呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
ログハウスの夜は、もはやアイドルソングの余韻すら許さない。
五条悟がホワイトボードに力強く書き殴ったのは、キラキラしたロゴではなく、複雑に入り組んだ「組織図」と「円(¥)」のマークだった。
「先生……。これ、なんて読むんですか。『派閥』? 『献金』? ……なんか、雪山合宿よりずっと生々しい呪いが見えるんですけど」
虎杖がホワイトボードを指差して顔を引きつらせる。
そこには、いつの間にか高級焼肉「南国」の領収書が大量に貼り付けられていた。
「恵、悠仁、野薔薇。よく聞きなよ。この国の『J(自民党)』。彼らが操る呪術は、指一本動かさずに『票』と『金』で世界を書き換える。特級呪霊よりタチが悪いのは、彼らが『自分たちは正しい』と本気で信じていることさ。組織票という名の『領域展開』。一度展開されれば、個人の意志なんて一瞬でかき消される」
「ちょっと、先生……。私たちが昨日全裸で雪山走ったのって、もしかして『政治資金パーティー』の隠語だったりするの? なんで急にそんな、国会中継みたいな話になるわけ?」
釘崎が震える手でポカリを飲む。
だが、五条の「六眼」は、もはや政界の裏側にある「闇の因果」すら捉えていた。
「いいかい。彼らのパーティー券(チケット)は、僕たちが食べたカルビより高いんだ。でも中身は空っぽ。その浮いた金が、どこに消えると思う? ……そう、『空港』のゲートをくぐる前の、誰にも言えない秘密の口座さ」
「……先生。それ、ガチのやつじゃないですか。僕たちが『3年じゃない』って言い張ってるのも、もしかして何かの『記載漏れ』とか『秘書が勝手にやった』とか、そういう言い訳のメタファーなんですか」
伏黒が、影から「証拠隠滅用の玉犬」を出しそうになりながら冷静に分析する。
「その通り! 恵、正解だ! 『3年じゃないから責任はありません』。これこそが、彼らが数十年にわたって使い古してきた最強の術式『シラ・ヲ・キル』だよ。僕たちは無意識に、政界の最先端(クソ)をトレースしていたわけだね」
その時、リビングの隅に、背広を完璧に着こなした一人の男が現れた。
七海建人。
「五条さん。これ以上、学生をその汚泥に引き込まないでください。労働はクソですが、脱税と癒着はそれ以上の産業廃棄物です。……彼らが使う『組織票』という名の呪いは、我々個人の努力を根底から否定する、最悪のシステムですよ」
「ナナミン! 君もやっぱり、その『J』の被害者だったのかい?」
「私は証券会社時代、嫌というほど見てきました。……いいですか、皆さん。美味しい肉を食べた後の『食後の運動』が、なぜか『公示前のポスティング』にすり替わっていないか、よく確認してください。その靴下、本当に自前ですか?」
「「「「こわっ!!!」」」」
全員が自分の履いている靴下を確認する。
幸い、そこには政党のロゴは入っていなかった。
「……なぁ、先生。オレたちは『J』の輝きも、闇も、政治も……全部ひっくるめて、お腹いっぱいなんだよ。もうこれ以上、何かの『J』に振り回されるのは勘弁してくれよ」
虎杖の切実な願いに、五条はニヤリと笑い、ホワイトボードの組織図を豪快に消した。
「そうだね。僕たちは、誰の資金源にもならないし、誰の組織票にもならない。……よし、それじゃあこの『J』の呪縛を断ち切るために、明日は全員で――『白票』を物理的に投げ飛ばして、最も遠くまで飛ばした奴が優勝する大運動会をやろうか!」
「「「結局、雪山に戻るのかよ!!!」」」