月さんに向けて手を差し出す。
その時、突風が吹き、葉月さんがかのんの手を取った。
「さあ! みんなで学園祭の準備、始めるよ!」
『おー!』
ちーちゃんの言葉で学園祭の準備が加速した。
ライブ会場は普通科と音楽科の人が協力してやってくれるとの事で、僕達は練習に集中出来た。
練習はちーちゃんに任せて、僕は作曲に時間を使う事になった。
「すごデス! レンレン! さすがフィギュアスケートをやっていただけありマス! グソクムシとは大違いデス!」
「だから、その名前で呼ぶなって!」
「嬉しい」
「入ったばかりなのに、みんなを引っ張っていけるくらい」
「言い過ぎです」
「恋ちゃん、センターやってみない?」
「え?」
「この学校の初めての学園祭だよ!」
「それはそうですが…」
「それに、私が歌ってほしいんだ。恋ちゃんに」
「私も賛成かな!」
「可可も良いと思いマス!」
「私は、センターをやるのは、もっと大きなステージって決めているから!」
「僕も葉月さんがセンターになると思って曲を作ったからね」
「決まりだね!」
葉月さんのセンターが決まり、中庭を見ると、生徒みんなで学園祭の準備を行っている姿が入ってきた。
「こんな遅くまで…」
「学校を盛り上げたいんだよ」
「自分達が作っていくんだって、みんな言ってたもん」
「入学希望者増えるでしょうか?」
「正直言うと、分からない…けど、やるしかない。信じるしかない…」
「強いのですね、かのんさんは…」
「そんな事ないよ! ただ、私ね、始まりの瞬間が好きなの…」
「そうだ!」
「何です?」
「せっかくだから、やってみようかと思って!」
「わあ! もしかして…やりマス! 可可、夢見ていマシタ!」
「ういっすじゃ駄目なの?」
「スクールアイドルデスから!」
「この学校を、歌で結んでいこう!」
「1!」
「2!」
「3!」
「4!」
「5!」
「6!」
「結ヶ丘高校スクールアイドル部! ソングフォーミー! ソングフォーユー!」
『ソングフォーオール!』
かのん達と挨拶を交わし、僕は外へと出てきた。
彼女達の演奏を見て、心の中でとても良いと思っていると。
「あなたがSKS?」
「えっと…そうだけど…」
そこには紫色の髪をした女の子が居た。
「分かりました。では、また」
女の子はそれだけ言うと、どこかへと去っていった。
「なんだったんだあの子は…」
「ありがとうございました!」
「私達は、結ヶ丘高等学校の」
『スクールアイドルです!』