呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「はい注目ー。そこ、呪い合わない。先生を『時代遅れのヒット作』を見る目で見ない」
ガララ、と教室の扉が開く。
そこには、白衣の下に「滅」の一文字が背負われた羽織(らしきバスタオル)を纏い、口には竹筒ではなく、なぜか「特級呪物・宿儺の指(チョコ味)」をくわえた五条悟が立っていた。手には日輪刀の代わりに、100円ショップの光る剣を握っている。
「……先生。まず、その数年前の社会現象を今さら全裸で蒸し返すような、恥知らずな格好の落とし前、つけてもらえます?」
伏黒が、もはや「全集中の呼吸」で怒りを鎮めながら、教壇を指差した。
「恵、君は相変わらず『日本一慈しい(やさしい)鬼退治』の精神が足りないね。今日は特別講義。読者から『呪術のキャラは死にすぎて心が折れました。せめて鬼滅みたいに、最後は転生して幸せになってください』というハガキが届いたんだ。だから解決策は一つ。僕がこの教室を『無限列車』にして、僕自身が『炎柱』として勝手に燃え上がる」
「……五条さん。私はなぜ、箱を背負って床を這い回らなければならないんですか。私の背骨は、いつになったら『日の呼吸』を迎えられるんでしょうか」
猪野琢真が、背中に「妹(と書かれたパンダ)」を背負わされながら、酸欠状態で膝をついている。
「猪野くん、固いこと言わないの。ほら、読者からのハガキが来てるぞ。『五条先生。もし先生が鬼になったら、やっぱり上弦の零(ゼロ)ですか?』という、ペンネーム・青い彼岸花どこさんからのお悩みだ」
「……アンタが鬼になったら、日光じゃなくてPTAの光で消滅するだろ」
虎杖が呆れ顔で突っ込むが、五条は光る剣を構えて加速する。
「いいかい、みんな! 呼吸の秘訣は『全裸』だよ。はい、悠仁! 今すぐ宿儺に代わって、全裸で『全裸の呼吸』を繰り出しながら、校庭で『よもやよもやだ!』って叫んで、猗窩座(あかざ)っぽいメイクをさせられた漏瑚(じょうご)を追い回してきて! 最後に彼を『太陽』という名のスポットライトで焼き払うんだ!」
「おう! 任せろ先生! 俺、心を燃やすのは得意だぜ!」
「行かせるかボケェッ!!」
釘崎のハリセンが、音速を超えて五条の「不可侵」、猪野の「箱(パンダ入り)」、そして背景で勝手に「花の呼吸」の真似をしていた家入硝子の酒瓶をまとめて物理法則無視で粉砕し、五条の脳天にめり込んだ。
もはやこの教室において、ツッコミこそが唯一の「選ばれし継国縁壱の打突」である。
「痛ーい! 野薔薇ちゃん、歴史に残る名作へのオマージュ(物理)を邪魔するなんて……これがブームが去った後の冷徹な世論(暴力)の力か!」
教壇でのたうち回る、羽織姿の最強。
教室の掲示板には「心を燃やせ」というスローガンが虚しく貼られているが、この3年J組だけは、鬼を倒す前に、先生のせいでクラス全員の「柱」としての尊厳がへし折られそうな混沌に包まれていた。
「……ま、呼吸が合わないなら、僕が『領域展開』で全人類の肺を僕の呪力で満たしてあげるからさ。タイトルは『五条悟、全裸の呼吸で全巻重版!』。来週から全編これで行くよ」
「……そのまま藤の花に巻かれて永遠に眠ってろ」
伏黒が、窓の外でなぜか本当に「火車」の術式を出し始めた漏瑚(被害者)を眺めながら、深くため息をついた。