呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「はい注目ー。そこ、呪い合わない。先生を『かつての黄金時代』を見る目で見ない」
ガララ、と教室の扉が開く。
そこには、白衣の下に「友情・努力・勝利」とデカデカと書かれた全身タイツを着込み、背中に巨大な「海賊旗」を背負い、右手には「テニスのラケット」、左手には「封神台」、口には「木刀」をくわえた五条悟が立っていた。
「……先生。まず、そのジャンプ50年分の連載作品を一人で背負いすぎて、もはや何かの呪物と化した格好の落とし前、つけてもらえます?」
伏黒が、もはやツッコミを入れること自体が『制約』になりそうな疲れきった顔で、教壇の上のカオスを指差した。
「恵、君は相変わらず『伝統』を軽視してるね。僕たちの連載が終わるってことは、このジャンプの広大な敷地が空くってことだろ? そこを僕が一人で全部占拠して、往年の名作キャラたちと『全裸クロスオーバー』を果たす高度な呪術なんだ。今の僕は、実質的に両津勘吉とボーボボを足して悟空で割った感じ。心にアンケート順位を持っていれば、それは著作権侵害ではないんだよ」
「いや、警察じゃなくて集英社の法務部呼びます。この人、存在が特級の海賊版サイトです」
釘崎がスマホで「ジャンプ編集部」の緊急通報ボタンを構える。
だが、五条は口にそえた木刀を器用に操り、それを優雅に弾いた。
「野薔薇ちゃん、落ち着いて。それより重大な発表がある。読者からハガキが来てるぞ。『五条先生。呪術が終わったら、次はどの雑誌に移籍するんですか? 先生の顔が見られないと、僕の戦闘力が5まで下がります』という、ペンネーム・スカウター爆発さんからのお悩みだ」
「……移籍する前に、アンタの理性が爆発してるだろ」
虎杖が呆れ顔で突っ込むが、五条はラケットを振り回しながらさらに加速する。
「いいかい、みんな! ジャンプの魂(ソウル)は受け継がれるものなんだ。はい、悠仁! 今すぐ宿儺に代わって、全裸で『北斗百裂拳』を繰り出しながら、『お前はもう、呪われている』って言って回ってきて! 経典じゃなくて、ジャンプのバックナンバーを片手に!」
「おう! 任せろ先生! 俺、よく分かんねぇけど、アタタタって言えばいいんだな!」
「行かせるかボケェッ!!」
釘崎のハリセンが、音速を超えて五条の「不可侵」、背負った「海賊旗」、そして口にくわえた「木刀(カレーパン味)」をまとめて物理法則無視で粉砕し、五条の脳天に垂直にめり込んだ。
もはやこの教室において、ツッコミこそが唯一の「打ち切り宣告」である。
「痛ーい! 野薔薇ちゃん、レジェンドたちへのリスペクト(物理)を邪魔するなんて……これが新連載をプッシュしたい編集会議(暴力)の力か!」
教壇でのたうち回る、タイツ姿の最強。
教室の掲示板には「伝説は続く」と書かれた歴代作品の切り抜きが貼られているが、この3年J組だけは、次の連載が始まる前に、不適切すぎて雑誌ごと回収(リコール)されそうな混沌に包まれていた。
「……ま、居場所がないなら、僕が『領域展開』で全雑誌を『週刊・五条悟』に変えてあげるからさ。タイトルは『五条先生、全ジャンル制覇!』。来週から全編これで行くよ」
「……そのまま増刊号の裏表紙の怪しい広告に載ってこい」
伏黒が、窓の外で勝手に「螺旋丸」の修行を始めた虎杖を眺めながら、深くため息をついた。