呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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中の人が最強なら、何言っても許されると思うな

「はい注目ー。そこ、呪い合わない。先生を『中村ボイスの無駄遣い』で見ない」

 

ガララ、と教室の扉が開く。

今日の五条悟は、白衣の下に「CV:中村悠一」と金文字で書かれたタキシードを着用。

手にはなぜか、他作品の有名キャラたちが持っていそうな「青い盾」やら「お菓子の筒」やらをジャラジャラとぶら下げている。

 

「……先生。まず、その他社のキャラクターを声の繋がりだけで無理やり背負ってきた、大人の事情ガン無視の格好の落とし前、つけてもらえます?」

 

伏黒が、もはや「声を聞くだけで別の冒険が始まりそう」な違和感に耐えきれず、耳を塞ぎながら教壇を指差した。

 

「恵、君は相変わらず『聴覚のエンターテインメント』が分かってないね。今日は特別講義。読者から『五条先生の声が好きすぎて、もはや何を喋ってもイケボに聞こえて内容が入ってきません』というハガキが届いたんだ。だから解決策は一つ。僕がこの教室で、声優界の重鎮たちを勝手に召喚して、耳元で『あまーい囁き』を連発する。ちなみに君、別の世界では『オリックスが好きなライオン』だったりしない?」

 

「してません。警察以前に、各プロダクションから訴えられてください。この人、存在が特級の権利侵害です」

 

釘崎がスマホで「声優事務所の通報フォーム」を開きながら構える。

すると、教室の隅で震えていた乙骨憂太が、五条に肩を組まれて引きずり出された。

 

「さあ憂太! 君も言いなさい! 『失礼だな、純愛だよ』って、あの伝説の少年のトーンで! それか『僕は海賊王になる男だ!』って、勢い余って言っちゃいなさい!」

 

「……先生、勘弁してください。僕、今は呪術高専の生徒なんです。あと、さっきからパンダくんが僕を見て『お前、別の世界では俺の主人の孫なんだろ?』って、すごく複雑な顔で絡んでくるんです……」

 

乙骨が、緒方さんの美声で悲痛な叫びを上げる。

 

「いいかい、みんな! 声優ネタはね、ジャンプ作品の伝統なんだよ。はい、悠仁! 今すぐ宿儺に代わって、全裸で『俺の右手が光って唸る!』って叫びながら、諏訪部ボイスでエロかっこよく校庭を3周してきて! 宿儺の姿でテニスラケット持つのも忘れずにね!」

 

「おう! 任せろ先生! 俺、よく分かんねぇけど、声だけは渋くキメてやるぜ!」

 

「行かせるかボケェッ!!」

 

釘崎のハリセンが、音速を超えて五条の「不可侵(エコー付き)」、乙骨の「純愛」、そして背景で勝手に「俺の美技に酔いな」とポーズを決めていた宿儺の幻影をまとめて物理法則無視で粉砕し、五条の脳天にめり込んだ。

もはやこの教室において、ツッコミこそが唯一の「音響監督」である。

 

「痛ーい! 野薔薇ちゃん、声優界の夢の共演(物理)を邪魔するなんて……これがギャラ交渉に失敗した、弱小プロダクション(暴力)の力か!」

 

教壇でのたうち回る、イケボな最強。

教室の掲示板には「1話50万(希望)」の文字が貼られているが、この3年J組だけは、アフレコが始まる前に、先生の不謹慎なキャスティングのせいでアニメ化そのものが「凍結」されそうな混沌に包まれていた。

 

「……ま、中の人が気に入らないなら、僕が『領域展開』で全人類の声を僕のボイスに吹き替えてあげるからさ。タイトルは『五条悟、全キャラ・俺!』。来週から全編これで行くよ」

 

「……そのままマイクのノイズに紛れて消えてこい」

 

伏黒が、窓の外でなぜか本当に「テニスの王子様」の構えを始めた虎杖(CV:榎木淳弥)を眺めながら、深くため息をついた。

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