呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

11 / 97
最終回なんて、僕の術式で描き直せばいいじゃない

「はい注目ー。そこ、呪い合わない。先生を『思い出』に変えようとしない」

 

ガララ、と教室の扉が開く。

そこには、白衣の下に「完結阻止」と書かれた赤い特攻服を着込み、背中には「天上天下唯我独尊」と金刺繍を入れた五条悟が立っていた。

そして教壇の横には、なぜか全身を包帯で巻かれ、車椅子に乗った一級術師・七海建人と、魂の形を変えすぎて「ただのゆるキャラ」みたいになった真人が、リードで繋がれて座っていた。

 

「……先生。まず、本編で綺麗に退場したはずの七海さんと、歴史的仇敵であるはずの真人を、同じ空間で飼い慣らしている落とし前、つけてもらえます?」

 

伏黒が、もはや「この世界の理は壊れた」と確信した虚無の目で、七海の車椅子を押してやりながら教壇を指差した。

 

「恵、君は相変わらず『物語の都合』に縛られすぎだよ。今日は緊急事態。読者から『呪術が終わるのが怖くて、最終回直前のページがめくれません。先生、何とかしてください』という血を吐くようなハガキが届いたんだ。だから解決策は一つ。僕が『領域展開』でジャンプの印刷所を不可侵にして、最終回を永久に『終わらない日常回』に書き換える」

 

「……五条さん。私はもう、南の国でパンを食べていたはずなのですが。なぜ私は、このカオスな教室で、真人の頭を灰皿代わりに使わされているんですか」

 

七海が、震える手で真人の頭にタバコの灰を落とす。

真人は「ボク、今なら呪霊じゃなくて、ただの癒やしキャラだよぉ」とマスコット風の声で媚びている。

 

「ナナミン、固いこと言わないの。ほら、真人もこう言ってるし、読者のファンサ(救済)のためには、善も悪も関係ないんだよ。はい、悠仁! 今すぐ宿儺に代わって、全裸で『芥見先生の仕事場』に突撃して、原稿の最後に『そして五条先生の朝は早い。――先生の次回作にご期待ください!』って一筆書き加えてきて!」

 

「おう! 任せろ先生! 俺、これ書けばみんなとずっと一緒にいられるんだな!」

 

「行かせるかボケェッ!!」

 

釘崎のハリセンが、音速を超えて五条の「不可侵」、七海の「車椅子」、そして真人の「無為転変」をまとめて物理法則無視で粉砕し、三人の(真人はどこが頭か分からない場所へ)脳天にめり込んだ。

もはやこの教室において、ツッコミこそが唯一の「連載完結」である。

 

「痛ーい! 野薔薇ちゃん、読者の夢(物理)を打ち砕くなんて……これが公式のシナリオ通りに進ませようとする、編集部の回し者(暴力)の力か!」

 

教壇でのたうち回る、特攻服姿の最強。

教室の掲示板には「呪術廻戦・完結」のニュースが貼られているが、この3年J組だけは、感動のフィナーレを迎える前に、全キャラクターの尊厳がギャグの濁流に飲み込まれて消滅しそうな混沌に包まれていた。

 

「……ま、最終回が来るなら、僕が『領域展開』で全人類の記憶を第1話に戻してあげるからさ。タイトルは『五条先生、1億回のループを救う!』。来週から全編これで行くよ」

 

「……そのまま永遠に単行本の表紙の中でじっとしてろ」

 

伏黒が、窓の外で勝手に「死後の世界」からお土産(マンゴー)を持って帰ってきた夏油と七海が談笑している地獄みたいな平和を眺めながら、深くため息をついた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。