呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「はい注目ー。そこ、呪い合わない。先生を『覇王色』で見ない」
ガララ、と教室の扉が開くと同時に、五条悟が教壇に躍り出た。
今日の彼は、白衣の下に真っ赤なベスト一丁。頭には麦わら帽子……ではなく、なぜかドン・キホーテで買ってきたような「金色のとんがりコーン」を両耳に刺している。
「……先生。まず、そのクリケットさんの先祖みたいな格好の落とし前、つけてもらえます?」
伏黒が、もはや感情の死んだ声で教壇を指差した。
「恵、君は相変わらずロマンが足りないね。これは『不可侵の黄金郷』。極限まで頭を尖らせることで、僕の術式はより純粋な『冒険心』へと昇華されるんだ。今の僕は、実質的にひとつなぎの大秘宝を見つけた後のバギーと同じ。心にロジャーの意志を持っていれば、それは変質者ではないんだよ」
「いや、警察呼びます。この人、存在が特級の密漁犯です」
釘崎がスマホの通報画面を開いたまま構える。だが、五条はそれを優雅な指先で弾いた。
「野薔薇ちゃん、落ち着いて。それより重大な発表がある。今日の講義は、全人類が避けて通れない……『ジャンプの看板作品が多すぎて、僕の出番が足りない問題』についてだ」
教壇には、なぜか巨大な「ゴムの塊」と「オレンジ色の道着」が置かれていた。
「いいかい、みんな。呪術なんていう陰気な力じゃ、この大航海時代は生き残れない。これからは他作品の『最強』をパク……オマージュしていく時代だよ。はい、悠仁、これ着て『かめはめ波』って言いながら『ギア5』になってみて」
「おう! 任せろ先生! 俺、たぶん血統因子的にいける気がする!」
虎杖が道着を羽織り、渾身の力で叫ぶ。……が、次の瞬間。
虎杖の背後に「全裸の巨人の影」が出現し、教室の天井を突き破った。
「……先生。悠仁のこれ、ジャンプっていうか別マガ入ってない? 駆逐されそうなんだけど」
「あちゃー、悠仁。君、ちょっと『自由』の意味を履き違えちゃったかな。でも大丈夫、先生もさっき『卍解』しようとしたら、持ってたチョークが全部『鼻毛真拳』の毛に変わっちゃったから。これが最強ゆえの、ジャンルを越えた融合(マッシュアップ)ってやつ?」
「死ねよ!! 他社の聖域まで汚すなっつってんでしょ!!」
釘崎のハリセンが、音速を超えて五条の「不可侵」を物理法則無視で貫通し、その脳天にめり込んだ。
もはやこの教室において、ツッコミこそが最強の「スタンド」である。
「痛ーい! 野薔薇ちゃん、不可侵を貫通するなんて……これがゴムゴムの暴力(ガトリング)の力か!」
教壇でのたうち回る、最強の呪術師。
教室の掲示板には、歴代のヒーローたちのポスターが並んでいるが、この3年J組だけは、海賊王になる前に、編集部から永久追放(インペルダウン)されそうな混沌に包まれていた。
「……ま、出番が増えないなら、僕が『領域展開』で全ページを僕に書き換えてあげるからさ。タイトルは『五条悟、全15作品を同時連載!』。来週から全編これで行くよ」
「……そのまま『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に通報されてこい」
伏黒が、空っぽになった天井を眺めながら深くため息をついた。