いつか何処かの戦場にいた誰かの記録   作:防水工

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第3頁 アーサー・ペンドラゴンの記録 その2

「美味しかったね〜、エミヤのスコーンとパンケーキ!」

「ええ、味もそうでしたが……我々は、アーサー王陛下があの様に溌剌と自己を表現されていたのが…酷く嬉しいです」

「…アルトリアってそんなに今と違うの?」

「…ええ、あの御方は、いつもブリテンの未来を見据えて、酷く考え込んでいました。

あんなふうに、心の底から感情を発露させているのは…カムランの丘での慟哭が初めてでしたから」

 

カルデア施設案内の後、アルトリアがエミヤにおやつ供給の直談判(駄々捏ね)に精を出している中、マシュはダ・ヴィンチちゃんに呼び出され、私はソルジャーを散歩がてらマイルームに案内していた。

だが、ソルジャーがカルデアの廊下の角を曲がった瞬間、世界が凍りついたように足を止める。

そこに立っていたのは、アルトリアと同じ顔を持ちながら、聖剣を漆黒に染めた暴君――アルトリア・オルタが居た。

歩きながらジャンクなハンバーガーをモッシャモッシャと頬張る彼女の冷たい瞳がソルジャーを捉えた。

 

「……ほう。

えらく強い『死』の匂いをさせた雑兵が来たものだ。

マスター、これが新しく召喚されたサーヴァントか」

「あ、オルタだ。

また歩きながら食べてる!

エミヤに怒られちゃうよ!」

「ふん、言わせておけばいい」

 

地を這うような低い声。ソルジャーは無意識に、全ての「兵士」を戦慄させながら、騎士王の時とは対照的な、軍隊の「規律」を最優先した冷徹な敬礼を捧げた。

 

「あ、ソルジャー。

アルトリア・オルタだよ!

アルトリアの別側面ってやつ!」

「……やはり、アーサー王…陛下……なのですね」

「ふん、私を知っているのか。

……ああ、成程あの甘っちょろい私に会ったのか」

 

アルトリア・オルタは鼻で笑い、黒いドレスを翻して彼に歩み寄った。

その一歩ごとに、ソルジャーを品定めする様に。

 

「……ほう…その霊基、一体幾つの骸を集積した?

………かといって呪詛や呪いのような不快なものでもない。

……それに貴様の佇まい、身のこなし…。

加えてひどく慣れ親しんだ感覚……成程…差し詰め、“死したブリテン兵の残骸の集合体”、といった所か」

 

アルトリアオルタは、王の見識か、はたまた直感スキルによる推察か、あるいは両方を持って、ソルジャーの本質の一部を言い当てた。

 

「……肯定です。

正しくは、“人類史に埋もれた、戦場で死した兵士の集合体”であります」

「ふん、そうか…成程な」

 

アルトリア・オルタは、ソルジャーの顎先を白い指で押し上げるようにして、その顔を眺める。

 

「……いい目だ。

数億の死を飲み込み、ただの『道具』に徹しようとするその覚悟。

……気に入った。

貴様等を今一度、我が配下として仕えさせてやる」

 

アルトリアオルタは、ソルジャーの顎先を艶めかしく撫でるようにして指先を離し、無造作に、食べかけのハンバーガーをフードで隠れたソルジャーの口にねじ込む。

 

「…むぐぉ!?」

「食え、さぁどんどん食え。

絶望も空腹も、等しく私の糧だ。

その薄汚い数億の胃袋を、私の戦いの中で満たしてみせろ。

今日から貴様は我が下僕だ」

「ああーッ!!ソルジャーは私の兵隊さんだからー!!」

「ふん、マスターのものは私のもの、私のものは私のものだ!!」

 

アルトリアオルタはとんでもないジャイアニズムを展開しつつ、ソルジャーの頭を掴んで、フードの中にハンバーガーをポコじゃが詰め込み始め、ソルジャーはワタワタとし始めた。

 

「何をしているのですっ!!私!!」

「…チッ!うるさいのが来たな…」

 

カルデアキッチンから直談判(駄々捏ね)に失敗したアルトリアが、エミヤから情けで渡された飴玉を袋で抱えながら現れた。

 

「ソルジャーは私に忠義を示し、今一度私と轡を並べると言った!!

それを下僕などと!!」

「ふん、こいつらは私の下僕とする。

なかなか骨のある連中だ。

私が愛で、使いつぶしてこそ輝くというもの」

「なっ、そんな暴論をっ!!それにアーチャーが泣く泣く精製した粗末なジャンクを詰め込むなど!!

ソルジャー!!我が寵愛として飴玉を下賜します!!

思う存分に味わいなさい!!

そしてそんなジャンクなど否定して私と共に戦うのです!!」

「何をぉ!?このハンバーガーの良さを分からんとはつくづく甘っちょろいな貴様は!!

この簡便さとジャンキーさこそ至高なのだ!!」

「何をこのコンパチめ!!」

「なんだとこのオワコンが!!」

「ご…むぐ…おごごごご………」

「わー!!2人とも、ソルジャーが座に帰っちゃうからーーッ!!」

 

 

アルトリアとオルタの2人に飴玉とハンバーガーを詰め込まれ、ソルジャーは意識を失い、2人揃ってエミヤとアルトリアリリィに叱られたのは別の話である。

変性亜種特異点の第3節を乗りに乗りまくって書いたが故に、カルデア軍を名乗る不明勢力関係で所々書き直したい場所があります。只、書き直すと少しばかり設定が変わる部分があるので、アンケ取ります

  • 書き直して
  • 別にいいよ
  • そんな事よりおうどん食べたい…
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