呪術廻戦スピンオフ 3年J組 五条先生 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
「はい注目ー。そこ、呪い合わない。先生を『ピックアップ対象(0.7%)』みたいな目で見ない」
ガララ、と教室の扉が開く。
そこには、白衣の下に「課金は家賃まで」と書かれたTシャツを着て、両手に大量のスマホを持ち、目には「残高不足」の赤い文字を浮かべた五条悟が立っていた。教壇の上には、なぜか巨大な「虹色の石」が山積みになっている。
「……先生。まず、そのスマホゲーム(ファンパレ)の限定キャラが出なかったからっ
て、教室の予算を全部『廻珠』に注ぎ込んだ落とし前、つけてもらえます?」
伏黒が、もはや自分たちが「SR(シルバーレア)」以下のカードとして扱われている虚無感に耐えながら、教壇を指差した。
「恵、君は相変わらず『リセマラの苦しみ』を知らないね。今日は特別講義。読者から『五条先生が強すぎて、ゲームのバランスが崩壊しています。どうして僕のデータでは天井まで来ないんですか?』というハガキが届いたんだ。だから解決策は一つ。僕がこの教室を『ガチャ演出』そのものに変えて、僕自身が全裸で虹色の光を放ちながら排出される」
「……五条さん。私はなぜ、この『スキップボタン』のプラカードを持って、あなたの無駄に長い必殺技演出をカットし続けなければならないんですか。私のスマホのストレージは、いつになったら『追加ダウンロード』から解放されるんでしょうか」
伊地知が、過労でカクカクとした「フレームレート30」みたいな動きで、涙目になりながらプリントを配る。
「伊地知くん、固いこと言わないの。ほら、読者からのハガキが来てるぞ。『五条先生。ゲームで先生を編成に入れると、数ターンで勝手にどっか行っちゃうんですけど、あれはどこで全裸になってるんですか?』という、ペンネーム・フレンド枠は常に完凸さんからのお悩みだ」
「……アンタの『離脱』は、ただの職場放棄だろ」
虎杖が呆れ顔で突っ込むが、五条はスマホを連打しながら加速する。
「いいかい、みんな! ガチャの秘訣は『無心』だよ。はい、悠仁! 今すぐ宿儺に代わって、全裸で『廻る、廻るよ、ガチャが廻る!』って叫びながら、校庭で虹色の煙を吐き出してきて! 最後に『SSR・全裸の呪いの王』として、排出率0.0001%の幻のキャラになってきて!」
「おう! 任せろ先生! 俺、よく分かんねぇけど、キラキラ光ればいいんだな!」
「行かせるかボケェッ!!」
釘崎のハリセンが、音速を超えて五条の「不可侵(課金ガード付き)」、伊地知の「スキップボタン」、そして背景で勝手に「最強キャラランク」を格付けしていた七海の「残業確定通知」をまとめて物理法則無視で粉砕し、五条の脳天にめり込んだ。
もはやこの教室において、ツッコミこそが唯一の「アカウント凍結(バン)」である。
「痛ーい! 野薔薇ちゃん、ゲーム業界の売り上げ(物理)を邪魔するなんて……これが無課金勢による、執念のアンケート回答(暴力)の力か!」
教壇でのたうち回る、スマホまみれの最強。
教室の掲示板には「メンテナンス中」の文字が虚しく貼られているが、この3年J組だけは、イベントが始まる前に、先生のせいでサーバーが物理的に「領域展開(爆発)」しそうな混沌に包まれていた。
「……ま、ガチャが出ないなら、僕が『領域展開』で全人類の所持キャラを『僕の自撮り』に強制上書きしてあげるからさ。タイトルは『五条悟、あなたのスマホを永劫封印!』。来週から全編これで行くよ」
「……そのまま通信制限がかかって、一生圏外でじっとしてろ」
伏黒が、窓の外でなぜか本当に「単発ガチャ」の真似をして空から降ってきた虎杖を眺めながら、深くため息をついた。