呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「はい注目ー。そこ、呪い合わない。先生を『MAPPAの過労の結晶』で見ない」
ガララ、と教室の扉が開く。
そこには、いつもの白衣姿……なのだが、なぜか「解像度が4K」になっており、まつ毛の一本一本から肌の質感まで、異常にヌルヌルと動き回る五条悟が立っていた。
そして彼の背景では、なぜか伊地知さんが巨大なライトを抱え、新田ちゃんがレフ板を持って、教室をスタジオさながらに照らし出している。
「……先生。まず、その自分だけ劇場版クオリティの作画で予算を使い果たし、僕らの背景がスカスカになっている落とし前、つけてもらえます?」
伏黒が、背景のトーンが間に合っておらず、白黒の線画だけになった机を指差した。
「恵、君は相変わらず『アニメーションの恩恵』を分かってないね。今日は特別講義。読者から『アニメの五条先生が美しすぎて、もはや存在が暴力です。テレビ画面が割れました』というハガキが届いたんだ。だから解決策は一つ。僕がこの教室で、地上波の限界を超えた『全裸の神作画』を披露して、全人類を僕のブルーレイ購入予約者に変える」
「……五条さん。その神作画のせいで、私の残業代が全て中間の動画枚数に消えました。私の人生は、いつになったらリテイクなしで終わるんでしょうか」
伊地知が、過労で瞳のハイライトが消えたままカメラを回し続ける。
「伊地知くん、固いこと言わないの。ほら、読者からのハガキが来てるぞ。『五条先生。アニメ2期の第29話で、先生が覚醒した時の顔が怖すぎて、子供が泣き止みません。どうすればいいですか?』という、ペンネーム・虚式「茈」が目に染みるさんからのお悩みだ」
「……アンタの性格が一番怖いって教えてやれ」
虎杖が呆れ顔で突っ込むが、五条は4Kクオリティの顔面をヌルヌルと近づけて加速する。
「いいかい、みんな! 恐怖と美しさは紙一重なんだよ。はい、悠仁! 今すぐ宿儺に代わって、全裸で『スローモーションの黒閃』を打ち込みながら、校庭で『僕たちの青春は、ここから(円盤予約開始)だ!』って叫んで、背景に火花を散らしてきて! 特典映像として僕の入浴シーンも追加しとくから!」
「おう! 任せろ先生! 俺、ヌルヌル動くの、意外と気持ちいいんだな!」
「行かせるかボケェッ!!」
釘崎のハリセンが、音速を超えて五条の「不可侵(エフェクト付き)」、伊地知の「4Kカメラ」、そして背景の「豪華な背景美術」をまとめて物理法則無視で粉砕し、五条の脳天にめり込んだ。
もはやこの教室において、ツッコミこそが唯一の「作画崩壊」である。
「痛ーい! 野薔薇ちゃん、劇場版級の演出(物理)を邪魔するなんて……これがテレビ放送の枠に収まろうとする、放送倫理(暴力)の力か!」
教壇でのたうち回る、無駄に高画質な最強。
教室の掲示板には「目指せオスカー」の文字が貼られているが、この3年J組だけは、アニメが完結する前に、先生のせいで制作スタジオが物理的に更地になりそうな混沌に包まれていた。
「……ま、作画が気に入らないなら、僕が『領域展開』で全人類の視覚を『僕が描いたパラパラ漫画』に強制上書きしてあげるからさ直。タイトルは『五条悟、全編手書きの愛の劇場!』。来週から全編これで行くよ」
「……そのまま納品に間に合わなくて、総集編として埋められてこい」
伏黒が、窓の外でなぜか異常にクオリティの高い爆発シーンの練習をさせられている虎杖を眺めながら、深くため息をついた。