呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「はい注目ー。そこ、呪い合わない。先生を『神保町で職質されるタイプの不審者』で見ない」
ガララ、と教室の扉が開く。今日の五条悟は、白衣の下に集英社のシンボルマークである「アステカの少年(ジャンプのマーク)」を胸にペイントし、手には「完結記念・金一封」と書かれた空っぽの封筒、背中には「出版不況」と書かれた重厚な石碑を背負っていた。
「……先生。まず、その出版社の心臓部である神保町に、物理的にも風評被害的にも喧嘩を売っている、出禁確定の格好の落とし前、つけてもらえます?」
伏黒が、もはや「この人のせいで僕らの退職金(印税)がカットされるんじゃないか」という切実な不安とともに、教壇を指差した。
「恵、君は相変わらず『ライツ(版権)の力』を分かってないね。今日は特別講義。読者から『呪術が終わったら、集英社のビルは崩壊しませんか? 先生の顔をビルの看板にして、神保町のランドマークにしてください』というハガキが届いたんだ。だから解決策は一つ。僕がこの教室を『集英社・本館』に作り変えて、僕自身が全裸で受付嬢(最強)になる」
「……五条さん。私はなぜ、この『コミックス100万部』と書かれた段ボールを山積みにした台車で、地下の書庫から最上階の役員室まで階段で往復しなければならないんですか。私のボーナスは、いつになったら『実売部数』に反映されるんでしょうか」
伊地知が、過労で顔が「図書カード」のように真っ平らになった状態で、涙目になりながらプリントを配る。
「伊地知くん、固いこと言わないの。ほら、読者からのハガキが来てるぞ。『五条先生。集英社の地下には、本当は呪霊じゃなくて、締め切りを守らない作家を閉じ込める獄門疆(独房)があるって本当ですか?』という、ペンネーム・白紙のネームが怖いさんからのお悩みだ」
「……アンタが一番そこに近い場所にいる自覚を持てよ」
虎杖が呆れ顔で突っ込むが、五条は「電子版定期購読」のチラシを撒き散らしながら加速する。
「いいかい、みんな! 出版界を救うのは『話題性』だよ。はい、悠仁! 今すぐ宿儺に代わって、全裸で『集英社の会議室』に乱入して、役員たちの前で『僕をVジャンプの表紙にも出せ!』って叫びながら、全裸で黒閃を打ち込んで、非上場企業の鉄の結束*をデジタルアーカイブ化してきて!」
「おう! 任せろ先生! 俺、これやれば、集英社の資産価値も爆上がりなんだな!」
「非上場だぞバカ。それよりお前の社会的価値が暴落してんだよ」
伏黒の冷徹な事実確認とともに、釘崎のハリセンが、音速を超えて五条の「不可侵(経費精算済み)」、伊地知の「台車」、そして背景で勝手に「集英社の社員食堂のカレー」を密造していた家入硝子の寸胴鍋をまとめて物理法則無視で粉砕し、五条の脳天にめり込んだ。
もはやこの教室において、ツッコミこそが唯一の「コンプライアンス遵守」である。
「痛ーい! 野薔薇ちゃん、出版社の経営戦略(物理)を邪魔するなんて……これがヒット作を出し続ける、編集部の冷徹な選別(暴力)の力か!」
教壇でのたうち回る、アステカ風の最強。
教室の掲示板には「神保町NO.1ホスト(自称)」のポスターが貼られているが、この3年J組だけは、次号が校了する前に、先生のせいで集英社全体が「全裸の呪い」にかかって営業停止になりそうな混沌に包まれていた。
「……ま、集英社が僕を扱いきれないなら、僕が『領域展開』で世界中の書店を『五条悟の私物』に変えてあげるからさ。タイトルは『週刊五条、神保町を占領!』。来週から全編これで行くよ」
「……そのままシュレッダーの刃に挟まって、良質なパルプに還元されてこい」
伏黒が、窓の外でなぜか本当に「一ツ橋グループ」のビルに向かって走り出した虎杖を眺めながら、深くため息をついた。