呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「はい注目ー。そこ、呪い合わない。先生を『納期の魔物に魂を売った顔』で見ない」
ガララ、と教室の扉が開く。そこには、白衣の下に「MAPPA」と書かれた作業着を着込み、頭には「撮影協力:スタジオぴえろ」と書かれたハチマキを巻いた五条悟が立っていた。
手にはペンタブではなく、なぜか「血走った目」をした、ただのボロボロの栄養ドリンクの瓶を握っている。
「……先生。まず、そのアニメ制作業界の過酷な裏側を全裸で体現したような、ブラックすぎる格好の落とし前、つけてもらえます?」
伏黒が、もはや「この人の作画コストが高すぎて、スタッフが倒れたんじゃないか」という不安に駆られながら、教壇を指差した。
「恵、君は相変わらず『エンドロールの重み』が分かってないね。今日は特別講義。読者から『呪術のアニメ、クオリティが高すぎて制作スタッフの生存が心配です。先生、反転術式で治してあげてください』というハガキが届いたんだ。だから解決策は一つ。僕がこの教室を『アニメーション制作スタジオ・特級』に作り変えて、僕自身が監督として陣頭指揮を執る」
「……五条さん。私はなぜ、この大量のセル画を担いで、自転車で杉並区から港区まで爆走しなければならないんですか。私の心は、いつになったら『万策尽きた』と言えるんでしょうか」
伊地知が、過労で顔が「線画」だけになった状態で、三輪車を漕ぎながら教壇を横切る。
「伊地知くん、固いこと言わないの。ほら、読者からのハガキが来てるぞ。『五条先生。アニメのオープニングで、先生がスタイリッシュに歩いているシーン、何カット撮り直したんですか?』という、ペンネーム・中割りの鬼さんからのお悩みだ」
「……あの数秒のために、何人のアニメーターが犠牲になったと思ってんだ」
虎杖が呆れ顔で突っ込むが、五条は栄養ドリンクを煽って加速する。
「いいかい、みんな! アニメ制作はね、『根性』と『全裸』だよ。はい、悠仁! 今すぐ宿儺に代わって、全裸で『手書きの爆発シーン』を1万枚、15分で仕上げて! 間に合わなかったら、来週の放送は僕が全編『僕の顔写真のスライドショー』で繋ぐから!」
「おう! 任せろ先生! 俺、これ書けば、みんながカッコよく動けるんだな!」
「行かせるかボケェッ!!」
釘崎のハリセンが、音速を超えて五条の「不可侵(リテイクなし)」、伊地知の「三輪車」、そして背景で勝手に「原画の修正」をしていた家入硝子の灰皿をまとめて物理法則無視で粉砕し、五条の脳天にめり込んだ。
もはやこの教室において、ツッコミこそが唯一の「納品完了」である。
「痛ーい! 野薔薇ちゃん、制作進行の情熱(物理)を邪魔するなんて……これがオンエア直前の、殺気立った編集室(暴力)の力か!」
教壇でのたうち回る、作業着姿の最強。
教室の掲示板には「白箱(シロバコ)完遂」の文字が貼られているが、この3年J組だけは、第2期が終わる前に、先生の無茶振りのせいで制作会社が物理的に「領域展開(倒産)」しそうな混沌に包まれていた。
「……ま、作画が追いつかないなら、僕が『領域展開』で全人類の視覚に直接『完成予想図』を映し出してあげるからさ。タイトルは『五条悟、全編AIで作画崩壊なし!』。来週から全編これで行くよ」
「……そのまま納品ミスで放送事故として消えてこい」
伏黒が、窓の外でなぜか本当に「万策尽きた!」と叫びながら走り去っていく伊地知さんを眺めながら、深くため息をついた。