神殺しのデミゴット   作:ののじん

7 / 22
第7話 鈴の音を追う

 教会を出ると、光が強かった。

 石畳が乾いていて、足音がよく通る。人の声も増えている。祈りの声じゃない。商売の声だ。

 

 俺は胸の奥に残っていた重さを、息と一緒に吐いた。

 剣を抜かない戦いが始まる。そう思った瞬間に、背中が少しだけ固くなる。

 

 視界の端。

 さっきまで入口の近くにいた旅装の男が、外にも出てきた。距離は一定。目線が一定。

 偶然じゃない。

 

 護衛のひとりが、前を見たまま口を動かした。

 

「……付いている」

 

 俺は頷くだけで返した。

 振り向かない。見たと悟らせない。街ではそれが先だ。

 

 ヘルミーナ様が、声を落として言う。

 

「今は、動かない方が良いでしょうか」

「はい。動けば、こちらの意図が漏れます」

 

 返したのは護衛だ。

 俺はまだ、この街の手順を知らない。頼るべきところは頼る。

 

 ヘルミーナ様は小さく頷いた。

 

「分かりました。では、次の確認へ進みます。金鈴亭を外から見ます」

「分かった」

 

 俺たちは歩き出した。

 護衛は左右に散り、俺とヘルミーナ様を中心に“囲い”を作る。詰めない。離れない。

 街の護衛は、森の護衛と違う。

 

 通りを一つ、二つ。

 

 人の流れを裂かない。裂けば目立つ。

 護衛は俺たちの周りに“空間”を作るんじゃなく、流れの中に紛れ込ませる。肩が触れそうな距離で通り過ぎる人間を、手で押し返したりはしない。代わりに、半歩のずれで位置を変える。視線だけで先を読んで、危ない角度を潰す。

 

 俺はその動きを見ながら、妙な感覚になった。

 森では“脅威”がはっきりしていた。茂みの向こう。足音。鳴き声。

 街では脅威が薄い。薄いくせに、どこにでも混じれる。

 

 息を吐いて、視線を上げないまま背後の気配を拾う。

 まだいる。旅装の男。距離が一定。歩幅が一定。

 気づかれてもいい位置で、気づかれたくない顔をしている。

 

 護衛のひとりが、前を見たまま口だけ動かした。

 

「こちらの動きを見せたいんだろう」

「誘ってる?」

 

 俺が短く返すと、護衛は首を縦に一度だけ振った。

 

「誘うか、確かめたいか。どちらにせよ、焦らせたい」

 

 焦らせたい。

 分かりやすい。けど、そう言われた瞬間に背中の熱が引いた。

 焦らなければ、相手の狙いは半分潰れる。

 

 ヘルミーナ様が、声を落として言った。

 

「金鈴亭へ向かいます。位置は地図で掴んであります。外から見るだけにします」

「分かった」

 

 俺は余計な言葉を足さない。

 街では、言葉がそのまま相手の餌になる。

 

 通りの匂いが変わる。

 焼いた油の匂いが薄れ、乾いた木と、金具の匂いが混ざる。

 店が密集して、看板が増える。視線も増える。

 

 俺はなるべく視線を落とし、看板の端だけを拾った。

 見上げる動きは目立つ。慣れてない旅人に見えると、余計に絡まれる。

 

 角を曲がると、護衛が歩幅を少しだけ落とした。

 俺とヘルミーナ様の速度を揃える。全員が同じ“速さ”で動く。

 その揃った動きが、逆に目立ちそうになるのを、護衛は人波のタイミングでずらして消した。

 

 街の護衛は、細かい。

 細かいのに、見えない。

 

 やがて、視界の先に小さな看板が見えた。

 鈴の絵。金色の縁。

 文字は控えめだが、妙に目に残る。

 

 金鈴亭《きんれいてい》。

 

 俺は足を止めない。

 止めたら“見ている”と教えるだけだ。

 

 入口の脇に、男が1人。

 客に見えない立ち方。柱の影から、通りを眺めている。

 視線は泳がない。泳がない目は、仕事の目だ。

 

 窓はあるが、内側がよく見えない。

 薄い布が垂れている。中を隠すためじゃない。中を見ようとする視線を躊躇させるための布だ。

 俺は反射だけで、中の影を拾った。奥の扉の近くに1つ、カウンターの奥に1つ。

 

 護衛が小声で言う。

 

「外に1。中に2。今の時間は薄い。夕方は増える」

 

 ヘルミーナ様が頷いた。

 

「常駐ですか」

 

「常駐です。ここは、客より先に“見張り”がいる」

 

 俺は喉の奥で息を鳴らして、飲み込んだ。

 森の敵より、面倒だ。

 

 背後の気配が近づく。

 旅装の男が角を曲がった。俺たちを見て、看板を見て、視線を逸らす。

 隠す気がない。見せている。

 

 護衛が言った。

 

「見せることで、こちらが止まるかどうか試してる」

 

 俺は短く返す。

 

「止まらない」

 

 止まらない。

 それだけで、相手の狙いは少し崩れる。

 

 金鈴亭の前を、そのまま通り過ぎる。

 俺は敢えて視線を落とし、石畳の模様だけを見るふりをした。

 

 数歩離れたところで、ヘルミーナ様が小さく息を吐いた。

 

「確認できました。次は、備えです」

 

 護衛が頷く。

 

「薬屋へ。買う」

 

 俺はそこでようやく、腰の革袋の位置を思い出した。

 昨日の前金。借りた金。だが、今は“命の金”だ。

 

 薬屋は大通りの端にあった。

 香草と油の匂いが濃い。乾いた葉と粉。瓶が並び、光を受けて鈍く光る。

 

 店主が俺の装備を見て、次に護衛を見る。

 怖がるより先に、値段を計る目になった。

 

「回復かい。赤か、青か」

 

 護衛が短く言う。

 

「レッド。ミドルを2本。ロウを3本。ブルーはロウを2本」

 

 店主は棚から瓶を取り出した。

 濃い赤、薄い赤。青が2本。

 瓶の形が違う。ロウは細く、ミドルは太い。割れにくいように厚い。

 

「銀貨(小)で13枚だ」

 

 俺は革袋を握り直してから、口を開いた。

 

「分かった」

 

 革袋の口紐を解き、銀貨(小)を数えて机に置く。

 小さい銀貨が並ぶ音が、やけに大きく聞こえた。

 

 金が減る音。

 それだけで、この街で生きるって現実が、また一段近づく。

 

 ヘルミーナ様は何も言わずに見ている。

 止めない。代わりに、落ち着いた声でだけ言った。

 

「足りなくなりそうなら、言ってください。無理は不要です」

「……分かった」

「落とすなよ。……割れたら終わりだ」

 

 俺は受け取って、すぐアイテムボックスを開いた。

 手元に置けば目立つ。盗まれる。落とす。

 しまうのが一番安全だ。

 

 包みが消える。

 

 店主の目が一瞬だけ大きくなる。

 だが、すぐに何でもない顔に戻った。街の商売人は、驚きを長く見せない。

 

 護衛が低く言う。

 

「……今のは」

 

 護衛の声が、いつもより一段低い。

 視線は俺じゃなく、さっき包みがあった位置を見ている。周りに聞かせないための確認だ。

 

「アイテムボックス、か」

 

 俺は頷くだけで返した。

 

 護衛の眉が僅かに動いた。

 驚きはそれだけ。だが、動いた時点で十分だった。

 

「あまり人前では使うな」

「分かった」

 

 アイテムボックスは、リゼイルファンタジアじゃ当たり前だった。

 チュートリアルを終えた時点で、誰でも手に入る。荷を抱えずに済む、便利な機能。

 

 ――だから油断した。

 

 この世界では、それを“当たり前”として見てくれる相手はいない。

 今の一瞬で、俺の手札が1枚見えた。

 見えた以上、噂になる。噂になれば、狙われる。

 

 俺は息を吐いて、指先を握り込んだ。

 次からは、隠す。必要な時だけ使う。

 

 薬屋を出る。

 尾行の男はまだいる。今度は少しだけ距離が近い。

 わざとだ。こちらの反応を見ている。

 

 ヘルミーナ様が、前を見たまま言った。

 

「付いてきている方は、金鈴亭の方でしょうか」

 

 護衛が答える。

 

「濃い。だが、兄派閥の可能性も捨てない。……今は区別しない」

 

 俺は短く言った。

 

「泳がせる」

 

 護衛が頷く。

 

「同意だ。こちらも目を増やす」

 

 護衛が露店の前で一瞬だけ歩幅を変え、路地口に立っていた男へ視線を送る。

 同じ“仕事の目”が返ってきた。

 言葉はない。合図だけ。

 

 その男が人波に溶けて、尾行の後ろについた。

 

 二重になった。

 これで、夕方に繋げられる。

 

 ヘルミーナ様が静かに言う。

 

「では、宿へ戻ります。夕刻に備えます」

 

「分かりました」

 

 俺たちは人波に紛れたまま、来た道とは違う道を選んで歩き出した。

 

 護衛が先頭を歩く。

 道は狭い。露店は少ない。代わりに、洗濯物が干された裏路地が続く。

 人の生活の匂いが濃い。石畳の間に落ちた水が、乾ききらずに残っている。

 

 俺は背後の気配を拾う。

 尾行の男は、まだ付いてくる。距離は少し遠い。こちらが道を変えた分、慎重になったのだろう。

 その後ろに、さっきの“目”がいる。見えない位置で、見えている。

 

 護衛のひとりが、視線を動かさずに言った。

 

「宿へ戻る前に、周囲を一度だけ回す。……尻尾の動きを確かめる」

 

 護衛の声は小さい。

 だが迷いがない。街の手順として言っている。

 

 尻尾の動き。

 宿の場所なんて、もう見当が付いているだろう。

 確かめたいのは別だ。あいつが単独か、どこで合図を飛ばすか、どこで誰と繋がるか。

 

「分かった」

 

 俺は短く返して、歩幅を変えないまま呼吸を整えた。

 

 護衛は人波の濃い通りへ入った。

 露店が並び、立ち止まる人間が多い。視線が散る。音が混ざる。

 尾行が何かするなら、こういう場所だ。

 

 角を一つ。

 次に、もう一つ。

 

 わざと同じような路地を選ぶ。

 景色が似ると、尾行は焦る。焦ると、どこかが動く。

 

 俺は視線を落とし、足元の石畳を眺めるふりをした。

 反射と影で、後ろを拾う。

 

 尾行の男はついてくる。距離は崩さない。

 だが、角を曲がる度に一瞬だけ立ち止まる。

 確認している。俺たちが本当に宿へ戻るのか、それとも撒きに入ったのか。

 

 その“一瞬”が、癖だ。

 

 護衛が露店の前で立ち止まった。

 干し肉を手に取るふり。値段札を見ているふり。

 その間に、視線だけで後ろを見る。

 

 尾行の男は、少し手前で止まった。

 同じく露店を見るふりをしている。だが、買わない手だ。

 指先が、布の端を弄っている。

 

 俺はその動きを見て、嫌な予感を覚えた。

 合図だ。

 

 護衛が、ほとんど口を動かさずに言う。

 

「……来るぞ」

 

 何が、とは言わない。

 けど、俺には分かった。これから“何か”が起きる。

 

 次の角を曲がった瞬間。

 

 向こうから、荷車が来た。

 狭い路地にしては大きい。通りを塞ぐように、ゆっくり寄ってくる。

 

 荷を積んだ男が2人。

 目線が、こっちの護衛じゃなく、俺の腰――刀に一瞬だけ走った。

 

 ただの荷運びじゃない。

 “通せんぼ”だ。

 

 護衛が俺たちを一歩下げ、荷車との距離を取った。

 ぶつからない距離。逃げ道が残る距離。

 

 荷車の男が、わざとらしく言った。

 

「悪いな。道を空けてくれ」

 

 声は雑だ。けど、足は雑じゃない。

 踏み込みやすい位置に立っている。

 

 護衛が淡々と返す。

 

「狭い。先に通れ」

 

「いや、こっちが急いでる」

 

 荷車が、さらに寄る。

 後ろからも、人の気配が近づいた。

 尾行の男だ。距離を詰めてきた。

 

 挟む気だ。

 

 ヘルミーナ様が、声を落として言った。

 

「……ここで揉めるのは得策ではありません」

 

「分かってる」

 

 俺は短く返した。

 剣を抜けば終わる。けど、終わらない。ここは街だ。

 

 護衛が、ほんの少しだけ角度を変えた。

 俺とヘルミーナ様の前に、体を入れる。

 

「通れと言っている」

 

 荷車の男の目が細くなる。

 

「……怖い顔すんなよ。俺たちは運び屋だ」

 

 運び屋。

 その言葉が出た瞬間、俺の中で線が繋がった。

 夕方の小広場。荷が動く。運び屋。

 

 ここで俺たちの動きを止めて、夕方の準備を崩す。

 そういう嫌がらせでもあるし、確認でもある。

 

 護衛が、露店の影へ一瞬視線を送った。

 さっき二重尾行にした“目”が、通りの向こうで動いた気配がする。

 

 ――見ている。

 ――記録している。

 

 荷車の男が、わざと一歩前に出た。

 

「金持ちの連れならさ。通行料くらい――」

 

 言い終わる前に、護衛が低く言った。

 

「黙れ」

 

 声だけで、空気が止まる。

 

 俺は呼吸を整えた。

 剣を抜かない。

 でも、抜ける位置にいる。

 

 ヘルミーナ様が、静かに言う。

 

「私たちは急いでいます。道を空けてください」

 

 ですますじゃない。命令でもない。

 ただ、通ると告げる声。

 

 荷車の男は笑った。

 

「へえ。通るってか」

 

 笑いながら、荷車の陰からもう一人が出てきた。

 薄い革鎧。短い棒。

 武器だ。隠してない。

 

 ――戦闘になるか。

 そう思った瞬間、護衛が一歩だけ前へ出た。

 

「ここで手を出すと、街が騒ぐ。お前らの得にはならない」

 

 荷車の男の笑いが消える。

 そして、尾行の男が背後で小さく舌打ちした。

 

 俺はそれを聞き取って、確信した。

 こいつらは“喧嘩”がしたいんじゃない。

 俺たちの反応を見たいだけだ。

 

 護衛が続ける。

 

「道を空けろ。今はそれで済ませる」

 

 沈黙が一拍。

 

 荷車の男が肩をすくめ、荷車をわずかに引いた。

 通れる幅ができる。

 だが、完全には空けない。いつでも詰められる位置だ。

 

「……通れよ」

 

 俺はヘルミーナ様の横を一歩だけ前に出た。

 目立つ役。ここはそれでいい。

 

 刀には触れない。

 視線だけで、荷車の男を刺す。

 

 通り抜ける瞬間。

 荷車の陰の男が、俺の腰を見た。

 何を見たのかまでは分からない。だが、確認する目だった。

 

 ――見られてる。

 

 通り抜けたあとも、俺は振り返らなかった。

 振り返った瞬間に、“効いた”と教えるからだ。

 

 護衛が短く言う。

 

「……今のは牽制だ」

「分かった」

 

 ヘルミーナ様が静かに息を吐いた。

 

「夕刻までに、こちらの動きが読まれます。急ぎましょう」

 

 俺たちは歩き出した。

 宿へ向かう。

 夕方へ向かう。

 

 鈴の音は、まだ聞こえない。

 だが、影は確実に濃くなっていた。

 

 宿の裏手の通りに入ると、空気が少しだけ落ち着いた。

 人の流れが細くなる。声も低くなる。

 それでも視線は消えない。消えないから、逆に分かる。

 

 尾行の男は、まだ付いてきている。

 距離は遠い。近づけば、さっきみたいに“触れる”ことになるからだろう。

 代わりに、通りの端で止まって、俺たちを見送る形に変わった。

 

 護衛が小さく言う。

 

「……宿前で止まる。夜に動くか、夕方に合わせるか」

「夕方だろ」

 

 俺が短く返すと、護衛は頷いた。

 

「その可能性が高い。……今の牽制は、こちらの動きを測るためだ」

 

 宿の扉が見える。

 俺は足を止めない。止めないまま、位置だけ確認する。

 入口。階段。窓。裏口。

 森と違って、出入口が多い。だから守る場所も増える。

 

 中へ入る。

 扉が閉まると、外の音が一段遠くなる。

 

 護衛のひとりが先に上がり、俺たちを待った。

 もうひとりは最後尾で、階段の下を一度だけ見る。

 入ってくる気配がないのを確かめてから、上がる。

 

 部屋に入る。鍵をかける。

 この“鍵”があるだけで、少しだけ呼吸が楽になる。

 

 ヘルミーナ様が椅子に座り、落ち着いた声で言った。

 

「今の件で、相手は“触れる”気があると分かりました。ですが、まだ斬り合いにはしたくない。そういう動きでしたね」

「うん。反応を見てた」

 

 俺はそう言って、壁にもたれた。

 背中に硬い感触がある。硬いだけで、安心する。

 

 護衛が続ける。

 

「尻尾は宿を見ている。こちらは二重尾行を維持する。夕方、小広場へ向かう前に合流の癖が出るはずだ」

 

 ヘルミーナ様が頷く。

 

「侍女は、このまま宿に残します。危険が増えました。護衛の方、1名を付けてください」

「了解」

 

 返事は護衛がした。

 この人は“守る”を仕事として割り切っている。割り切れているから信用できる。

 

 俺は聞いた。

 

「俺は?」

 

 護衛が即答する。

 

「お前は小広場で“外”を見る。近づきすぎるな。目立つ装備は、遠目の抑えに向いてる」

「分かった」

 

 ヘルミーナ様が俺を見る。

 

「撤退も選択肢です。危険になったら、躊躇なく引いてください。あなたが倒れたら、私は前に進めません」

 

 言い方は丁寧だ。

 でも内容は実務だ。

 

「分かった。守るのが先だ」

 

 護衛が、小さく頷いた。

 

「合図を決める。言葉は使わない。咳払い1回で“動く”。2回で“引く”。目が合ったら頷くだけ」

 

 俺は頷いた。

 こういうのは分かる。戦闘の合図と同じだ。

 

 ヘルミーナ様が静かに言う。

 

「時間はどのくらいありますか」

 

 護衛が窓へ目をやった。

 

「あと1刻ほど。先に位置を取る」

 

 1刻。

 体感で言えば、短い。

 でも街では、その短さが勝負を分ける。

 

 俺は腰の刀を確かめた。

 抜かない。

 ただ、抜ける。

 

 ……ポーションも確認しておく。

 

 革袋を開けて、減った硬貨の重さをもう一度確かめる。

 次に、アイテムボックスを開く。

 視界の端にだけ、整列した瓶の表示が出る。

 

 レッド(ロウ)3本。

 レッド(ミドル)2本。

 ブルー(ロウ)2本。

 

 そして、最後に。

 

 ハイエリクサー、1。

 

 神話級ダンジョン攻略時に残った最後の一本だ

 使う場面は、来ない方がいい。

 最後の保険だ。

 

 俺は表示をすぐ閉じた。

 見て落ち着くのはゲームの癖だ。だが、ここで長く見れば、頭がそっちに寄る。

 

「参りましょう。軽く食べてから、日が落ちる前に位置を取ります」

「分かった。……先に整えよう」




アマテラス「おぬし、背筋が硬いの。
夕方だの尻尾だの、真面目に考えすぎじゃ。
飯を食うのじゃ、宿で腹いっぱい食え。
温い飯をきちんと腹に入れてから、鈴だの尾だの考えい。空腹の判断は、刃より危ういぞ」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。