魔界出身の子   作:覚め

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清白は対魔法使いって奴だな。


楽しいこと

布教活動というわけではないのだけれども、僧侶らしいこと。なーんだ?よく分からない所で座禅を組み、ジッとすること。自分の前に謎のお椀を置く。こうするとたまに銭を放り込む人がいるらしい。はっはっはっ、作り物の私には余裕すぎてもはやいつもと変わらないね。というわけで私は今、その布教活動というわけではないのだけれども、僧侶らしいことをやっている。この行為の名前は聖から教えてもらえなかった。もしやこれは乞食というのでは?という考えが一瞬よぎった。

 

「…」

 

一日を何もせずに耐え忍ぶとなれば、それはかなりの忍耐が必要になる。我慢強さともいう。作り物の私にはそういう場合の対処法を知っているし、なんなら魔界にいた時期は環境が変わるのを待つために三ヶ月何もしない時があった。それに比べれば一日くらいなんてことのないものだ。…が、それは今まで聖たちを知らなかったことに起因する。物珍しい顔でこちらを眺める子供や、またいたとか思ってそうな大人の足音を聴きながら一日が終わるのを待つ。正直言って、かなりつらい。なんだこれ、魔界よりも苦しい。帰っちゃダメかな。

 

「あれ、あの時の子だ」

 

「…」

 

「あー、お寺の。大変そ〜」

 

「…」

 

「ばあっ!」

 

早くどっかいってくんないかな…多々良小傘が驚かそうとし、反応もないのでしょんぼりと帰る足音。悪いけど今の私はそんなに暇じゃない。嘘だ。めちゃくちゃ暇だ。せめて魔力だけでも欲しい。ここまで苦痛な退屈は初めてだ。…目の前のお椀に、銭の替わりと言わんばかりに新聞が置かれた。文々。新聞と書かれている。…どうやら妖怪が作った新聞のようだ。いつもなら興味もないものだけれども、今の私は一面を開いて欲しいなと思うくらいのものだった。でも結局、あの聖がつまらないと言ってしまう新聞だ。

 

「…はぁ。」

 

息を吐いて気を引き締める。ちなみにだけど、一輪がやっているのを見たことがある。その時の一輪は寝ていた。つまり、それくらい退屈だ。動けないということだからなぁ。気分も一緒にやる気を失いやすい。…でも、なんとかやり遂げる。聖から服をもらって初めてのやることだから。でも帰りたい。ホームシックです。とか思ってたら隣に誰かが座った。隣に座った誰かの帽子は、私の被っていた帽子によく似ている。同業者かな?もしや私の隣に座って私に来る銭を奪うつもりかな?

 

「お師匠のお薬、売れないなぁ」

 

「…」

 

「あなたもそう思わない?まあ、答えなくても良いんだけど。」

 

「…?」

 

「私、優曇華ね。あなたの名前は良いけど…命蓮寺の人でしょ?たまに行くんだよね〜。今日はいつまでやるの?日暮まで?」

 

なんかグイグイ話してくる。何かな、この人。私は何も反応を示さないというのに。ペラペラと。まあ私も聞く以外にすることがないので聞くけどね。成る程、薬売りらしい。優曇華という人はお師匠さんの作った薬を売っているしがない商人といった所らしく、常連を巡った後は新規のお客さんを集めに走り回っているらしい。大変そうだ。宗教に酔う人間に薬なんて売っても無駄らしいが、宗教やってる人間にはよく売れるらしい。何いってんだろうか。人間ってそんなめんどくさいのかな。

 

「話し相手もいないし、てゐには仕事を押し付けられるし…今日は散々よ」

 

「…」

 

「…良し。話し相手になってくれてありがとうね。それじゃ!」

 

さあもう一仕事、と肩を回した優曇華が去って行った。もしかして布教活動というわけではないのだけれども、僧侶らしいことにはこういう人が付き物なのかな。宗教って大変だ。魔界で宗教はなかったかな。確か…唯一神みたいな存在が、いたようないなかったような。まあ私もそこらへん詳しいわけじゃないし、なんなら全然知らないかもしれないし。私以上に魔界に詳しい人が出てきたりしないかなぁ。魔界出身の人。…いるかな…いないかも…いて欲しいな。

 

「…そう言えばお前、聖の所にいたな。」

 

「…」

 

「今は托鉢の最中か…清白だっけ?確か魔界出身だったから…これやるよ」

 

魔理沙の手によりお椀に放り込まれたのは、魔石だった。魔界では割とよく見る物。…なのかな。分からない。聖に出会う前まではかなり大量に持っていた物だ。聖に出会ってからは結界を壊すために魔石を放り投げたりしてたからすぐに無くなったけど。世の中って悲しい物だね。それで私は腕を壊したりするんだから。魔理沙はたまに魔界に行ってるらしいから、その時に採ってきたのかな。…なんでだろう。魔理沙も魔法使いだったりするのかな。それともこういうのが好きなのかな。後者ならかなり可愛いけど。

 

「…清白」

 

「聖?」

 

「もう終わりですよ。そろそろ市場も終わりますから」

 

「はーい」

 

「今日の布教活動というわけではないのだけれども、僧侶らしいことは良くできましたね」

 

「托鉢って言うらしいよ」

 

「…そうとも言います」

 

「?」

 

何やら分からないが、とりあえず命蓮寺に帰宅。新聞と魔石と、優曇華が置いて行ったであろう薬。なんの薬なのか分からないな。今度優曇華に出会ったら聞いておこう。魔石は聖がよく眺めた後に私に任せるといって渡された。食べた。新聞は帰ってから読んだのだけれども、なんだか…とてもどうでも良い話が延々と書いてあった。成る程、これはつまらない。これはつまらないと言うか、なんだろうな。天気と4コマ漫画と謎のコラム欄以外見ても関係ない。妖怪同士の話を人里に配られた新聞で読むがいるのか。

 

「…どうでしたか、新聞は」

 

「つまらないかなぁ」




文々。新聞のコラム一覧
昨日の博麗巫女の活動と、今日の活動範囲(第三回で止まっている)
守矢神社が越して来ました!(東風谷早苗執筆。第二回で止まっている)
魔法の森の植生について(魔法の森在住の人執筆。第一回で終わっている。)
射命丸文の休日!(筆者にて執筆。現在も続いているが、たまに3行で終わったり愚痴が書いてあったりする)
等々。
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