呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「はい注目ー。そこ、呪い合わない。先生を『人気投票の組織票』を見る目で見ない」
ガララ、と教室の扉が開く。
そこには、白衣の下に「ハガキ職人」と書かれたハチマキを巻き、体中に「第1位」「看板」「重版確定」と書かれた付箋を貼り付けた五条悟が立っていた。
さらに、手には「大人の事情」と書かれた巨大なハンマーを持ち、背中にはジャンプ編集部が入っている「神保町の集英社ビル」の模型を背負っている。
「……先生。まず、その連載の生死を握る本丸に、物理的にもメタ的にも喧嘩を売っている不敬極まりない格好の落とし前、つけてもらえます?」
伏黒が、もはや「打ち切り」という二文字が現実味を帯びてきそうな絶望感で、教壇を指差した。
「恵、君は相変わらず『週刊連載の過酷さ』を分かってないね。今日は特別講義。読者から『呪術が終わったら、ジャンプのアンケート順位が心配です。五条先生、なんとかして編集部の忖度を引き出してください』というハガキが届いたんだ。だから解決策は一つ。僕がこの教室を『編集会議室』に変えて、僕自身が全裸でアンケートのハガキを1枚ずつ偽造する」
「……五条さん。私はなぜ、この『ボツ原稿の山』に埋もれながら、編集長への接待用のお茶を24時間淹れ続けなければならないんですか。私の担当編集は、いつになったら『期待の新進気鋭』として私を扱ってくれるんでしょうか」
伊地知が、過労で指先が「写植(文字打ち)」の形に固まったまま、涙目でプリントを配る。
「伊地知くん、固いこと言わないの。ほら、読者からのハガキが来てるぞ。『五条先生。ジャンプ編集部には、先生の不可侵を破れる特級編集者がいるって本当ですか?』という、ペンネーム・締め切り3分前さんからのお悩みだ」
「……アンタの不可侵なんて、担当編集の『原稿まだですか?』の一言で粉砕されるだろ」
虎杖が呆れ顔で突っ込むが、五条は「巻頭カラー」の看板を振り回しながら加速する。
「いいかい、みんな! ジャンプで生き残るコツは『インパクト』だよ。はい、悠仁! 今すぐ宿儺に代わって、全裸で『編集部の入稿システム』に直接ハッキングして、全ページのキャラの顔を僕の自撮りに差し替えてきて! 最後に、芥見先生のペン先を全裸で掴んで『来週は休載(リフレッシュ)だ!』って叫ばせてきて!」
「おう! 任せろ先生! 俺、これやれば、先生の出番がもっと増えるんだな!」
「行かせるかボケェッ!!」
釘崎のハリセンが、音速を超えて五条の「不可侵(組織票付き)」、伊地知の「接待用茶器」、そして背景で勝手に「新連載のネーム」をムシャムシャ食べていたパンダをまとめて物理法則無視で粉砕し、五条の脳天にめり込んだ。
もはやこの教室において、ツッコミこそが唯一の「アンケート最下位・即打ち切り」である。
「痛ーい! 野薔薇ちゃん、編集部とのパワーバランス(物理)を邪魔するなんて……これが読者の純粋な一票による、民主主義(暴力)の力か!」
教壇でのたうち回る、付箋まみれの最強。
教室の掲示板には「次週、衝撃の展開!」の文字が躍っているが、この3年J組だけは、次号が発売される前に、先生のせいで雑誌ごと「回収・封印」されそうな混沌に包まれていた。
「……ま、アンケートが1位じゃないなら、僕が『領域展開』で全読者の記憶を『五条悟がジャンプの全主人公を兼任している』という事実に書き換えてあげるからさ。タイトルは『週刊少年五条!』。来週から全編これで行くよ」
「……そのまま増刊号の隅っこで、読者プレゼントの当選者発表として載ってこい」
伏黒が、窓の外でなぜか本当に「担当編集」に追いかけ回されている虎杖を眺めながら、深くため息をついた。