呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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ファンサのJ、あるいは「ファン(呪霊)との握手会」

教室の黒板が、突如として無数のペンライトの光に埋め尽くされた。

 

五条悟は、いつの間にか制服の第2ボタンまで開け、どこから出したのかもわからない銀テープを首に巻いて、教壇の上でウィンクを決めている。

 

「先生……。何なんですか、その『抱いてやるからかかってこい』みたいな目つき。あと、教室の後ろに並んでる行列、あれ、どう見ても呪霊ですよね? 漏瑚とか、なんか花冠かぶって整理券握りしめてますけど」

 

伏黒が、あまりの視覚的暴力に吐き気を催しながら、自分の手元に置かれた「握手会用アクリル板」を凝視する。

 

「恵、これは呪霊じゃない。『ファン』だよ。僕たちが全裸で雪山を走った時も、裏金に震えた時も、彼らは画面の向こうで僕たちを見守ってくれていた。……さあ、感謝の正拳突きならぬ、感謝のファンサを届けようじゃないか。まずは悠仁、君からだ!」

 

「オレ!? ……えっと、えーい、入身投げ! ……じゃなくて、はい、ズッ友ピース!」

 

虎杖が、照れながらもサービス精神を発揮して指を立てる。

その瞬間、最前列にいた呪霊たちが「ギャアアアア(尊い)!!」と叫びながら消滅(浄化)していった。

 

「ちょっと悠仁、あんた甘いわよ。ファンサっていうのは、こうやるのよ。……ほら、私のハンマーで叩かれたい奴はどいつよ! 特別にあんたの呪呪(のろのろ)キャンディに釘打ってあげるわよ!」

 

「釘崎、それファンサじゃなくてただの処刑だよ! あと、そもそもオレたち、ファンサするようなガラじゃないだろ!」

 

荒ぶる釘崎の横で、五条はさらに加速する。

彼は無下限呪術を応用し、一度に千人のファンと同時に「エア握手」をこなしながら、投げキッスの弾丸を乱射していた。

 

「見てごらん。これが『J』の神髄、六眼による全方位(マルチ)ファンサだよ。……おや、そこにいるのは傑じゃないか。君も並んでるのかい? 宿命(さだめ)の連名うちわを持って」

 

教室の隅には、やはり夏油傑の幻影が、慣れた手つきで『悟、最強。』と書かれたうちわを振っていた。

 

「悟。……君のファンサは相変わらず過剰だね。だが、今の君は『3年J組』の教師。生徒たちに、正しい『釣り(ファンへの対応)』を教えてあげるべきだよ」

 

「わかってるよ傑。……よし、最後は恵の『10秒間、目を見つめて愛の告白』タイムだ!」

 

「死んでも嫌だ!! 誰がやるか、そんなもん! そもそもオレたちのファンなんて、この世に一人も……」

 

伏黒が言いかけたその時、窓の外に、昨夜の「空港」で見たような、果てしない数のペンライトの海が広がっているのが見えた。

 

「……嘘だろ。僕たちが全裸で雪山走ってたの、全部配信されてたのか……?」

 

「その通り! 同時視聴者数一億人突破のご祝儀だ! さあ、最後は全員で、ジョジョ立ちを決めながら『You、愛してるよ』で締めようか!」

 

「「「「絶対嫌だぁぁぁぁぁ!!!!」」」」

 

阿鼻叫喚のファンサ回。

彼らは気づいていなかった。

どれほど過酷な修行(ギャグ)をこなしても、結局最後は「愛」という名の最も歪んだ呪いに収束していくのが、この「J組」の運命なのだということを。

 

「……さて。ファンサで喉が渇いたね。……みんな、打ち上げに『お茶』でも飲みに行くかい?」

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