エ〇ゲ世界で或る上位存在曰く「叫べ、太陽ォォォ!」   作:糸をなんとかしろ!

19 / 20
Q:この夏の間投稿せず何しとったんや
A:蒼空の塔登りながらタンカーとプラント潜入してたりコスタリカで人さらい(フル◯ン)してました……(震え声)


18 或る修道女曰く、「ひゃっ! ちょっ何をするのっ」

 銃声。

 このだだっ広い沼地にこだました音に、名状し難い鳴き声のような物が追いかける。

 

「◼️◼️◼️◼️◼️◼️!」

 

 ──やはり弱点は顔面か。

 

 骸骨頭に注ぎ込まれた暗黒物質(ダークマター)が苦手なソル属性を叩き込まれたからだろうか。

 顔から黒煙を上げ、苦悶の表情を見せながら沼に沈んで隠れる忌み子。それに対して太陽仔は至って冷静だった。あの骸骨頭が居なければまだ冷静に頭が回る。

 あの骸骨頭を見ると妙な不安と恐怖と何かが綯交ぜになった感覚に襲われるらしい。

 

 一旦あれのことは置いておいて気にするべきはリーリアと忌み子だ。

 リーリアをあの巨大な忌み子の苗床にされるより先にあの化け物を始末するか、それともリーリアを引き上げるかのどちらかだ。

 

 触手が太陽仔を殴りつけてくる。

 それを難なくかわしながら太陽仔は思案する。

 次に本体が出て来たら──

 

 

 太陽銃をサムライに換装してあの胴体を掻っ捌くか。

 駄目だ、リーリア諸共ぶった斬る羽目になりかねない。今彼女がどこにいるか見当がつかない以上あり得ない。

 

 敢えてあの忌み子に喰われて引き上げるか。

 これも無しだ。こっちもこっちであまりにもリスキーだ。ミイラ取りがミイラになりかねない。

 

 今のままドラグーンで顔面直撃脳天1発と行くしかあるまい。そう判断したその時だった。

 

「おい!」

 

 リーリアが逃したはずの金髪の男がやって来ていた。

 

 ──馬鹿野郎! 

 

 せっかく物陰あたりに隠したと言うのにこれ以上面倒は見切れない。なぜノコノコ出て来た。

 舌打ちしようとしたその時、男は手に持った何かを太陽仔めがけて投げつけた。

 

「コイツを……使え!」

 

「……ッ!」

 

 アーチを描いて飛んでくるそれを落としそうになりながらもキャッチ。

 受け取ったそれは布に包まれていた。中身がわからないと言うのに身に覚えのある重みがすべてを教えてくれていた。太陽銃フレームだ。

 布を剥ぎ取ると、山吹色の銃身が顔を出す。

 

「こいつは!? ……どうして……!?」

 

 太陽仔は大きく目を見開く。

 身に覚えのある重みで少しは読めていた。とはいえ、あの金髪の男が持っていたとは信じ難いと思う太陽仔がいるのだ。

 

「ある集落で拾ったものだが使い道が無くてな。お前のその銃を見てまさかとは思ったが。どうだ、使えるか」

 

 思ったより物はひどく散逸しているらしい。

 アースのレンズは紆余曲折あってあの夢見の森のバケモノが吸収していた。今度は集落ときた。神官がばら撒いたのか、それとも世紀末現象かそれに近い何かの巻き添えをもらってどこかに吹き飛んでしまったか。

 とはいえ今この瞬間取り戻したものは心強い武器だ。その名も──

 

「ファランクス。ヘビーショットフレームだ」

 

 即座に換装してみせた。その太陽仔の手慣れた動きに金髪の男は読み通りだと言わんばかりに無言で頷いた。

 銃口から小爆発を起こすというそのフレームの性質上射程こそ終わっているが、相応の威力をノータイムで連射できる強みがある。

 

「……あのグラマラスな嬢ちゃんは助けられそうか?」

 

「やってみる。というか見ていたのか」

 

「あぁ、コイツでな」

 

 金髪の男が指し示した先には首から伸びる紐──腹まで伸びたその先には黒い二つの筒を繋げた……言わば望遠鏡がぶら下がっている。

 この男、アルセゾン周辺の人間にしてはやはり浮いている。どちらかと言えば太陽仔寄りの人間だ。

 

「引き続き隠れて、こいつで見ているつもりだ。ただの人間にどうにかできる範疇じゃないだろうし」

 

「そうしてくれ。……来るッ」

 

 男がそそくさと隠れる中、轟音と共に沼を突き破るように忌み子が顔を出す。

 そして次に口からヒルの塊のようなものを吐き出した。

 

「弾けろ……!」

 

 直球ストレート。太陽仔の顔面目掛けて飛んでくるそれを避けること無く銃口を塊に向け迷いなく引き金を引いた。

 放たれたのは弾丸ではなく爆発。それもひどく小さな爆発だった。それをもろに受けたヒルの塊が受けた時起こる事は一つ。

 無惨に弾け飛ぶだけの事だった。次に触手を太陽仔の背後に忍ばせ鞭のように振るうものの太陽仔の姿は掻き消え、忌み子の目と鼻の先に現れる。そして、地面にファランクスの銃口を向けた。

 

「ぐぅっ!?」

 

 腕に強烈な衝撃が襲う。

 本来なら当てた相手が吹っ飛ぶような一撃だ。とはいえ太陽仔の何倍、何億倍もある広さの沼地が吹っ飛ぶ事などあり得ない。代わりに太陽仔が宙を舞った。

 

「捕まえた」

 

 そのまま忌み子の頭部にしがみつく。

 人間とて虫が顔に取り付けば当然振り払おうとする。それと同じように忌み子はその巨躯を捩らせて太陽仔を振り落とそうとするものの、もう全ては遅かった。

 

「全弾──持っていけ!」

 

 引鉄を引くだけ。

 1発2発3発、10発、15発。短時間で何発も叩き込む。骨が軋む。悲鳴を上げる。

 忌み子の狂声と銃声のマリアージュ。

 腕が逝くか、忌み子が逝くか。

 左右上下に揺さぶられ、それでもなおもヘビーショットを叩き込む。太陽仔の意識は腕より先の太陽銃にあった。今忌み子にしがみついている太陽仔の身体に人としての意識はなく、意地だけが残っていた。

 速かったのは──

 

 

 

 

「◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!」

 

 忌み子が逝く方だった。断末魔を耳にした瞬間太陽仔は即座に飛び退いた。着地する瞬間、危うく滑りかけそうになりながらなんとか踏ん張って耐えてみる。

 忌み子の顔から拒絶反応で黒い煙を噴き出している。

 ありったけを叩き込まれた忌み子の顔面は原型が見えない程に歪み、黒く焼けただれていた。

 コマ送りのスローモーションのように緩慢な動きでずしんと音を立て倒れた。

 

 ──さてと。

 

 どうやってリーリアを引き摺り出してやろうか。と太陽仔は内心腕をまくる。悠長にしていれば暗黒物質が注ぎ込まれたなら下手すれば蘇生する可能性だってある。

 腕の痺れるような痛みを味わいながら、忌み子の亡骸に近寄りどうしたものかと思案していると問題の遺体は光の粒となって弾けた。

 

「リーリア!」

 

 これは僥倖。手間が省けた。あの忌み子はイモータル化はしていなかった。

 どうやら太陽銃の力だけで浄化出来たらしい。結果論とは言え中途半端な変異で弱点が増えただけだった。

 

 飲み込んでいた忌み子が消えれば当然取り込まれていたリーリアが外界に放り出される訳で。

 沼地に転がったリーリアを太陽仔は抱き起こす。体は粘液に塗れ、目元には涙の跡。短時間で済んだとは言え何もなかったとは言えまい。

 

「牧師……さん。けほっ……」

 

 咳と共に、リーリアの口から粘ついたものがぼとっぼとっ、と音を立てて落ちる。

 吐き出したもの。それは赤黒いビー玉サイズの玉。

 口を介して卵を産み付けられている。あの化け物たちからすればリーリアは格好の孵卵器、というわけか。

 

 舌打ちしているとどこからか声がした。

 まるで脳に直接送り込まれるような声に太陽仔は太陽銃を構える。声の主は骸骨男だ。

 あれは──敵だ。

 

『コングラッチュレーション! 実験は失敗のようだ! あの忌み子はイモータルの資格は無かったらしい。また次の機会、興奮の戦いを見せてくれ。兄弟』

 

「ほざけ。機会なぞ誰がやるか。さっさと出てこい」

 

 出てきたら即刻ゼロシフトで回り込んで背中にファランクスを叩き込んでやる。そんな太陽仔の心境を読んだのか薄ら笑いの混じった骸骨男の声が返ってきた。

 

『そんな怖い顔をするなよ。兄弟へのスキンシップだよ』

 

「勝手に他人の事を兄弟と呼ぶな気色悪い。もし仮に本物でも即刻絶縁だ」

 

『まあそう言うなよ。また次の戦場(ダンジョン)で、チベディアーモ! *1』

 

「……チッ」

 

 それ以上骸骨男の声は聞こえなかった。どこかへとんずらしたようだ。

 太陽仔からすればこれ以上聞きたく無かったのが本音だったものの、一撃叩き込んでやりたかったと言うのもまた本音だった。

 膝下からの咳き込む声でハッと我に返ると、リーリアがまだ卵を吐き出していた。

 

「ゔぉぅえっ……ぇっ……」

 

 明らかに大丈夫な人間のそれではない状態の彼女の背中を落ち着くまで擦る。

 咳と一緒に吐き出される唾液とおそらくヒルの産み付けた粘液が入り混じった卵を横目に、あのグラサンの男が駆け寄ってきた。

 

「やったのか? あのバケモンを」

 

「あぁ。浄化した」

 

「そうか……アンタたちは聖職者か。そこの嬢ちゃんは」

 

 嬢ちゃんというのはリーリアのことだ。

 彼女が何者なのか、と言う意味では無い。言わんとしていることは分かる。ヒルに妙なものを産み付けられていることだ。素人目から見ても「大丈夫」だとは口が裂けても言えやしなかった。

 咳が収まると、腹部を抑えながらゆらりと立ち上がる。少しふらつく所を太陽仔が支えようとした矢先リーリアは自分で持ち直した。

 

「また助けられたわね……ごめんなさい」

 

 ゼロシフトを初見で読めと言う方が無茶だ。

 あれはほぼノーモーションで簡易的な転移をしてみせる魔法だ。攻略法はあるとはいえ事前知識がある事前提だ。

 太陽仔とてあの魔法の構造を理解したのはサバタのおかげだ。もし彼がいなければ太陽仔にはあの骸骨男は訳のわからない瞬間移動をしてくる化け物のように瞳に映っていたことだろう。「気にすんな」と小さく返してからグラサンの男に向き直った。

 

「……で、アンタはどうしてこんな危険地帯をほっつき歩いてたんだ」

 

「商売(ビジネス)をやっていてな。その一環で配達(ポーター)をしていた。沼地を跨いだ街、ルゥグ*2からアルセゾンまでだ。迂回するにしても山岳地帯と崖が邪魔をする。崖を超えるための橋(ブリッジ)も老朽化で朽ちて使い物にならん。どちらにしても危険なら──」

 

「最速で最短の手段を取ったほうがまだマシってことか」

 

「結果、大失敗(ファンブル)だったがな。危ない所だった、おかげで助かったよ。ありがとう」

 

 護衛に雇った連中も逃げたので完全に無防備、生きた心地はしなかっただろうことは明白だった。

 

「行き先はアルセゾン……だったな。もののついでだ。送ってやる」

 

「見返りはなんだ」

 

 疑り深い男だ。用心しないことに越したことはないのは確かだ。

 少なくともこの時代においてそういう生き方は間違いではない。それに初っ端から分かりやすい態度を取ってくれるのは太陽仔としては嫌いではなかった。

 

「これ」

 

 太陽仔は手元の太陽銃に指さした。先程投げてよこしたファランクスだ。

 もともと自分のものではあるが、ここで開示しても仕方がない。見返りなど今回の場合取る気などなかったもののこの手の手合いにはわかりやすくこちらの下心をでっち上げてでも用意したほうが納得してくれるのだ。

 

「悪いな。これで取引成立だ。アンタ、名前は」

 

「名前などない。どうしても呼びたいなら、そうだな……牧師と呼んでくれ」

 

「名前を持たない男……か。よろしく頼む牧師(プリーチャー)。俺は……一旦M(エム)と呼んでくれ」

 

「一旦?」

 

 太陽仔の疑問符に答えることもなくなにか遠い目をしてからグラサンの男が荷物を纏め始める。先程の騒動で荷崩れが起きていた。これを直さないことには配達もままならない、ということか。

 

「っと、こいつぁひでぇや。あれ……こ、これがこう……これを……こうして……この先……ヌルっとしてる、あっ、ちょっ、うん? なんだこれ?」

 

 そんなMの悪戦苦闘を他所にリーリアの方を見る。目に見えて顔色が悪い。

 

「歩けるか、リーリア」

 

「えぇ。まだ中に卵が残ってるようだけど、なんとか」

 

 腹部を抑えながらふらふらとした足取りでリーリアが平気だとアピールしようとしても身体は正直なもので──無茶をする奴だなあ、などと太陽仔は苦笑いしつつ。

 Mが荷物を纏め終えるのを見てから彼女に背を向けて屈んだ。

 

「ほれ」

 

 一人を背負う程度重荷でもなんでもない。

 けれども──いつまで経っても人の重みが来ることはなかった。

 

「……一人で大丈夫」

 

 嘘をつくな。

 明らかに咳をこらえて喉を膨らませて千鳥足なそれを大丈夫とは言うわけがない。

 

「慣れっこ……だから」

 

「ったく」

 

 放っておけば死んでしまいそうなくらいに死神に好かれている彼女を無理やり持ち上げる。いつものリーリアなら抵抗して振りほどけそうなものなのだが、抵抗は弱々しかった。

 一種のお姫様抱っこに相当するそれに当然恥ずかしいと思う程度には当然羞恥心はあるわけで。リーリアの白い顔が一気に赤くなった。

 

「ひゃっ! ちょっ何をするのっ」

 

「強硬手段。一人で歩ける元気があるなら振りほどいてみろ」

 

 ついでに「やーいやーい」とステレオタイプないじめっ子のようなわざとらしくかつやる気のないからかい文句も付け足して。

 なおこの強硬手段は諸刃の剣。このままアルセゾンまで運んで公衆の面前まで運ぼうならどんな目で見られるか分かったものではない。

 ついでにハーニャに何を言われるか分かったものでもない。なんならリーリア当人に嫌われても何も文句も言えやしない。

 

「うっ……貴方の主張は分かったからその……最初のにして貰えますか」

 

 流石に堪えきれずコートの布地を掴みながら消え入りそうな声で訴える彼女の態度に太陽仔はほっと内心胸をなでおろした。

 

「……あいよ」

*1:
イタリア語でまた会おうの意

*2:
出典:オリジナル アルセゾンから西。血呑み沼地の更に奥にある村。アルセゾン程の呪いの影響こそ無いが魔物そのものの侵入は少なくない。




 あ、そうだ(唐突)
 8月27日に発売されたMETAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.2 に収録されている2作品にはボクタイの要素がちょっと含まれているので是非探してみてね!








・読まなくてもいい裏話
 カz……グラサンの男ことMがいたというルゥグ。
 元は機動戦士ガ◯ダムSEEDに登場するサブフライトシステム『グゥル』の逆さ読み。

 どうもシニシスタに登場する舞台がガ◯ダム(閃光のハ◯ウェイ)に出てくるサブフライトシステムの名前が元になっているらしいのです。
1:ケッサリア(そのまんま)
2:ギャルセゾン→アルセゾン

 それに倣って、こっちもガン◯ムネタだ!
→シニシスタ公式サイドがなんとなく使わなさそうなネタにしよう
→宇宙世紀じゃないガンダムから出そう
→ボクタイとほぼ同期のSEEDにしたれ!ちょうど続編の方にカz……と声似てる奴もいるし!

……というあまりにも雑な考えから出来上がった設定。

 いや多分仮に数年後シニシスタ3出ても閃ハサのサブフライトシステムの元ネタ切れしようが宇宙世紀のサブフライトシステム元にしそうだしそもそもアナザー(死語)のサブフライトシステム自体少ないというかサブフライトシステムに頼らずとも飛べる奴ばっかだし(言い訳)
 個人的な趣味で用意した別候補としてエフラグ、ダベー、ボードウェイ(本来の名前だとなんか村の名前っぽくないので入れ替えてみた。でもこれ特務三佐みてぇだな名前)もありましたが没。

主要人物リストと頻出用語の解説とか要りますかね……?

  • いる。
  • 無くても大丈夫やない?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。