呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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Jの模倣、あるいは「日曜11時45分のオリジナリティ

「――いいかい。今日からこの教室は『3年J組』。そして僕は担任の五条悟。……なんて、新学期らしい新鮮な挨拶をしてみたけれど、実はこの設定には、僕たちの運命を左右する重大な秘密が隠されているんだ」

 

4月6日。桜の花びらが舞い込む高専の教室で、五条悟は教壇を叩きながら、いつになく「どこかで見たような」爽やかな笑顔を浮かべていた。

 

「先生……。その話、もう1話から聞いてます。ジャンプのJだの、ジャニーズのJだの。でも、今日僕が言いたいのは一つだけです。……さっき廊下で、この番組……じゃなかった、この教室の『企画書』を拾ったんですよ」

 

伏黒が、冷徹な手つきで一枚の紙を教壇に置く。そこには**『スクール革命!』というロゴと、『舞台:3年J組』**という文字がはっきりと記されていた。

 

「先生。……これ、パクリですよね? しかも、2009年からやってる超長寿番組の設定を、さも自分が考えたかのように『JはジャンプのJだ!』とか言い張ってたんですか。算数どころか、著作権の勉強からやり直してきましょうか?」

 

「…………」

五条の動きが止まる。六眼がかつてないほど激しく泳いでいる。

 

「嘘でしょ……。目隠し、あんたオリジナリティの塊みたいな顔しといて、日曜昼のバラエティの設定をそのまま持ってきただけなの? 私たちの『3年J組』というアイデンティティは、内村先生が築き上げた歴史の借り物だったってわけ!?」

釘崎が、いつの間にか支給されていた「J」の刺繍入り制服を脱ぎ捨てようと暴れる。

 

「アハハ! 先生、顔真っ赤だぜ! そういえばオレたちのやり取り、なんかアンタッチャブルの山崎さんやオードリーさんの立ち位置に近いと思ってたんだよ! 先生が内村さんのポジションを狙ってたなんて、呪術師としてプライドねーのかよ!」

虎杖だけは、あまりの「パクリっぷり」に腹を抱えて笑っている。

 

「ち、違うんだ! オマージュだよ! 尊敬(リスペクト)を込めたサンプリングだよ! 4月6日、新年度が始まるこのタイミングで、国民的番組のパワーを借りて僕たちの好感度をブチ上げようとしただけなんだ!」

 

五条は必死に言い訳をしながら、黒板の「3年J組」という文字を消そうとする。しかし、その時、教室の扉が静かに開き、白いシャツを爽やかに腕まくりした夏油傑の幻影が現れた。

 

「悟。……You、パクリは良くないよ。特に日本テレビさんの看板番組の設定を、呪術高専で私物化するのはリスクが高すぎる。……さあ、私と一緒に、番組スタッフに謝罪の菓子折りを持っていく練習をしよう。……あ、ちなみに私は高地くんのポジションでお願いします」

 

「傑……! 君、ちゃっかりレギュラー枠を狙わないで! よし、こうなったらヤケクソだ! 設定がパクリなら、内容で超えてやる! 悠仁は若林さんより鋭いツッコミを磨け! 野薔薇は橋本環奈よりキラキラした笑顔で呪力を練れ! 恵は……影絵で『J』の文字を『Z』に書き換えて、別のパロディ(銀魂)に偽装するんだ!」

 

「「「「もっと酷くなってんじゃねーか!!!!!」」」」

 

結局、彼らは4月6日の爽やかな陽気の中、オリジナリティを完全に喪失したまま、「J」という文字が書かれた不審なマイクロバスへと押し込まれた。

満開の桜の下、彼らが向かうのは国立競技場か、それとも汐留の日本テレビ本社か――。

 

「……先生、一応確認だけど。来週のサブタイトル、『食でめぐるイタリア縦断』とかになってないよね?」

「もちろんさ、恵。……来週は『全裸でめぐる呪術界縦断』だよ!」

 

「「「「絶対放送できねーよ!!!!!」」」」

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