エ〇ゲ世界で或る上位存在曰く「叫べ、太陽ォォォ!」   作:糸をなんとかしろ!

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 ◯ロ同人みたいに!!!!


14 或る太陽仔曰く、「乱暴する気!?怪しい本みたいに!」

 あの忌み子事件からというもの。

 太陽仔はリーリアを連れて妊婦の夢の中から抜け出し意識を取り戻した。

 そして、秘薬の影響で眠っていた五感が真っ先に反応したのは嗅覚からだった。

 

 吐瀉物の臭いだった。

 寝ながらゲロを吐いていた訳である。はっきり言って最悪だ。

 次に目覚めたのは視覚と聴覚。一番最初に見たものは物凄い顔をしているハーニャだった。

 

 

 直接浴びせていないとはいえ、妊婦のすぐそばでゲロを吐くという不衛生極まりない行為に対しての怒りか、純粋にゲロを見て気分を害したのか。

 確認したくても怖くてできなかった。

 

 

 

 

 

 

「おかげさまでリーリアは無事に現世に帰る事ができました。ありがとうございます……後の処置は私がしておきますので、ゆっくり体を休めてください」

 

 とは言ってはいたが吐瀉物まみれの人間相手だ。口呼吸で誤魔化しているのか鼻声気味だった。

 あまりにも格好がつかない現状に太陽仔は少し困りながらゆらりと立ち上がる。

 まだ、秘薬の酔いが残っている。まっすぐ歩くのは少し骨が折れそうだ。

 

 そして、そんな太陽仔にハーニャは。

 

「では、脱いでください」

 

「は?」

 

 突然の切り出しに太陽仔は酷く困惑した。

 なんの冗談だ、とハーニャの顔を見るもいつも通り目は笑っていない。いつも通り光のない目がじっと吐瀉物まみれの太陽仔を捉えていた。

 そして容赦なくダスターコートはおろか見ぐるみ全て剥ぎ取ろうとするハーニャに必死に抵抗した。

 

「きゃー! やめて! エッチ! スケベ! ヘンタイ! 脱がして乱暴する気!? 怪しい本みたいに!」

 

「大の男が裏声で気持ち悪い声を出さないでください! 乱暴とか馬鹿なんですか!? 酔っ払ってるんですか!? 酔っ払ってるんでしょうねぇ!? 吐瀉物まみれのまま過ごす気ですか!! というか怪しい本ってなんですか!!!」

 

「はなせー! 自分でなんとかするからはなせーっ! ガキじゃないんだ、やめろーっ!」

 

「戦闘と花粉と秘薬でふらっふらの状態で何を言ってるんですか貴方は! 大人しく脱がされてください!」

 

 ……などという茶番を、気絶した妊婦が眠るベッドの前で繰り広げていた事は墓か地獄まで持っていきたいと、後の太陽仔は思ったとか思ってないとか。

 なお、リーリアはひと足先に目覚めていたらしく別のベッドに叩き込まれた後であった。

 

 

 

 ◆◆◆◆◆

 

 ベッドに叩き込まれてからというものもう一度一睡した。こうしてちゃんとした形で体を休めたのは久々だ。

 起きた時にはとっくに陽が沈み切っていた。

 

 太陽仔は重い身体を引きずりながら夜風に当たろうと修道院の外へと出る。

 いつも着ている服は吐瀉物でダメになっている都合上、修道院に置き去りにされた古びた男物の服があったのでそれを拝借する事にした。

 

 

 

 外に出てみればどんよりとした風がお出迎えだ。然程気分が良くなるわけでもなく、近くの岩に腰掛ける。

 

 修道院はアルセゾンの村に立ち並ぶ建物たちから少し離れた場所にある。

 晴れた夜ならきっと夜風が心地良かったであろうその場所を少し惜しく感じながら、太陽仔はアルセゾンの村を見渡す。

 

 

 

 

 太陽を奪われたこの場所は、かつてのサン・ミゲルやイストラカンと同じなのだろう。

 本来あるべき生と死の輪廻が犯されている。

 今回の被害者と同じように忌み子を孕んだ妊婦がおそらくきっといるのだろう。

 

 

 

「あんたか」

 

 独りきりの太陽仔に声を掛ける誰かがいる。

 声の主の方を向くと、そこには男が立っていた。

 あの妊婦の弟だ。

 

「……あのちびっ子修道女(ハーニャ)によると姉さんは良くなっていっているそうだ。あんたたちのおかげだ」

 

 完全にこの手の事はリーリア共々ハーニャに丸投げしてしまっている。

 この手の治療の話はからきしなものだから、邪魔しないように彼女の視界に入らないようにしてきたが、ハーニャはうまくやっているらしい。

 少し安堵しながら太陽仔は「そうか」と素っ気なく返す。

 

「最初は疑っていた。ここの聖職者連中は妊婦を見つけるや否や何も説明せずに連れ去ってしまう。同じようなことをされてしまうんじゃないかってな」

 

 この地において聖職者は信用されてなどいない。このアルセゾンの地において東の方には聖堂が立っている。聖堂を目にするや否や太陽仔は身震いした。

 サン・ミゲルの大聖堂*1とトントンぐらいの大きさか。サン・ミゲルの方には少し前に訪れたがおかしなパズルまみれで気が滅入りそうになったのは覚えている。

 故に聖堂を見ると少し肌が粟立つ。

 

「そう言えばあんたたちはあの聖堂から来ていないんだったな」

 

「あぁ」

 

「昔は普通の聖堂だったんだがいつの間にか妙なことをし始めた。呪いの騒ぎが起こるか起こらないかのタイミングだったかな……なんとかしてくれないか?」

 

 妙なこと。

 聖堂の神官あたりをとっ捕まえてやれば吐いてくれるだろうか。

 とはいえ、この異変を考えれば渦中とされる神官たち自体まともな人間で無くなってしまっている可能性を思えば真っ当に喋ってくれる気はしなかった。

 

「俺たちはもとよりこの地の呪いの原因を探っている。善処はするさ」

 

 それがヴァンパイアハンターの仕事でもある。

 かつてジャンゴがイストラカン、サン・ミゲル、死灰の街を浄化したように。

 名もなき太陽仔もこのアルセゾンを浄化するのだ。それが仕事なのだから。

 あたかも当然の如く返した太陽仔に、男は少しでも迷うと踏んでいたのか意外そうな顔をしてから少し、間を置いてから安堵し息を吐く。

 

「そうか。悪いな。今のままじゃ、姉さんが安心して生きていけない」

 

 それにしても、だ。

 弟はこうだと言うのに、姉を孕ませた父親は一体何をしているのだろうか。

 あの様子だと、誰とも知れぬ子を孕んだのか。

 ついぞ現れなかった父親に対して少しモヤついた感情が渦巻く。

 

「ついぞ、父親は現れなかったな。こんな状況でよくもまぁ」

 

 忌み子を孕ませた事を後ろめたく思って逃げたと言うのならば無責任もいいところだ。しかし、何かを知っているのか男は憤慨する事は不思議にもしなかった。

 

「…………それは」

 

「ん?」

 

 言い淀む男に太陽仔は怪訝に眉を顰める。

 

 

 

 

 

「俺が……父親なんだ」

 

 姉が孕んだ子の親が、弟たるこの男。

 その意味を脳内で反芻した時、やっとこさ状況を理解した。

 近親相姦。

 太陽仔の知る常識の範疇においては確かに後ろめたい話だった。

 当然、男もその自覚はあるらしく俯き自らの行為を悔いているようだった。

 

「良くないことなのは理解しているつもりだった。だが俺たちは……愛し合ったんだ」

 

 それは禁忌。

 これ以上太陽仔も何かを言う事はない。

 弟たる彼だけが彼女の危機に駆けつけた状況も腑に落ちた。彼らの世界には彼らしかいないのだ。

 

「そうか」

 

 だから、何かを言う資格は太陽仔には持ち合わせていない。

 太陽仔とて真っ当な人生を歩んでなどいないのだから。

 

「……何も、言わないんだな」

 

「ん? 文句でも言われたいのか? アンタは」

 

「不思議に思っただけだ」

 

「俺はアンタらの事を何も知らない。だから何かを言う気はない。言って何になるんだ」

 

 これまで起きたことが嘘になんかなりはしない。

 誰かが救われることもない。

 

「乾いてるんだな」

 

「俺も他人の事どうこう言えるほど立派な人生歩んじゃいない」

 

 そう。死屍累々の上を踏み越えて歩いてきた、太陽仔には。それに何か思うことがあったのか、男も親の事については口を閉ざした。

 

 

 

「……あんた、牧師だったな」

 

「あぁ」

 

 そう言う設定だ。

 奇妙な術を使うことができる理由づけのために便宜上名乗っているだけ。名ばかりの肩書き。

 

「弔ってやってくれないか。()()()を」

 

 生まれるはずだった、子を。

 外なる者にその存在を置き換えられ、命を奪われた子を。

 牧師とは本来そう言う仕事なのだ。(チャカ)持ってドンパチ騒ぎする仕事ではない。

 

 

 

 石を積む。

 即興の墓だ。本来ならば墓場で建てるべきなのだろうが墓場は今はゾンビまみれだ。そんな場所で悠長に弔ってやる余裕はない。

 

 そして、弔うはずの子の亡骸はない。

 忌み子にその身を奪われてしまったのだから。そしてその奪われた身は異形に支配され、この世に生まれ落ちるより先に太陽仔とリーリアによって消されてしまった。

 だから今建てている即興の墓は伽藍堂。

 

 不出来な墓もどきに水を撒く。

 背後で不出来な墓もどきを建てている太陽仔の背後には男が見ている。

 必死にこの20年近く見聞きした事を総動員してそれっぽくまとめる。

 

 墓が出来たら次にする事は……祈りだったかなんだったか。

 完全に記憶があやふやな中いい加減な言葉が太陽仔の口から紡がれる。

 

「……えっと、天にまします我らの父よ、我らが人に赦す如く我らの罪を赦し給え。亡くなった我らの兄弟、この世を去った全ての人を貴方の……えー……なんだっけ……貴方の下にお召し……お召し上がりに……違うこれだとメシだ。貴方の下にお召し物を……そりゃ着替えだろバカチンが。俺が一番欲しいわそれ。えー貴方に召使いを、ってこれはパシリじゃねえか、焼きそばパンと暗黒マガジン買ってこいやスットコドッコイが」

 

 思うようにいかない弔いに次第に太陽仔の顔が引き攣り、汗が滝のように流れ出す。

 

「……こっちも深くは聞かないでおくよ。あんたなりに頼む」

 

 何かを察したのか、というか太陽仔がエセ牧師である事がバレたらしく男は諦め切っていた。

 なお、太陽仔当人は心底安堵したとかしなかったとか。

 

「ごめんな。お前にお天道様見せられなかった。あんなナメクジみたいなバケモンに未来も奪われて。……必ず原因を突き止めて太陽を未来も奪い返す。それがきっとお前にしてやれる弔いだ。だから…………せめて、太陽とともにあらんことを」

 

 まだ名も与えられる前の赤子に別れを告げる。

 男を修道院まで帰らせ、不出来な墓もどきの前に残された太陽仔は一人「じゃあな」と溢した。

 

*1
出典:続・ボクらの太陽。ゲーム中最序盤に侵入するダンジョンでありながら序盤とは到底思えないような難解なパズルと複雑怪奇なマップ、子供向けにあるまじき遠回しすぎるヒントとギミックでプレイヤーに地獄を見せた。




 体感ゾクタイが一番面倒だった記憶しかない。
 主にパズルとかパズルとかパズルとか。

主要人物リストと頻出用語の解説とか要りますかね……?

  • いる。
  • 無くても大丈夫やない?
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