みんな大好き設定ドカ盛りにございます。
四月。
登校日初日、入学式当日。
言い方はなんでもいいけど、とりあえず今日は『
事前の資料では俺は『A組』、出席番号は『9番』。
......なんの偶然......?
資料に書かれた登校時間より、二時間前に『雄英』へ向かった。
教室の位置を確認。
そして、誰もいない教室で席の確認を。
廊下側から二列目、後ろから二番目。
......そんな事より。
「......やっぱ、すげぇな......正直感動モンだ......」
誰もいない静かな教室を、グルリと見回す。
まず教室のドアの高さが六メートルを超えているのもそうだが、かなり軽い事にも無駄に心が震える。
席の数、配置の間隔。
教壇、正面電子黒板、壁側の仕込み。
教室後部には、縦二段横十列のロッカーと、掃除用具用のロッカーに背面電子黒板。
天井までの高さも、教室の広さも。
「......
ここまでくると
......いや、まぁ、ここは完全なる現実なんだが......
それに、制服を着ても
「......早めに来て正解だな」
主に俺の興奮度的に。
教室廊下側には、前側のドアと後ろ側のドア、その間に四枚の窓。
「......あ、この黒板、上下式だ」
試しに動かしてみれば、耳の良い奴には聞こえる程度に小さな音が。
動きは軽やかで、引っ掛かりも無い。
「......これ、どっちかといえばモニターなのか......」
良いね。
これが──ここが『雄英高校』。
このまま校舎を散歩するのもいいな。
「......後でいいか......」
少し落ち着くのが先だな......このままだと妙な声上げそう。
さて、職員室に行くか。
今の時間は誰がいるか......
\────\── 〈 ◯ 〉 ──/────/
しかし、廊下もまた広い。
支えの格子があるとはいえ、外側はガラス張りだから開放感が違う。
採光に困らんし、照明にも気を遣っているのが分かる。
これが本当のバリアフリーなのか......?
廊下幅だけで、本来の人間規格の体型なら何人横に並べるんだ......身体の大きな『異形型』でも困らないな。
実地で堪能できる。
これは......熱狂的なファンに刺される可能性があるな......?
──さて。
場所の確認ついでに職員室まで来てみたが、気配は十五人程。
他の者は全員、入学式の準備に出払っていると見ていいか。
そして例に漏れず、職員室もバカデカい。
職員室に出入りする為のドアだけで幾つ用意してるんだよ......
っと、職員室から出てこようとしている者がいる。
足音は軽い。
ヒールの女性だ。
これは......『
職員室内の話し声、内容は......まぁ、関係無いな。
ガラリとドアが開いた。
「......おはよう」
「あら、おはよう」
『
『18禁ヒーロー』、『ミッドナイト』。
腰元まである黒い髪、青い眼。
肌色の極薄タイツとボンテージに近いデザインの『ヒーロースーツ』を着ている。
『個性』は『
ミッドナイト自身の肌から、吸引した者を眠らせる香りを放つ。
その為に、戦闘においては肌を露出した方が効率が良い。
とはいえ『スーツ』や『サポートアイテム』は本人の趣味全開だが。
なお、女性よりも男性の方が効きやすい。
被害を最小にして場を鎮圧できる、非常に厄介な『個性』だ。
弱点は、身体能力が女性としての範疇に収まっている事。
確かに、一般人に比べれば充分超人の域だが......
......『個性』の届かない範囲に移動する、一時的に呼吸を止める、防護マスクをする、
ミッドナイトはまた式場へ戻るようだ。
......探索でも続けるか。
クルリと方向転換して。
......次は......保健室でも──
──ミッドナイトの呼吸が少し乱れた。
「えっ!? とがねさ──んンッ!!」
半身で振り向く。
ミッドナイトは顔を背けていた。
すぐに俺に向き直って。
......妙に澄ました笑顔だな......
「おはよう
「......切り替えが上手いな、ミッドナイト。改めて、おはよう」
「なんの事かしら〜? そうだ! 『雄英』を散歩しているなら、私が案内しま──するわよ?」
......おい、混ざってるぞ。
「......仕事中だろ、ミッドナイト」
「大丈夫ですよ! 『雄英』は自由がウリなんです!」
「......おい、口調」
「あっ......! いぇそのぉ〜......ちょ、ちょっと待ってね......!」
若干冷や汗を流しながら、誤魔化すように連絡をとり始めた。
......大丈夫か......?
敬語はいらねぇと言っただろう......妙なところで頑なになるから......
「──校長先生、今よろしいですか?」
ん、会議中か......? 朝礼か、入学式に関してか。
あぁいや、式場にいる可能性もあるか。
「──例の彼が登校していまして......散策していたようです」
対象の目の前でやる事じゃ無いな。
面倒臭がりやがって。
この分じゃ、俺の事は殆ど話していないと見ていいか。
別に、隠す事も無いんだが......
「──このまま私が同行しても? ──はい。こちらはお任せください」
連絡を終えて、俺に向き直る。
良い笑顔で一歩詰めてきて、上目遣い気味に俺と目を合わせた。
「さぁ! 私が案内を任されたわ! 一緒に行きましょう!」
「......隠す気無いな、ミッドナイト」
「ふふふっ! だってこんなチャンス、滅多にないもの! ──とがねさんに学校案内......! 二人で校内散策......! くぅ〜......ッ!」
マジで隠す気無いな、お前。
「......さっき気付かずに流そうとした奴とは思えんな......」
「──っ! それはホラ! あれですっ! いると思ってなかったのでつい反射的に......! ね!?」
ユラリと歩き出せば。
慌てた調子で、ミッドナイトも追いかけて来る。
「とがねさ──! んんッ、九條くん......? あら〜......? あの、九條く〜ん?」
俺を呼びながら横に並んだミッドナイトが、顔を覗き込んでくる。
横目に目を合わせれば、小刻みに揺れる青い眼が。
「......単純な散策だ。話し相手になってくれ」
「っ、ええ! もちろんです! ではこれから──はい......」
パッと笑顔を浮かべて、すぐにスンと静まった。
自覚があるのはいいが、なんで勢いで流さないのか......
「......カッコつかないな、お前」
「ぅっ......! ち、違うの、いつもはこうじゃないのよ?」
「......さっきから」
「ぐふぅ......! 違うのよホントにぃ〜......!」
本人の趣味とは、また違う様子で悶えている。
......このまま放っておいたら、戻ってこなさそうだな......
「......ミッドナイト」
「──な、なにかしら......?」
顔が紅い。
反射的に反応したんだろう。
ミッドナイトから、小さく安堵に似た息が漏れたのが分かった。
「......ガジェットを出してもいいか? 落ち着かない」
「えぇ、それは──大丈夫よ。『雄英』では私を始めとした監督者がいるもの。校内での『個性』使用は自由よ。もちろん、節度は大事だけど」
「......分かった。ありがとう」
流石に、数を出すわけにはいかない......か?
複数の
俺の場合、これも能力の一部である為、
本来なら動物の魂を用いるこのガジェット。
俺はまだ、こういった能力の一部に魂を宿せていない。
せいぜい、AI制御に近い自律行動が限界だ。
常に俺の意識下にあり、繋がりがある。
......生物的な動きができるようになるまで、割と苦労した。
「あら、それだけでいいの?」
「......あまり多く引き連れても、邪魔になるだけだろう。校内に放てる訳でも無いし」
「そうかしら......? 後三〜四体なら問題無いと思うわよ?」
「......そうか......?」
茜色をした、鷹を模したガジェット。
『ディスクアニマル』、『
ミッドナイトの前で、首を傾げさせてみた。
「......やっぱり可愛いわ〜! もっと出していいわよ! 私が許可しますっ!」
「......ありがとう」
では、お言葉に甘えよう。
まずは『メモリガジェット』を。
デジタルカメラ型のガジェット。
『ライブモード』という、コウモリを模した形態に変化する。
出した時点で、起動した状態に。
「コウモリ型のカメラ......カメラ型のコウモリ? え〜と、『バットショット』、だったかしら」
「......よく覚えてるな。正解だ」
次、『カンドロイド』。
名の通り、缶型のガジェット。
プルタブがスターターであり、引く事で起動する。
手の上に、赤い缶を出した。
「それは......『タカカンドロイド』、よね?」
「......正解だ。本当に、よく覚えているな」
「ふふっ。まぁね!」
鷹を模した形態に変化した『タカカンドロイド』を、『茜鷹』の傍に。
互いにお辞儀して、戯れ合うように飛ばせる。
ちなみに、『バットショット』は俺の頭の上に乗っている。
「本当に、生き物のようね......」
「......」
......その内、魂でも宿せれば、だな......
最後だ。
腰元に掌を模したバックルを出す。
更に
右手をバックルに翳す。
〈ガルーダァ! プリ〜ズ!〉
「わっ──ごほんッ。相変わらず凄いわ......
「......コレはな。他は別だぞ」
「分かってるわ」
空間に魔法陣が浮かび、プラモのランナーを模した物が出現する。
一人でにパーツが浮き上がって、鳥を模した姿を形成。
右手から
『プラモンスター』、『レッドガルーダ』。
「赤い方のガルちゃんねっ」
「......あぁ、その通りだ。凄いな、全て覚えているとは......」
「ふふっ!
「......充分だろう。よく覚えたな」
「......えぇ。その......ありがとう」
腰元のバックルを消す。
鳥系三体を戯れ合うように飛ばせる。
頭上の『バットショット』を動かして、仲裁するような動きを。
それぞれが鳴き声を上げて、会話しているように。
「は〜......可愛いわ〜」
俺の能力の一部であり、正直人形遊びに近い。
......ちょっと派手なおままごと、といったところか。
ガジェットを出すと感覚が広がる。
視点や身体が増えた様なモノだ。
......最近じゃ、出してないと落ち着かない。
「ところで、なんでこの子──『バットショット』を出したの?」
四体それぞれがコミュニケーションを取りながら、俺達の周りを飛ぶ。
近くに来た『バットショット』を指したミッドナイトに、鳴き声を上げながら近付かせた。
ミッドナイトが指先で突く。
反応を返す『バットショット』に、口元が柔らかく綻んでいる。
「......『バットショット』は、解析音波を放つ事ができる」
「音波......コウモリらしく、
「......そう。半径五キロの音波を検出する事もできる」
「......凄まじいですね......レディ・ナガンの最大射程距離が三キロですよ......?」
......敬語になってるぞ......
殆ど音を立てずに飛ぶ『バットショット』が、ミッドナイトの前でクルリと回る。
「......音波を放ち、解析する。それにより、周囲の三次元マップを構築する事もできる」
「うわぁ......プロヒーロー垂涎の能力じゃないですか......そんな事できたんですね〜......」
『I・アイランド』であれば、研究・開発もできなくはないだろうが......
......その場合、エネルギーはどうするんだろうな。
ツンツンと突くミッドナイトから逃げる様に、俺の頭の上に着地する『バットショット』。
『レッドガルーダ』と『茜鷹』が体当たりして落とした。
三体が言い合いを始め、その隙に『タカカンドロイド』が俺の肩に。
「こ〜ら。言い合いしないの!」
言い合いをしていた三体が、弱く短い鳴き声を上げて落ち込んだ。
「もう......ほら、こっちへ来なさい?」
優しく誘うミッドナイトに嬉しそうな鳴き声を上げて。
『バットショット』はミッドナイトの手の中に収まった。
『レッドガルーダ』と『茜鷹』が、俺の肩に居座る『タカカンドロイド』を見つけて動きを止めた。
愕然......と、いった感じで。
「あら......」
『タカカンドロイド』が一鳴き。
『茜鷹』と『レッドガルーダ』が抗議を始めた。
「ちゃっかりしてるんだから......ほら、あなたたちはこっちよ〜」
抗議する『茜鷹』と『レッドガルーダ』をミッドナイトが回収した。
『茜鷹』は渋々といった様子でミッドナイトの手に。
『レッドガルーダ』はミッドナイトの肩に乗って、『タカカンドロイド』に一鳴き。
ミッドナイトがしょぼくれる『レッドガルーダ』に笑った。
「......可愛いか?」
「えぇ、とっても! ──あっ」
顔が紅くなっていく。
......まぁ、実質俺が動かしてるからな......
四体もミッドナイトを見て各々反応する。
「......まぁ、可愛いならいい。俺も、お前の可愛らしいところを見せてもらったからな」
「......っ!」
「......ガジェットを出す許可への礼にはなるか......?」
「......その、はい......充分です......」
お返し、と言うには少し地味か......?
本人は満足そうだから、これでいいんだろうな。
──さて。
本格的に散策を再開しよう。
どこに何があるか、実際に目で見て肌で感じる方がいい。
熱心なファンじゃないが......せっかく実地にいるなら、堪能しない方がもったいない。
「......ミッドナイト」
「はぃ......──え、えぇ、何かしら?」
照れているのか、恥ずかしがっているのか。
まだ少し調子が乱れたままのミッドナイトは、それでも繕おうとしている。
「......保健室の場所を確認しておきたい」
「分かったわ──んんッ。行きましょう! 案内するわ!」
どこからどう繋がっているか。
動線の確認もしておきたい。
......それに、『バットショット』でマップを構築するだけじゃ味気無い。
\────\── 〈 ◯ 〉 ──/────/
遠く、高く、広く。
突き抜ける青、照らし出す光。
『雄英高校』の屋上。
標高の問題か、
「ここが屋上ね! 届出を出せば、ここで『個性』を使った訓練もできるわよ」
「......良い場所だな」
「気に入ったようね。よかったわ」
ここまでで、随分と口調に慣れたミッドナイトが笑っている。
四体のガジェットを飛ばして、それぞれからの情報を確認。
......生徒の多くが登校している。
そろそろいい時間か。
風が吹いた。
気持ちの良い風だ。
「......そうだ。とがねさん」
「......ん?」
屋上の真ん中で振り返る。
声音は酷く真剣で、見えた顔は柔らかく微笑んでいる。
長い黒髪が風に揺られていて。
「改めて。『雄英高校』へのご入学、おめでとうございます!」
「......ありがとう」
僅かに紅葉した顔。
「それから......制服、とても良くお似合いですよ」
「......そうか......?」
「はいっ!」
良い笑顔で言ってくれる。
未だにコスプレ意識が抜けない。
正直、『変身』するよりもその感覚があるが......
......まぁ、褒められて悪い気もしない。
「......なら、そうだな......」
せっかくだ。
「......写真でも撮るか」
「えっ!?」
俺の出したガジェットは、あくまで俺の能力の産物。
だが、データを記録したり出力したりといった事はできる。
息を吸って。
吐いて。
──よし!
「よし撮るぞ香山睡! 『バットショット』!」
「っ! どうせなら私のスマホでも撮っていいですか!?」
「いいぞ! せっかくだからな!」
あんなローテンションで写真撮ったりするわけねぇだろ! せっかくの機会がもったいねぇしな。
勢い良く香山睡と距離を詰めて、肩を組む様に抱き寄せた様子を『バットショット』で撮った。
スマホを出した香山睡に合わせて一枚。
その香山睡のスマホを俺が使ってもう一枚。
更に三体の鳥系にも手伝ってもらって、気が済むまで写真を撮った。
そんな様子を、更に外側から『バットショット』で何枚も。
いやー、便利だぜ。
屋上で二人、笑い声を上げながら。
良いね良いね! 『
香山睡が尊いっ!
──深く息を吐く。
「ふぅ〜......あぁ、満足」
「そのっ、ありがとうございます!」
「......俺も楽しんだ。ありがとう」
『バットショット』で撮った写真のデータを、香山睡のスマホにコピーした。
......直通だと、俺側で調整が必要な事を忘れていた。
「ふふふっ......! とがねさんの珍しいハイテンション......! 『雄英』の屋上で制服姿っ、二人きりでの写真......!! 超絶レアモノっ! さいっこうっ!!」
......まぁ、嬉しそうだしいいか。
コレ、一連の
テンション振り切れるか......? 鼻血吹き出してぶっ倒れそうだな......
「......ミッドナイト」
「──はッ! ごほんッ。えぇ、そうね。そろそろいい時間だし、戻りましょうか」
「......そうだな。案内してくれてありがとう」
屋上を吹き抜けていく風が、肌を撫でて髪を遊んでいく。
四体のガジェットを、俺とミッドナイトの傍へ。
「もぅ、お礼を言うのは私の方よ。楽しかったわ〜、ホントに。最後に最高のプレゼントまで貰っちゃったし♪」
「......俺一人の写真とか、いるか?」
「いるわっ!! 下さい!! なんでもしますので是非ッ!!」
......勢い。
食い気味が過ぎるな......
ちなみに、今言っているのは制服姿の写真の事だ。
「......分かった。後でグループに上げておく」
「ありがとうございますッ!!」
半ば拝みながら、勢い良く頭を下げられた。
......どうした......? なんかテンションおかしいぞ......
......オールマイトにサイン貰った限界オタクみてぇだな。
とりあえず、四体のガジェットを連れて校舎の中へ。
少し慌ててミッドナイトが追いかけてきた。
「──九條くん」
「......ん、どうした......?」
校内に設置されたエレベーターへ向かう中。
上機嫌なミッドナイトが隣で笑う。
「あなたの担任が誰かは教えないけど、仲良くしてあげてね」
「......あぁ、分かった」
「友達になってもかまわないわ! 教師と生徒を超えた関係......! くぅ〜......! イイわよね!」
一年A組の担任。
......まぁ、今はいいか。
ミッドナイトが今悶えているのは......趣味の方だな。
......ストライクゾーン、広がってないか......?
「──そうだ。『個性』を使う時は、ちゃんと許可を取ってほしいの。校長先生やオールマイト先生を筆頭に、警戒してる人が多いから」
「......分かった」
「......ごめんなさい。窮屈よね......」
窮屈も何も、許可さえ取れば良いんだから、緩い方だろう。
「......いや、警戒しない方が不自然だ。むしろ、『雄英』が
「......ありがとう。そう言ってくれると助かるわ」
『個性』の抑圧は、身体機能の抑圧と変わらない。
モラル、倫理観の統一されていない社会で、制限が掛けられるのは道理だろう。
......個人的に、民度に難があるとも思っているし。
後百年あれば、状況も変わるだろう。
「──まあ! それはそれとしてっ。九條くんがいるなら、問題が起こっても大抵はどうにかなるでしょうし! 心強いわ〜!」
「......問題起こすなよ......」
「万が一って事があるもの。もちろん私も尽力するけどね? いざって時はコキ使ってくれて良いわよ! コキ使って!」
エレベーターに乗り込んだ。
『雄英高校』とて絶対じゃない。
どんな異常事態が起こっても、それは有り得る事の範疇。
もしもの時は、全霊を賭すのみ。
『大切』を守ってこその『力』だ。
「......オールマイトが教師か......問題が頻発しそうだ......」
「まるでオールマイトが問題を起こしてるように聞こえるわよ? ソレ」
「......デカい
「オールマイトがいるから安心っ! ──とはならないか。校長先生も分かっているでしょうけど、一応伝えておくわね。警備を強化しておいてください、って」
......どう対策取っても超えてきそうな奴がいるが。
意識が変わるだけでも充分だろう。
「......頼もしいな、ミッドナイト」
「っ、ふふっ! でしょう? こう見えても、強くてセクシーで頼りになるプロヒーローなのよ?」
胸を張って、キメ顔で俺を見ている。
......セクシーというか、なんというか。
発想は面白いから好きだが......
「......すっかり立派になって......
「ちょっ......! ちょっと! ここで茶化すの!? やめてくださいっ! なんか恥ずかしくなるのでっ! というかとがねさんはジジイじゃありませんっ!!」
こういうところは、変わらず可愛らしい。
「──あっ、と。着き──着くわね」
「......そうだな」
紅いままのミッドナイトが息を吐いた。
エレベーターの動きが止まり、ドアが開く。
「よしっ! それじゃあ九條くんっ! 行ってらっしゃい!」
「......あぁ」
ドアを開けたまま。
まだ紅い顔で快活に笑うミッドナイト。
四体のガジェットを連れて、エレベーターを降りた。
振り返る。
俺をまっすぐ見つめる青い目に。
明るく笑う顔に。
「......行ってきます」
「──っ!」
ドアが閉まる前に、教室へ歩を向ける。
俺を見る視線はすぐに切れた。
......アレ、落ち着けるか......? いや、最初に振ってきたのはアイツだしな......
とりあえず、顔の紅みが落ち着く事は祈っておこう。
......がんばれ〜。
廊下を歩く中。
散策していた時と違って、多くの人の気配がある。
「......仕方ないか。『茜鷹』、『バットショット』、『タカカンドロイド』、『レッドガルーダ』。お疲れ様」
四体のガジェットを消した。
......まぁ、今後次第だな。
時間的にはこれから入学式だが、順当に入学式に参加するかどうか......
一年A組の担任が誰なのか、にもよるが。
......まずはクラスメイトに会う事を楽しみにしておこう。
下手に興奮して、妙な事を口にしないように気を付けないと......
淡々と歩いて。
教室に面した廊下で。
教室の入り口に向かって
......あぁ、なんだ。
ワクワクするな......
楽しみだ。