他作家様の作品と比べたらどうしようもなく読みづらい駄文もいいところですがどうぞご容赦くださいませ。
この世界「ゴンドワナ」で起きた人間と魔族の戦争。
人間は強い力を持つ魔族を恐れ迫害し、魔族は弱い人間を見下し差別する。この憎しみの連鎖によって最も被害を受けたのはそのどちらでもない「エルフ」だった。彼らは争いを好まず、森の中でひっそりと暮らしてきたが、人間からは「大人しいふりをしているが所詮は人外。いつ本性をむき出しにするやもしれぬ」と攻撃され、魔族からも「我らに近い存在でありながら日和見を続ける裏切り者」と追い立てられていた。
双方から敵対視されたエルフにとって、母なる森を燃やされ、安寧の地を求め逃げ惑うのは最早日常茶飯事であった。それでも、新たな森を見つけてはしばしの安息の日々を楽しむのであったが、今回は少し様子が違うようだった。
「人間!人間が倒れてる!」子供が叫んだ。
「なんだと、こんなところにももう人間が・・・」
「いや、待て。こいつ普通の人間じゃないぞ。黒髪黒目に黄色い肌、服装だって見たことのない鎧だ。奴らの仲間ではないんじゃないか?」
「知ったことか!どうせこいつも目が覚めたら俺たちを襲うに決まってる。今のうちにとどめを刺しておくべきだ!」
様々な意見が飛び交う中、ひと際威厳のあるエルフが言い放った。
「人間だからといって問答無用で命を奪っているのでは我々も奴らと同類ではないか。この男が目を覚まし、様子を見てからでも遅くはない。とはいえ気が進まないという者達の気持ちもわかる。責任を持って私の家で看病しよう」
彼はこの部族を率いる族長の「ティオール」だった。
「父上!?私は反対です!そんな得体のしれぬ人間など・・・」
「ティアナ、彼が敵かどうかはまだわからん。なに、もしも奴らの仲間だったとしても私がなんとかしよう。私の弓の腕前は良く知っているだろう?」
娘のティアナを諭すようにティオールがそう告げる。
かくして、不思議な鎧を着た男は族長の家に運び込まれた。
それから暫く後、男は目を覚ました。
「・・・ここは一体、いや、それ以前に俺は生きているのか?まさか助けられたとでもいうのか」
男が戸惑っていると、ティアナが現れた。
「目を覚ましたのね。さあ、貴方が何者なのか洗いざらい吐いてもらうわよ」
男は応えなかった。いや、応えられなかったといった方が正確か。
(この女子、何者だ。見たことのない髪や目の色、いや、それよりも尖った耳。大陸にだってこのような民がいるなど聞いたこともない。さては妖や物の怪の類か)
「ちょっと、聞いてるの?話したくないならこちらにも考えがあるのだけれど」
「・・・何者だ?我ら一門が滅び、最早味方などいない。かと言って源氏や法皇に俺を助ける理由もない。まさかお前が噂に聞く鬼というやつか?」
「質問してるのはこっちよ。ゲンジだのホウオウだの、訳のわからないことを言わないで。それにオニっていうのじゃなくてエルフよ。・・・あ、父上!彼が目を覚ましました!」
男がエルフとは何か聞こうとしたところで話し声に気づいたティオールが二人の下にやってくる。
「目を覚まされましたな。早速で申し訳ないが、あなたに聞きたいことがあるのです」
「それはこちらの台詞でもあるのだがな。まあいい。だが名前くらいは名乗ってもらうぞ」
「これは失礼。私はこの部族を治めているティオールといいます。こちらは娘のティアナ。ほら、挨拶をするんだ、ティアナ」
「・・・ティアナよ、さあ、私達は名乗ったわ。今度こそ貴方のことを教えてもらうわよ」
「ふん、まあいい。どうせ死んでいたはずの身だからな。俺の名は平教経。平清盛の甥といえばわかるか」
「ふむ、そのタイラノキヨモリというのは有名なのか?生憎、人間の社会には疎くてね」
「なに、叔父殿を知らぬとはここは日の本ではないのか。まさか大陸まで流されたとでもいうのか」
教経は大陸に渡ったことがない故、異国には耳の長い人間もいるのかと思ったが、口には出さなかった。
「流された?その言い方だと海にでもいたように聞こえるが、この森は海からは遠く離れていますぞ」
「ふむ、どういうことか。俺は確かに壇ノ浦で入水したはずだが」
「そちらの事情はよくわからないが、我々を追ってきたのではないということか?」
「なぜ俺がお前らを追う必要がある?大体、さっきそこの娘の言った『えるふ』というのすら知らぬのだ」
「なに?エルフを知らないと?ふむ、これは本格的に奴らの仲間という線は薄くなったな」
「父上!?エルフを知らないなどありえません!口から出まかせを言っているだけでしょう!」
「ティアナ、その可能性は低いよ。確かにエルフを知らないなんて普通じゃない。でも、だからこそそんな荒唐無稽な話をするメリットもない」
「ふん、男の方は幾らか物分かりが良いようだな。」
「疑ってすまなかったですな。我々エルフは森の中で静かに暮らす種族なのだがね、今は人間に追い回されているからその仲間だとおもったのです」
「先程の『奴ら』とやらか。なぜ追われているのだ」
ティオールはこの世界について教経に語った。
「全く、見知らぬ土地で目覚めたかと思えばまた戦か。彼奴らは強いのか?」
「はい。人間達の中心となっているのはロマニウス王国の軍隊です。質・量ともにかの国が主戦力となっているのは間違いありません。逆にいえばロマニウス王国が戦いをやめれば他の国々も追従するでしょう」
「魔族とやらの方はどうなのだ」
「魔族は人間達ほど躍起になってはいません。協力しないだけで邪魔をするわけではないとわかったのでしょう。それでも過激派からの攻撃はありますが・・・」
話しているとティアナが言った。
「ねえ、それを聞いてどうするつもりなのよ?」
教経はさも当然のように答えた。
「戦うのだ。ここが俺の見知らぬ土地であり、お主らも日の本を知らぬ以上は、このままお主らと暮らすしかあるまい。勿論、お主らがそれを許すのならだがな。」
「確かにあなたは鎧を着ていたし、弓や剣も一緒に落ちてたから戦士だったんでしょうけど・・・でもあなたは人間なのに、同じ人間と敵対しちゃうわ」
「人間同士の争いなど珍しいことでもあるまい。それに、仮にも目覚めるまで世話になった身だからな。この教経、恩を仇で返すほど落ちぶれてはいない。」
それを聞いたティオールはおずおずと尋ねた。
「戦力が増えるのは喜ばしいが・・・本当にいいのかね?」
「なに、心配無用。俺はこれでも平家一の猛将と呼ばれた男。源氏の大将、義経でさえ俺との勝負は避けたほどだ」
自信満々に言い放った教経は、ヨシツネとは一体誰か、また知らぬ言葉が出てきたときょとんとする二人をしり目に豪快に笑うのであった。
場所は変わりロマニウス王国はバルク神殿。ここで「勇者召喚の儀」が行われようとしていた。伝説によれば、世界が魔族の手に堕ちようとする時、異世界から「勇者」の称号に相応しい豪傑を召喚することができるのだという。尤も、「所詮、伝説は伝説。そんな眉唾物の話が本当であるはずがない。」とするのが貴族や王族も含めたロマニウス人の共通認識であった。逆に言えば、こんな馬鹿げた儀式を行うほどに魔族との争いが長期化し、民も軍も疲弊しているということでもあった。
「聖女エレーナの名のもとに命ずる。異世界の勇者よ、今一度その力で我らを救いたまえ!」
勇者召喚の祝詞が神殿に響きわたる。数瞬の後、床に描かれた召喚陣が眩いほどの光を放ち始めた。「まさか本当に起こるとは」という王国幹部の驚きの中、光の中に一人の男が現れた。
エレーナが言う。
「ああ、勇者様!よくぞ召喚に応じてくれました!」
男は自身に起こった不思議な現象に戸惑いながらも返した。
「俺が勇者とは、人違いではないのか。俺はただの負け犬だ。」
王国の者どもは困惑した。召喚されるのは勇者に相応しい豪傑ではなかったか。それがこの目の前にいる男は何だ。開口一番に人違いだの、負け犬だのと宣うこの卑屈な男が本当に勇者なのか。
「都から平家を追い出したはいいが、その後の治安維持に失敗し、法皇に切り捨てられ、挙句の果てに鎌倉の連中に無様に負けた。こんな男が勇ある者と呼ばれて良いわけがない。」
そう続ける男にエレーナが言い放った。
「勇者様の世界で何があったかは存じ上げませんが、それでもこうして召喚されたということは勇者様が勇者様である証拠に他なりません。どうか自信をお持ちください!」
「なるほどな。まあ仕方あるまい。何をしたのか知らんが、そうまで言って俺を頼ってくれているのならば、無下にするのも忍びない。なってやろうではないか、その勇者とやらに。」
ここで断れば兼平達四天王や巴にも失望されそうだからな、と男は心の中で呟いた。
「ありがとうございます。その言葉をお待ちしておりました。申し遅れましたが、私はロマニウス王国で聖女を務めております、エレーナという者でございます。勇者様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか。」
かつては朝日将軍とも呼ばれたが、ここが日の本でないのなら征夷大将軍としての呼び名も意味を成すまい。これからは勇者・義仲であるべきなのだろうと男は察した。
「俺の名か。俺は源義仲という者だ。武士たるもの、勇者の名に恥じぬ戦いをするとここに誓おう。」
便宜上1話としてますが、勢いで書き始めたため正直この先どんな展開にするか未定です。
故に第2話の投稿予定も未定。。。