天才ピアニストとスクールアイドル   作:桜紅月音

27 / 31
チェケラッ!!

 

すみーが走り去っていた後、僕達はいつも通り練習を始めるが、話題となったのはすみーの事だった。

当の本人であるすみーは、練習には顔を出して居なかった。

 

「難しい問題ですね。すみれさんのレベルは、歌もダンスも高いところにあります。ただ、グループの中で一番かと言われると……」

 

「歌はかのんちゃん」

 

「ダンスはちぃちゃん。優雅さは恋ちゃんが一番だし、華やかなところは可可ちゃん」

 

「すみれちゃんには、どれも備わっているけど……」

 

「だからなのでしょうね。今まで希望が叶わなかったのは」

 

「オールマイティが故にか…」

 

なんでも出来てしまうが故に、かのん達みたいにずば抜けている物が無いと言う事なんだろう…。

 

「うん、だからこそ、すみれちゃんがセンターやるべきだと思う。だって実力では全く引けを取ってないんだから」

かのんの意見は、僕も同じ意見。

すると、可可ちゃんのスマホに着信音が鳴り出した。

 

「すみません…」

 

「大事な電話かもしれないし、出ておいて」

 

僕がそう言うと、可可ちゃんは電話しに行った。

 

「じゃあ…僕も部室に戻るね」

 

「うん、編集頑張ってね」

 

「うん」

 

かのん達に、手を振って部室に戻ろうとすると、可可ちゃんの話す声が聞こえてきた。中国語で話していたから、何の話かは分からなかったけど。

 

可可ちゃんがこちらに気づいたけど、電話中に話しかけてるのも悪いから手を振って部室に入り、編集を行なっていると

 

「それ以外何があるっていうのよ!!」

 

というすみーの声が聞こえてきた。

僕は慌てて、屋上に向かうと

 

「別に同情なんかでセンターになったって嬉しくない。学校のみんなは他の人がセンターの方が良いって言ってるんでしょ?だったら!」

 

「同情なんかではありません!!」

 

「可可は同情なんかで衣装をつくったりはしません!」

 

すみーと可可ちゃんが言い合っていた。

 

「あの衣装は返すわ…それでも私にセンターやれって言うなら、スクールアイドルやめる…」

 

「え…」

 

「そんな…」

    

「あなたのスクールアイドルへの思いは、そんなものなのデスか!? ラブライブで光を手に入れるのではなかったのデスカ!?」

 

「ラブライブで光を手に入れるのではなかったのですか!?」

 

「勝たなきゃいけないんでしょッ!?」

 

「あんた……絶対勝たなきゃいけないんでしょ……」

 

すみーはそう言いながら泣き始めた。

なんで泣き始めているのか分からないけど…何か2人の間に何かがあったのは理解できた。

 

「まさか…」

   

そう言ってすみーは、僕を押し退けて階段を走り降りていく。

 

「すみれちゃん!」

 

「待って!」

 

みんなですみーを追いかけていくと、すみーと可可ちゃんが話していた。

 

「さっきの可可の電話、聞いていマシタね? 盗み聞きとは、やはり根性が曲がっていマス!」

 

さっきの電話の事か…

   

「かのん達は知ってるの?」

 

「いいえ」

   

「何で言わないのよ!」

 

「可可の事を気にして、スクールアイドルをやってほしくありマセン!」

 

「もしかして…だけど、可可ちゃん…」

 

「そうデス… 結果が出なかったら帰るって約束なんデス…」

 

「…」

    

「だから勝たなきゃいけないんでしょ! 結果を出さなきゃ! だったら…!」

 

さっき、2人が言い合っていたのは、すみれが偶々とは言え聞いてしまったのが原因か…

 

「そのために、あなたがセンターがいいと言ってるのデス!」

    

「何、意地になってんのよ…」

 

「意地になどなっていマセン!」

   

「なってるでしょ! 本当は嫌なのに、かのんが勧めるからとか、なんだかんだで練習しているから仕方なくとか、可哀想とか…」

    

「練習しているところもこっそり見てたでしょ! 全部分かってんのよ! アンタの事なんて!」

   

「何も分かってませんよ。そんな事で、可可が神聖なラブライブのセンターを任せると思っているのデスか?」

 

「任せたでしょ、実際…」

   

「可可があなたに任せたのは、あなたがふさわしいと思ったからデス!」

   

「練習を見て、その歌声を聞いて、Liella!のセンターにふさわしいと思ったからデス…それだけの力が、あなたにはあると思ったからデス!」

 

「だから受け取りナサイ! 私が思いの全てを込めて、あなたのために作ったのデスから!」

    

「それは…」

 

「すみれちゃん!」

 

「あなたのために作ってきマシタ! センターのあなたのために!」

 

センターのすみーの為に作って、可可ちゃんが出してきたのはティアラ

すみーがこちらに振り向いた瞬間、強い突風が吹いて来た。

 

可可ちゃんが持っていたティアラは、突風に煽られて飛んで行ってしまった。

 

「この!」

   

「待てー!」

 

ティアラを追いかけて、みんなで追いかける

   

「届いて…届いて…!」

 

すみーは、ティアラに手を伸ばす。

そして、掴みながら草木へと頭から突っ込んでいった。

   

「いたた…ったく…」

 

「すみれ…」

   

「初めて名前呼んだわね…」

   

「そんな事はどうでもいいデス! Liella!のセンターとして、恥ずかしくないステージにしてくだサイ!」

    

「当然でしょ…誰だと思ってるの…」

    

「いよいよ結ヶ丘のスクールアイドルが、ラブライブのステージに立つのですね!」

 

「楽しみだね!」

 

「うん! 私達Liella!が、沢山のスクールアイドルと繋がって、歌を響かせるんだ!」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。