呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「はい注目ー。そこ、呪い合わない。先生を『凝』で見ない」
ガララ、と教室の扉が開くと同時に、教壇に白衣が舞い降りた。
今日の五条悟は、白衣の下に「心」と書かれたTシャツを着込み、頭にはなぜか「二角(バイコーン)」のような角のついたカチューシャを装着している。
「……先生。まず、そのハンター試験の不合格者みたいな格好の落とし前、つけてもらえます?」
伏黒が、教科書を閉じる音と共に凍てつく声を放った。
「恵、君は相変わらず『制約』が足りないね。これは『絶』の究極形。極限まで頭を悪く見せることで、敵に『こいつは放っておいても大丈夫だ』と思わせる高等戦術なんだ。今の僕は、実質的にパリストンとネテロ会長を足して二で割らない感じ。心にライセンスを持っていれば、それは不審者ではないんだよ」
「いや、警察呼びます。この人、存在が特級の不法入国者です」
釘崎が軽蔑の眼差しでスマホを構える。だが、五条はそれを優雅な指先で弾いた。
「野薔薇ちゃん、落ち着いて。それより重大な発表がある。今日の講義は、全人類が待ち望んだ……『ハンターハンターの連載が再開したから、僕らも念能力を使えるようになろうゼ大作戦』についてだ」
教壇には、なみなみと水が注がれたコップと、その上に浮かぶ一枚の木の葉が用意されていた。
「いいかい、みんな。呪力なんていうドロドロしたもんじゃなくて、これからは『念』の時代だよ。僕が今から、この水見式でみんなの系統を判別してあげる。……はい、悠仁、やってみて」
「おう! 任せろ先生! 俺、たぶん強化系だと思うんだよな!」
虎杖がコップに手をかざし、全身に力を込める。……が、次の瞬間。
コップの水が沸騰し、中から「全裸の美女」のホログラムが飛び出してきた。
「……先生。悠仁の系統、何これ。特質系を通り越して、ただの変態系なんだけど」
「あちゃー、悠仁。君、念に煩悩が混じりすぎだよ。でも大丈夫、先生もさっきやったら、水が全部高級なローションに変わっちゃったから。これが『最強』ゆえの溢れ出す潤い(オーラ)ってやつ?」
「死ねよ!! 聖域を汚すなっつってんでしょ!!」
釘崎のハリセンが、音速を超えて五条の「不可侵」を物理法則無視で貫通し、その脳天にめり込んだ。
もはやこの教室において、ツッコミこそが最強の「発」である。
「痛ーい! 野薔薇ちゃん、不可侵を貫通するなんて……これが百式観音(物理)の力か!」
教壇でのたうち回る、最強の呪術師。
教室の掲示板には「次はいつ載るか」という不安なカレンダーが貼られているが、この3年J組だけは、暗黒大陸に辿り着く前に、作者から連載を止められそうな混沌に包まれていた。
「……ま、念が使えないなら、僕が『領域展開』で続きを妄想してあげるからさ。タイトルは『五条悟、キルアと入れ替わってやりたい放題!』。来週から全編これで行くよ」
「……そのまま冨樫先生の代わりに原稿描いてこい」
伏黒が、窓の外を眺めながら深くため息をついた。