異世界サモナー、神話の怪物達と人理修復に参加する   作:一般通過初心者作家

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はじまり

 まず初めに、明確に自分が夢を見ているという自覚があった。

 

 召喚獣たちの記憶を見てしまった時のような、自分が自分ではないような。

 そんな客観的で不思議な感覚が、真っ暗な暗闇の中にあった。

 

「……どこだ、ここ」

 

 見渡し限りの漆黒。ここが意識の世界なのだとしたら、これも誰かの記憶の中なのだろうか?

 

「いや、だとして誰の夢だ?」

 

 召喚獣の誰かの記憶ならもう少し明るいというか、最低限風景くらいはあると思ってたんだが。

 そこまで考えて、誰かの記憶ならそもそも俺の意識というか自我? があるのもおかしいと思いついた。

 

 え、じゃあホントにこれはなんなんだ?

 直前までの記憶を遡るも……頭にもやがかかったようであんまり思い出せない。

 思い出せるのは自分の名前と、召喚獣たちの事と、式や綾音にカイザーといった大切な仲間の事。

 

「……なら、世界を救うにはそれで十分だろう?」

 

 ふと、そんな声がどこからか聞こえた。

 

「誰だ?」

 

 周囲を見渡してもやっぱり誰も居ない。

 視覚的に見えないなら……と魔力を奔らせてみるも、気配はあるが場所が掴めない。

 

「別に、俺が誰なのかはどうでもいいだろう? アンタにはやらなきゃいけないことがある、俺はそれが伝えられれば十分だ」

「やらなきゃ、いけないこと……」

「あぁそうだ、この世界に巻き込まれてしまったアンタは、これから世界を壊す旅に出なきゃいけない。アンタにそれが出来るかな? ミソロジアの英雄さん」

 

 危険だ、そう直感した。

 あの世界で俺の過去について知ってる人は少ないし、仮にミソロジアの関係者だったとしてもこの声に聞き覚えはない。

 何よりずっと、敵意にも似た何かを感じていて……。

 

「――【ウェポンサモン】」

 

 呼び出すのは灼炎の杖、俺の持つ武器の中で魔法にも物理にも対応できる汎用性抜群の愛用武器だ。

 

「やめといた方が良い、アンタはもう既に俺の腹の中だ。無駄骨は折りたくないだろう?」

「……何が目的だ」

 

 状況が未だ掴めない俺の方が圧倒的に不利。

 相手に攻撃をする意志がないというのなら、俺も下手な手は打たない方が良いだろう。それに、不用意に戦いたいわけでもない。

 

「さっきも言っただろ、俺はただ忠告を伝えに来ただけさ」

「世界を壊す旅……ってやつか?」

「そうだ、異聞帯(他の誰か)汎人類史(自分自身)を天秤にかけて、他の誰か(自己犠牲)を選んだ人間には厳しいと思ってね」

 

 そう言われ、思い返すのはミソロジアの最期の記憶。俺が処刑された時の事。

 自分が助けた人々に思い出すのも辛い敵意を向けられ……それでも、俺は処刑される事を選んだ。

 

「……全く。涙が出るほど感動的だ、どこまでも英雄的で、だからこそ反吐が出る」

「――っ!」

「そう怒るなよ。いや、それは怒りというより後悔かな? 殊勝な心掛けだよ全く」

 

 後悔、そう言われて思うところがないわけではない。

 確かに、俺のその選択は沢山の仲間を悲しませる結果に繋がってしまった。

 元より覚悟はしていたけれど、やっぱり心苦しくて。

 でも、だからといって自分に出来ることはそれ以外思いつかなくて。

 ずっと引っかかってるし、悩んでいた部分だ。

 だからこそ今は召喚獣たちに悲しい思いはさせたくないし、体を返すためにも自分は大切にしないといけないと思っている。

 

「なら尚更、これからの選択はアンタにとって重いものになるだろうが――まぁ、精々足掻くといい。同じ終末に見初められた者同士、応援くらいはしてやるさ」

 

 その声と同時に、俺の意識は段々と遠ざかっていく。

 

「ま、目が覚めればこれも忘れてしまうだろうが……」

「待っ……て――」

「何、言われなくても待ってるさ、最果ての國でな」

 

 

 ◇    ◇    ◇

 

 

「バイタルチェック……問題なし、どうやら意識を失っているようですね。どうしましょうか、マスター」

 

 まだボンヤリする意識の中、そんな声が聞こえてきた。

 

「むしろ雪の中に埋まっていたにもかかわらず、バイタルチェックに問題がない方が気になりますね。警戒はしておきましょう」

 

 徐々に意識が浮上してきて……それと同時に瞼の向こう側から眩しい光を感じる。

 ぎゅっと目を瞑ってから、何度か瞬きをしつつ目を開けた。

 

「――マスター、どうやら目を覚ましたようです。こんにちは、どこか体調がすぐれないなどはありますか?」

 

 そうして視界に入ったのは、大きな盾を持っている少女と……どこか驚いた眼で俺を見つめている、黒髪の男性だった。

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