「ラップ…?」
「そう」
ラブライブの説明会に行ったかのん達によると、出場高校が多いため、各地区ごとに歌に課題をつけ、それを大会で披露する事になった、それで、結ヶ丘のある地区は、流行の最先端地区。という事で、課題はラップとなったと…
「HEY! YO! 私の名前は澁谷かのん! 澁谷といっても渋谷は苦手!」
「こ、言葉が…出てこない…」
「かのんも出来てるじゃん」
「そんな事はないよ…」
僕からしてみれば全然出来そうではあるけど…言葉が作りこんだ方が良いとは思うけど。
「ラップは元々ストリートから始まっているからね」
「では、まさか、それが正式衣装!?」
「やっぱり、ちぃちゃんやってよ…歌と違って難しいよ…」
「分かった! ダンスの教室とかで何度か教えてもらった事あるから、やってみるね!」
「HEY! YO! 私、千砂都! 嵐千砂都! 生まれはこの辺! 特技はダンス! 嵐を呼ぶっす! ちぃちゃんダンス!」
「HEY!」
「ラップじゃなくて…ダンスじゃない…?ちーちゃん…」
「あのー、ラップは?」
「あ! そうだった!」
「いやー、ダンス始まっちゃうと、ついそっちに夢中になっちゃうんだよね!」
「千砂都さんは、やはりダンスで他のグループに差をつけてほしいので、この役目は不向きではないかと」
「と、なると…」
みんなの視線は、恋ちゃんに向かうが…
「わ、私は無理です! 何も知らないのですから!」
「大丈夫! とりあえず韻を踏んで、思った事を歌にすればいいだけ!」
「HEY! まずは自己紹介とかやってみちゃおうYO!」
「じ、自己紹介…韻を踏んで…」
「秋あかね 歌にいざよう 葉月恋 想いはいまだ 十六夜なり」
「それは俳句…」
「短歌です! 韻を踏めと言ったではないですか!」
「僕は好きだけどね」
「ありがとうございます」
短歌も短歌で良い所があるけど、今回のラップとは方向性が違い過ぎるんだよね。
「でも、ラップならすみーが出来ると思ってるんだけど?」
「何を言ってるんデスか。すみれには任せらないデス!」
「えぇ…」
残っているメンバーを考えてもすみーしか居ないんだけど…可可ちゃんに速攻で
拒否られたんだけど…
「とりあえずさぁ…やってみるだけでも…」
「仕方ないデスね」
「すみーやってみて」
僕がそう言うと、すみーはラップをやり始めた。
「HEY! YO! お見知りおきに自己紹介! でも、結女のみんなにしとこうかい! 私の名前は平安名すみれ! AB型の神社の娘! HEY!」
「マジデスか…」
「すごい…」
「即興でそんなに歌えるなんて…」
「だから言ったでしょ…すみーが出来るって」
「フン! これでも小さい頃からショウビジネスの世界で場数は踏んでいるの。アドリブだったら負けないわ!」
すみー以外のみんなは驚いていた。
「これは_行ける!」
その中で、かのんはそう言った。
そして、練習の為、屋上に向かい、フォーメーションを組んだ所、すみーがセンターの位置に着く。
「あれっ、これって、もしかして」
「どうしたの?」
「貴方が歌い始めなければ始まりませんよ」
「ちょっと待って!」
「どうしたの?」
「いや、その、つかぬ事をお聞きしますが…この位置っていうのは…?」
「センターだよ」
「今回の課題の所だし、一番目立つ所で歌って貰った方が良いと思って」
「可可は反対でしたが」
みんなの言葉を聞いて、実感が湧いたのか、すみーは大きな声を上げた。
「今…?」
「だって…私よ、私がセンターでいいの!」
「うん、だからさっき言ったでしょ」
すみーの言葉に、かのんはそう返した。
「すみーだって、センターやりたいって言ってたでしょ」
「それはそうだけど…」
「やっぱり変えた方が良いのではないでしょうか?」
すみーの答えに反応したのは可可ちゃんだった。
「どうしてそう思うのです?」
「この人は今までも真ん中に立つことが出来ずに、ここまで来たのです。それはやはり向いてないからというか……」
「それ言ったら私だって歌えなかったよ」
「私だってステージに立って歌う事も初めてに近いですし」
かのんも最初の頃は人前で歌えなかった。恋ちゃんもこないだライブをしたとはいえ、大きなステージに立つのは初めてに近い。
「そうそう。可可ちゃんもすみーの事を応援してあげない?」
「…ですが…」
「今までは今まで。大切なのはこれからだよ」
「そうそう。Liellaと同じで、これから色々始まっていいんじゃないかな」
「まぁ、お二人がそう言うのでしたら……」
かのんとちーちゃんに説得されて渋々ながらも承諾する可可ちゃん…
すると、屋上の入り口から逃走を図ろうとするすみーの姿が目に入った。
「とにかくセンターに立つ以上は、マジメにやるのですよ!スクールアイドルを甘くみたら承知しまセン!」
「わかってるわよ! ショウビジネスの世界で生きてきた私を何だと……」
「それが甘く見ているというのデス! 今年のラブライブは特に難しい戦いデス!本気で頂点を目指すつもりでいてくだサーイ!」
可可ちゃんの言葉を聞いてすみーはそのまま帰って行った。