呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「はい注目ー。そこ、呪い合わない。先生を南へと見送らない」
ガララ、と教室の扉が開き、白衣姿の五条悟が教壇に立つ。 今日の彼は、白衣の下に「半分」と書かれたTシャツを着て、腰のあたりに「点線」がプリントされた不吉なジャージを履いている。
「……先生。まず、その自分の結末を予習してるみたいな縁起の悪い格好の落とし前、つけてもらえます?」
伏黒が、もはや教科書を開く気力もなく教壇を指差した。
「恵、君は相変わらず『コマ割り』を読み切れてないね。これは『不可侵の生存フラグ』。あらかじめ自分を割っておくことで、本編で割られた時のショックを和らげる高度な呪術なんだ。今の僕は、実質的にシュレディンガーの猫と、単行本派の不安を足して二で割った感じ。心に続編への希望を持っていれば、それは変死体ではないんだよ」
「警察以前に、編集部呼んでいいですか。この人、公式の展開を私物化して遊んでます」
釘崎がスマホで「ジャンプ+」の編集部ボタンを構える。だが、五条はそれを優雅な指先で弾いた。
「野薔薇ちゃん、落ち着いて。それより重大な発表……というか、読者からのハガキが来てる。『五条先生、本編が辛すぎて夜も眠れません。誰か救いはありませんか?』というペンネーム、暇でしょ!さんからのお悩みだ」
五条は、教壇に置かれた「獄門疆」型のポストから一枚のハガキを取り出した。
「いいかい、みんな。本編がシリアスなのは、作者の芥見先生が僕のことを嫌い……いや、僕が強すぎて話が進まないからなんだ。だから解決策は一つ。僕がこの『3年J組』で、全ページを学園コメディに上書きすればいい。はい、悠仁、今すぐ宿儺に代わって、全裸で『連載終了のお知らせ』の看板を持って編集部を走り回ってきて!」
「おう! 任せろ先生! 俺、これ以上誰も死ぬの見たくねぇから、俺が物理的に連載止めてくる!」
「行かせるかボケェッ!!」
釘崎のハリセンが、音速を超えて五条の「不可侵」を物理法則無視で貫通し、その脳天にめり込んだ。もはやこの教室において、ツッコミこそが唯一の「救い」である。
「痛ーい! 野薔薇ちゃん、不可侵を貫通するなんて……これが最終回へのカウントダウン(物理)の力か!」
教壇でのたうち回る、半分……じゃなくて、最強の呪術師。 教室の黒板には「完結記念」の文字が半分消えかかっているが、この3年J組だけは、作品が綺麗に終わる前に、ギャグの力で世界観が完全に崩壊しそうな混沌に包まれていた。
「……ま、本編が辛いなら、僕が『領域展開』でハッピーエンドを捏造してあげるからさ。タイトルは『五条悟、全員生存でハワイ旅行!』。来週から全編これで行くよ」
「……そのまま空港で入国拒否されてこい」
伏黒が、窓の外で勝手に「青い春」の回想を始めた先生を眺めながら、深くため息をついた。