すみーが走り去っていた後、僕達はいつも通り練習を始めるが、話題となったのはすみーの事だった。
当の本人であるすみーは、練習には顔を出して居なかった。
「難しい問題ですね。すみれさんのレベルは、歌もダンスも高いところにあります。ただ、グループの中で一番かと言われると……」
「歌はかのんちゃん」
「ダンスはちぃちゃん。優雅さは恋ちゃんが一番だし、華やかなところは可可ちゃん」
「すみれちゃんには、どれも備わっているけど……」
「だからなのでしょうね。今まで希望が叶わなかったのは」
「オールマイティが故にか…」
なんでも出来てしまうが故に、かのん達みたいにずば抜けている物が無いと言う事なんだろう…。
「うん、だからこそ、すみれちゃんがセンターやるべきだと思う。だって実力では全く引けを取ってないんだから」
かのんの意見は、僕も同じ意見。
すると、可可ちゃんのスマホに着信音が鳴り出した。
「すみません…」
「大事な電話かもしれないし、出ておいて」
僕がそう言うと、可可ちゃんは電話しに行った。
「じゃあ…僕も部室に戻るね」
「うん、編集頑張ってね」
「うん」
かのん達に、手を振って部室に戻ろうとすると、可可ちゃんの話す声が聞こえてきた。中国語で話していたから、何の話かは分からなかったけど。
可可ちゃんがこちらに気づいたけど、電話中に話しかけてるのも悪いから手を振って部室に入り、編集を行なっていると
「それ以外何があるっていうのよ!!」
というすみーの声が聞こえてきた。
僕は慌てて、屋上に向かうと
「別に同情なんかでセンターになったって嬉しくない。学校のみんなは他の人がセンターの方が良いって言ってるんでしょ?だったら!」
「同情なんかではありません!!」
「可可は同情なんかで衣装をつくったりはしません!」
すみーと可可ちゃんが言い合っていた。
「あの衣装は返すわ…それでも私にセンターやれって言うなら、スクールアイドルやめる…」
「え…」
「そんな…」
「あなたのスクールアイドルへの思いは、そんなものなのデスか!? ラブライブで光を手に入れるのではなかったのデスカ!?」
「ラブライブで光を手に入れるのではなかったのですか!?」
「勝たなきゃいけないんでしょッ!?」
「あんた……絶対勝たなきゃいけないんでしょ……」
すみーはそう言いながら泣き始めた。
なんで泣き始めているのか分からないけど…何か2人の間に何かがあったのは理解できた。
「まさか…」
そう言ってすみーは、僕を押し退けて階段を走り降りていく。
「すみれちゃん!」
「待って!」
みんなですみーを追いかけていくと、すみーと可可ちゃんが話していた。
「さっきの可可の電話、聞いていマシタね? 盗み聞きとは、やはり根性が曲がっていマス!」
さっきの電話の事か…
「かのん達は知ってるの?」
「いいえ」
「何で言わないのよ!」
「可可の事を気にして、スクールアイドルをやってほしくありマセン!」
「もしかして…だけど、可可ちゃん…」
「そうデス… 結果が出なかったら帰るって約束なんデス…」
「…」
「だから勝たなきゃいけないんでしょ! 結果を出さなきゃ! だったら…!」
さっき、2人が言い合っていたのは、すみれが偶々とは言え聞いてしまったのが原因か…
「そのために、あなたがセンターがいいと言ってるのデス!」
「何、意地になってんのよ…」
「意地になどなっていマセン!」
「なってるでしょ! 本当は嫌なのに、かのんが勧めるからとか、なんだかんだで練習しているから仕方なくとか、可哀想とか…」
「練習しているところもこっそり見てたでしょ! 全部分かってんのよ! アンタの事なんて!」
「何も分かってませんよ。そんな事で、可可が神聖なラブライブのセンターを任せると思っているのデスか?」
「任せたでしょ、実際…」
「可可があなたに任せたのは、あなたがふさわしいと思ったからデス!」
「練習を見て、その歌声を聞いて、Liella!のセンターにふさわしいと思ったからデス…それだけの力が、あなたにはあると思ったからデス!」
「だから受け取りナサイ! 私が思いの全てを込めて、あなたのために作ったのデスから!」
「それは…」
「すみれちゃん!」
「あなたのために作ってきマシタ! センターのあなたのために!」
センターのすみーの為に作って、可可ちゃんが出してきたのはティアラ
すみーがこちらに振り向いた瞬間、強い突風が吹いて来た。
可可ちゃんが持っていたティアラは、突風に煽られて飛んで行ってしまった。
「この!」
「待てー!」
ティアラを追いかけて、みんなで追いかける
「届いて…届いて…!」
すみーは、ティアラに手を伸ばす。
そして、掴みながら草木へと頭から突っ込んでいった。
「いたた…ったく…」
「すみれ…」
「初めて名前呼んだわね…」
「そんな事はどうでもいいデス! Liella!のセンターとして、恥ずかしくないステージにしてくだサイ!」
「当然でしょ…誰だと思ってるの…」
「いよいよ結ヶ丘のスクールアイドルが、ラブライブのステージに立つのですね!」
「楽しみだね!」
「うん! 私達Liella!が、沢山のスクールアイドルと繋がって、歌を響かせるんだ!」