呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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経済合理性と、全裸の深淵

冥冥は、螺旋エネルギーによって暴落し、もはや数値の羅列が螺旋階段のようにねじ曲がった世界の株式市場を、冷徹なまでの静寂をもって見つめていた。

 

彼女の持つブラック・キャッシュカードは、五条が宇宙を全裸で上書きし、全物質の構成を「J」の概念に固定した影響により、特級呪い付きの異常な仕様へと書き換えられていました。

 

その決済条件はただ一つ、「全裸にならなければいかなる資産も動かせない」という、銀行法の根底を覆すあまりにも理不尽な制約。

 

しかし、彼女は眉ひとつ動かすことなく、一分の迷いもなく、公衆の面前で全裸になりATMの列に整然と並ぶことを選択した。

 

そこに羞恥心という名の私情は一切存在せず、ただ「全裸の方が銀行振込の手数料が0.3螺旋ほど安くなる」という冷徹なまでの経済合理性のみが、彼女の筋繊維を動かしていた。

 

資本主義の亡者にとって、服を着ていることで発生する「コスト」こそが真の悪であり、全裸であることは最も効率的な資産運用の形態に過ぎない。

 

その傍らでは、同じく一糸まとわぬ姿となった憂憂が、恍惚とした表情を浮かべ、

 

「姉様の全裸の螺旋こそが、この宇宙が数千年の歴史を経て辿り着いた唯一無二の真理です。服などという境界線は、姉様の美しさを遮る不敬な壁でしかありませんでした」

 

と法悦の表情で叫びながら、一ツ橋グループの機密サーバーをハッキングし、銀河鉄道の特等席の切符を自作のドリルで偽造し続けていた。

 

一方、古都・京都校では、伝統と格式を重んじていたはずの楽巌寺嘉伸が、自身の愛用するフライングVギターを巨大な螺旋ドリルへと改造。

 

もはや保守派の意地などという埃を被ったプライドは、五条が撒き散らした螺旋エネルギーの奔流によって塵も残さず吹き飛ばされていた。

 

彼は自らの皺だらけの肉体を晒し、

 

「全裸・デス・メタル」

 

の開祖として君臨し、その枯れた指先から放たれる衝撃波で校舎の瓦を一枚残らず粉砕していた。

 

庵歌姫は、全裸で、かつ全力で舞い踊らなければ術式が1ミリも発動しないという、この地獄のような世界線に絶望。

 

最高級の日本酒を瓶ごと煽りながら、

 

「あの目隠し野郎……絶対に許さない……。次に会ったら無下限の隙間に、神保町の激辛カレーを全裸で流し込んでやる……」

 

と血の涙を流していましたが、そのステップは彼女の意志とは裏腹に、螺旋の力によって無意識のうちに洗練され、もはや人間業とは思えない神話的な美しさへと到達していた。

 

東堂葵に至っては、もはやこの次元にさえ留まってはいなかった。

 

彼は高田ちゃんの「全裸握手会(概念)」に参加するという、全宇宙のアイドルファンが到達し得なかった至高の領域を目指し、

 

「存在しない記憶」

 

の螺旋を猛スピードで逆走。

 

IQ53万の脳内コンピューターが算出した「全裸の特異点」を突っ切り、物理的な次元の壁を全裸でぶち破って、アイドル界のシンギュラリティへとその雄々しい背中と共に消えていった。

 

そして、獄門疆の奥底、時間の概念さえもが螺旋状に圧縮された暗闇に置き去りにされた羂索の残滓は、全人類が全裸で螺旋を描きながら合唱するという、自身の想像力を遥かに超えた「混沌(カオス)」を目の当たりにして、初めて自身の千年以上に及ぶ計画の甘さを痛感していた。

 

彼が長年追い求め、多大な犠牲を払ってまで構築しようとした人類の進化。

 

それは、五条悟という名の、倫理観も社会性も、順序も服さえも置き去りにした特級不審者によって、

 

「全裸の完成形」

 

として、あまりにもあっけなく、かつ最悪な形で達成されてしまった。

 

一ツ橋グループの地下深く、厳重なセキュリティを螺旋ドリルで破壊された保管庫。

 

回収された特級呪物・おしゃぶりを前に、裏梅が恭しく跪く。

 

「宿儺様、これが次世代の離乳食(呪力入り)です。これさえあれば、御身の螺旋力はさらに加速し、全宇宙を全裸の玉座へと変えることが可能となります」

 

そう告げる裏梅の姿もまた、清々しいまでの全裸であり、その忠誠心はもはや温度を失い、絶対零度の螺旋となって空間を凍てつかせていた。

 

この世界の全ての物語、全ての因縁、そして全ての呪いは、

 

五条悟が「もう飽きた」と言わんばかりに脱ぎ捨てた白衣。

 

その白衣という名の銀河の果てへと、抗う術もなく吸い込まれていく。

 

そこに残されたのは、ただ真っ白な「J」の残像と、

 

誰も服の着方を思い出せないまま、永遠の放課後を駆け抜ける人類の笑い声だけだった。

 

宇宙は、一人の不審者が放ったあまりにも強大なギャグによって、

 

永遠のハッピーエンド(放送禁止)へと収束していったのです。

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