呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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実写化の波は、全裸でも防げない

「はい注目ー。そこ、呪い合わない。先生を『CG予算の都合』で見ない」

 

ガララ、と教室の扉が開く。

そこには、白衣の下に「俳優」と書かれた高級バスローブを羽織り、顔にはアイマスクではなく、なぜか「3Dメガネ」を装着した五条悟が立っていた。

そして教壇の横には、なぜか全身グリーンタイツを着せられた伊地知さんと、異様に顔が良い謎の外国人男性が「スタンドバイ」の札を持って立っている。

 

「……先生。まず、そのハリウッドの撮影現場に迷い込んだ不審者みたいな格好と、伊地知さんを背景素材(グリーンバック)扱いしている落とし前、つけてもらえます?」

 

伏黒が、教科書を閉じて眉間を押さえながら、無機質な視線を教壇へ向けた。

 

「恵、君は相変わらず『メディアミックス』の波に乗れてないね。今日は特別講義。読者から『呪術が完結するなら、次は実写映画化ですか? 配役はどうなりますか?』というハガキが山ほど来てるんだ。だから解決策は一つ。僕がこの教室で、最高のキャスティングを先行上映する。ちなみに僕役は、僕が全裸で一人二役やるから大丈夫」

 

「五条さん……私はなぜ、タイツ姿で床を這い回らなければならないんですか。私の尊厳は、いつになったら帳(とばり)を下ろせるんでしょうか」

 

伊地知が涙目で「カチンコ」を構える。

 

「伊地知くん、固いこと言わないの。ほら、読者からのハガキが来てるぞ。『五条先生。実写版になった時、先生の術式はCGですか? それとも物理ですか?』という、ペンネーム・VFX職人さんからのお悩みだ」

 

「……アンタの存在自体が、物理法則への冒涜だろ」

 

虎杖が呆れ顔で突っ込むが、五条はバスローブをはだけさせながら加速する。

 

「いいかい、みんな! 実写化の秘訣は『リアリティ』だよ。はい、悠仁! 今すぐ宿儺に代わって、全裸で『本物の火』を噴き出しながら、渋谷のスクランブル交差点で『特撮なしの領域展開』をやってきて! 炎上商法(物理)で興行収入1000億は確実だ!」

 

「おう! 任せろ先生! 俺、体当たり演技なら自信あるぜ!」

 

「行かせるかボケェッ!!」

 

釘崎のハリセンが、音速を超えて五条の「不可侵」、伊地知の「グリーンタイツ」、そしてスタンバイしていた謎の外国人の「肖像権」をまとめて物理法則無視で粉砕し、五条の脳天にめり込んだ。もはやこの教室において、ツッコミこそが唯一の「クランクアップ」である。

 

「痛ーい! 野薔薇ちゃん、世界進出(物理)を邪魔するなんて……これが邦画の低予算(暴力)の力か!」

 

教壇でのたうち回る、バスローブ姿の最強。 教室の掲示板には「主演・五条悟(本人)」と書かれたポスターが勝手に貼られているが、この3年J組だけは、映画化される前に、倫理委員会と著作権法によってフィルムが全編お蔵入りになりそうな混沌に包まれていた。

 

「……ま、実写がダメなら、僕が『領域展開』で全人類の視覚に僕のブロマイドを24時間上映し続けてあげるからさ。タイトルは『五条悟、あなたの瞳に直接ダイレクトイン!』。来週から全編これで行くよ」

 

「……そのまま4DXの座席ごと宇宙に射出されてこい」

 

伏黒が、窓の外でなぜかスローモーションで走り込みの演技指導を受けている虎杖を眺めながら、深くため息をついた。

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