呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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保護者面談は、地獄の蓋が開く合図

「はい注目ー。そこ、呪い合わない。先生を『他人の家庭を壊す男』みたいな目で見ない」

 

ガララ、と教室の扉が開く。

今日の五条悟は白衣の下に「お父さん(暫定)」と書かれたタスキを斜め掛けし、教壇にはなぜか、上半身裸で黒いピチピチのズボンを履いた、首に太い蛇を巻き付けた男――伏黒甚爾が、勝手に教卓の引き出しから盗んだパンを食べながら座っていた。

 

「……先生。まず、僕の本当の親父を地獄から(物理的に)引きずり出してきた落とし前、つけてもらえます?」

 

伏黒が、もはや殺意すら通り越して無の表情で、自分の父親(の死体)を指差した。

 

「恵、君は相変わらず『血縁の呪い』を重く捉えすぎだよ。今日は三者面談の日でしょ? 父親が不在じゃ話が進まないから、僕がちょっと『降霊術』のコネを使って、一番呼び出しやすそうな時間帯の甚爾くんを連れてきたんだ。今の僕たちは、実質的に教育熱心な養父と、教育を放棄した実父を足して二で割らない感じ。心に家族愛を持っていれば、それは死者蘇生ではないんだよ」

 

「警察以前に、天国か地獄の門番を呼んでください。この人、存在が特級の戸籍改ざん犯です」

 

釘崎がスマホで「家庭裁判所」の番号を表示しながら構える。すると、パンを飲み込んだ甚爾が、ボソリと呟いた。

 

「……おい悟。俺を呼ぶのはいいが、なぜ報酬が『学食のカレー券』なんだ。あと、隣にいるナナミとかいう男が、さっきから『残業です』って言いながら俺を刺そうとしてくるんだが」

 

甚爾の後ろでは、七海建人が定時を過ぎた怒りでネクタイを手に巻き付け、「クソが……」と呟きながら十劃呪法を構えていた。

 

「ナナミン、固いこと言わないの。ほら、読者からのハガキが来てるぞ。『五条先生。五条家や禪院家など、家柄の話が複雑で覚えられません。簡単に教えてください』という、ペンネーム・御三家崩壊さんからのお悩みだ」

 

「……この地獄絵図を見れば、覚えなくていいって分かるだろ」

 

虎杖が呆れ顔で突っ込むが、五条は甚爾の肩を組んでさらに加速する。

 

「いいかい、みんな! 家柄なんていうのはね、全裸で殴り合えば解決する問題なんだよ。はい、恵! 今すぐ実の親父と全裸で『十種影法術』を使って、どっちが真のパパか白黒つけてきて! 勝った方には、僕が養育費(僕のブロマイド)を全額支給してあげる!」

 

「行かせるかボケェッ!!」

 

釘崎のハリセンが、音速を超えて五条の「不可侵」、甚爾の「天与呪縛」、そして残業中の七海の「7:3の点」をすべて同時に物理法則無視で貫通し、三人の脳天にトリプルでめり込んだ。

もはやこの教室において、ツッコミこそが唯一の「均衡(バランス)」である。

 

「痛ーい! 野薔薇ちゃん、家族の再会(物理)を邪魔するなんて……これが少子高齢化(暴力)の力か!」

 

教壇でのたうち回る、白衣と裸族とサラリーマン。

教室の掲示板には「家庭円満」のスローガンが虚しく貼られているが、この3年J組だけは、進路相談を終える前に、高専が物理的に更地になりそうな混沌に包まれていた。

 

「……ま、父親が気に入らないなら、僕が『領域展開』で全人類を僕の子供にしてあげるからさ。タイトルは『五条先生と、4億人の子供たち!』。来週から全編これで行くよ」

 

「……そのまま宇宙の彼方まで育児放棄されてこい」

 

伏黒が、窓の外で勝手に自分の式神(玉犬)と遊び始めた実の父親を眺めながら、深くため息をついた。

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