呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「はい注目ー。そこ、呪い合わない。先生を神格化しない」
チャイムが鳴り終わるよりも早く、五条悟は教壇にいた。
今日の彼は、白衣の下に「世界一」と書かれた赤いふんどし一丁。
そして顔にはアイマスクではなく、なぜか「人気投票・絶賛受付中」と書かれた付箋を大量に貼り付けている。
「……先生。その、顔の付箋の落とし前、つけてもらえます?」
伏黒が、教科書を閉じる音と共に冷たい声を放った。
「恵、君は相変わらず数字に疎いね。これは『不可侵の集票』。極限まで顔を隠すことで、読者の想像力を刺激し、一票を投じたくなる『神秘性』を演出しているんだ。今の僕は、実質的に全読者の初恋を体現しているのと同じ。心に票を持っていれば、それは不審者ではないんだよ」
「いや、警察呼びます。この人、存在が特級の公職選挙法違反です」
釘崎が軽蔑の眼差しでスマホを構える。だが、五条はそれを優雅な指先で弾いた。
「野薔薇ちゃん、落ち着いて。それより重大な発表がある。今日の講義は、全人類が待ち望んだ……『ハンターハンターの続きが出るまで、僕が人気投票で1位を独占し続けるぜ大作戦』についてだ」
「……先生。それ、ただの八つ当たりだろ」
虎杖が、傷口に塩を塗り込むような無邪気な発言をした。五条の「無限」が微かに揺れ
る。
「悠仁、甘いよ! 続きが出ないっていうことは、ジャンプの『最強枠』が空いてるってことなんだ。そこを僕が埋め続ければ、冨樫先生も『やべっ、五条が調子乗ってるから早く描かなきゃ』って思うはずなんだよ。だから僕は、今日ここで、確実に1位を奪還する最強の術式を開発した。……脱ぐんだ」
「は?」
「服を脱ぎ、煩悩をさらけ出し、羞恥心を『黒閃』でぶっ飛ばす。僕が全裸で『領域展開』すれば、そのあまりに美しい肉体美の情報が、全人類の脳内に不可逆的に書き込まれる。……名付けて、術式展開、『無量空処・全裸投票(オール・ヌード・スター)』!!」
「やめろ!! 公共の電波(ジャンプ)を汚すな!!」
釘崎のハリセンが、音速を超えて五条の「不可侵」を物理法則無視で貫通し、その脳天にめり込んだ。
もはやこの教室において、ツッコミこそが最強の「凝」である。
「痛ーい! 野薔薇ちゃん、不可侵を貫通するなんて……これが組織票(物理)の力か!」
教壇でのたうち回る、ふんどし姿の最強。
教室の掲示板には、前回の人気投票の結果が無惨に貼られているが、この3年J組だけは、1位を獲ることよりも、まず「連載を打ち切られないこと」が最優先課題となっていた。
「……ま、1位が獲れないなら、僕が『領域展開』で続きを妄想してあげるからさ。タイトルは『五条悟、暗黒大陸の王になる!』。来週から全編これで行くよ」
「……そのまま休載期間という名の闇に消えていけ」
伏黒が、窓の外を眺めながら深くため息をついた。