呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「はい注目ー。今日は『呪力の根源』について、より実践的な講義を行うよ。いいかいみんな、呪力とは負の感情……すなわち、羞恥、恐怖、嫌悪から生まれるものだ」
ガララ、と教室の扉が開く。 今日の五条悟は、白衣すら脱ぎ捨て、首から「特級呪物・獄門疆(のレプリカ)」をネックレスのようにぶら下げただけの、完全なる「剥き出しの最強」だった。
「……先生。正統派な講義をするって言った先から、なんで自分の『羞恥』を完全に祓って(パージして)るんですか。それ、負の感情どころか、清々しさすら感じて不快なんですけど」
伏黒が、手印を結ぶことすら放棄した死んだ魚のような目で、先生の「無下限の肌」を凝視する。
「恵、惜しいね。僕が今体現しているのは『自己完結した楽園』。羞恥という呪いを克服した先に待つ、反転術式の極地だよ。見てごらん、僕の全裸から溢れ出すこの輝き。これが正のエネルギーによる『全裸補完』だ」
「ただの露出狂の言い訳を、呪術の理論でコーティングするのやめてもらえます?」
釘崎が、呪力を込めた金槌をピキピキと鳴らしながら距離を取る。
だが、五条は悠然と教壇(という名の、全裸の展示台)に立った。
「さあ、今日の演習だ。悠仁! 君の中の宿儺に代わってもらって。呪いの王なら、僕のこの『極番:全裸』に対して、どんなカウンターの術式を展開するか、非常に興味があるんだよね。さあ、受肉して!」
「おう先生! 宿儺! 出番だってよ、最強の全裸が見れるぞ!」
虎杖が快く顔に紋様を浮かび上がらせ、宿儺が顕現する。
しかし、現れた呪いの王は、五条の姿を見た瞬間、言葉を失った。
「…………貴様、何をしている」
「やあ宿儺。平安の世には『全裸の美学』ってなかったのかな? 今の僕は、生身の魂をさらけ出した、いわば『動く魂の境界』。さあ、伏魔御廚子(ふくまみづし)で僕の服だけじゃなく、この概念そのものを捌いてみてよ」
「……断る。あまりに悍ましい。これほどまでに『斬りたくない』と思わせる標的、千年経っても初めてだわ。小僧、替われ。この男の視界に入るのは、羂索の策に嵌まるより不快だ」
あの宿儺が、自ら主導権を虎杖に返して、精神世界の奥底へ引きこもった。
「あ、逃げた! 呪いの王に『精神的拒絶』という名の不可侵を張らせるなんて、さすが先生! これが本当の『最強』なんだね!」
「そうだよ悠仁。勝負とは、戦う前に相手に『関わりたくない』と思わせた時点で勝ちなんだ。これぞ、現代最強の術師が辿り着いた、戦わずして勝つ『無下限の不審(ふしん)』!」
「……もう、誰かこの人を神保町(編集部)に封印してきて」
伏黒の切実な願いが教室に響く中、五条は自らの「全裸の出力」を最大に引き上げ、授業終了のチャイムとともに、まばゆい光の中に消えていった。