たくさんの方に読んでいただいたみたいで嬉しいです!
これからも不定期ですけど更新していきますね!
「ーーい」
聞き慣れない女性の声、少し焦りを感じる。
「ーー先生、起きてください。」
声はより鮮明に聞こえる。
先生…?私の事…?
そういえば夢…?でもそう呼ばれた気がする…
どのような内容だったか…?確か…
「「……私のミスでした。」」
「「…大事なのは経験ではなく、“選択”。」」
「「この答えに繋がる選択肢を……きっと見つけられるはずです。」」
「「だから先生……どうか。」」
夢と思われる会話を思いだす…
だが、相手がどんな人物だったかは…思い出せない。
「さとり先生!!」
より鮮明に、よりはっきりその声が聞こえる。
少し怒気を含み始めただろうか…
何より私の名前を呼ばれた。
もちろん、私はこの声の主を知らない。
正直頭の中の混乱は収まらないが…起きたほうがよさそうだ。
目を開ける。
眩しい程の光と青く澄み切った空…そして若い女性が目に入る。彼女の背後の窓からは見たことないほど高い建物が建っているのが分かる。
黒髪の長髪…だが、髪の内側は青くなっている。
メガネ越しに鋭くこちらを見つめる青い目…
何より頭上に見慣れない光輪が浮いている。
「はぁ……。」
「……?」
彼女がため息をつく。
何故か呆れられているらしい…?
「少々待っていてくださいと言いましたのに、かなりお疲れだったようですね。」
「まさか、なかなか起きないほどに熟睡されるとは…」
そこまで長く眠っていただろうか…?
いや…そもそも私はこんなところにいた記憶は…
眠る前…確か私は妹を探しに…?
考えれば考えるほど思考はまとまらない。
「……夢でも見られていたようですね。」
夢…だったのだろうか…?
少なくともこいしを探しに行ったところまでは現実だ。
では…あの会話は…?
「こんな事を言うのも失礼かと思いますが、ちゃんと目を覚まして下さい。」
「今は一刻を争いますから。」
一刻を争う…事態は深刻なようだ。
彼女が話すたびに新たな疑問が湧いてくる。
私からも話をしてみるか。
「まさか居眠りをしてしまうとは…申し訳ありません。」
「それと少し…情報が混濁してしまっていて…もう一度説明をお願いできませんか?」
そう言いながら私はサードアイを向ける。
この目で数分前の彼女の記憶を見れば少しは情報を整理できるだろう。
「わかりました。では改めて説明をさせていただきます。」
心の声が聞こえる。
(本当にこの方で大丈夫でしょうか…見る限り私よりもずっと子供に見えますし…)
子供とは失礼な…!少なくとも私は貴方より数百年長く生きているというのに!
まぁ、彼女に悪気はなさそうですし大目に見ますが…
さて、より深くを見てみますか。
「…!!」
突如まるで電撃とも言える衝撃がサードアイから脳までを襲う。
私は咄嗟に頭を抑える。
「だ、大丈夫ですか、先生…?」
「え、えぇ大丈夫です。続けてください。」
彼女の深層心理を……読むことができない…?
表層の思考は拾える。
けれど、その奥……“本音の更に奥”へ踏み込もうとすると、針で脳を突かれるみたいに弾かれる。
読めなくなったというより…能力の性能が低下しているといったほうが良さそうですね。
無理をすれば深くまで見れるのでしょうが…控えたほうが良さそうです。
これからは不便になりそうだ…
「わ、分かりました。まず、私は
学園都市…?確か学園というのは寺子屋のような教育を受けるところ…?だったはず…
だとしたらこの巨大な都市が大きな学園の一部…?
もしくは幾つかの学園によって構成されている都市…?
キヴォトスというのはこの地の名前で間違いはなさそう…
後は連邦生徒会…全く聞き馴染みのない単語ですが、恐らくはこの地全体を管理する組織…といったところでしょうか。
心を深くまで読めれば容易に理解できるのに。
……本当に能力が万全でないのが困る。
これではいつもの“11点”とは言えませんね。
「そして恐らく貴方は、私たちがここにお呼びした先生……?のようですが…」
(本当に連邦生徒会長は…こんな子供を…?)
…この際、子供扱いされるのは一旦置いときますか…
確信が持てていないあたり連邦生徒会長というのが独自で進めていたのでしょう。
…せめて幹部ぐらいには説明をしておくべきでは?
少し質問してみましょうか。
「推測形ということは、リンさんも現状についてよく分かってないのですね?」
「…えぇお恥ずかしながら…先生に関する事は連邦生徒会長が独断でお決めになられましたから。」
「なるほど。ではその連邦生徒会長は何処にいらっしゃるのです?本来ならその人が来るべきだと思うのですが…」
「ごもっともです、返す言葉もありません。…ですが今…連邦生徒会長は席におられないのです。」
(いつか言わないといけないことですが…流石に混乱されている状況で失踪されたとは言えませんね…)
…キヴォトスのトップと思われる連邦生徒会長が失踪…?それかなりまずいのでは…?
リンさんの心遣いにも感謝しますが、今は後回しする状況ではないでしょうに…少し誘導してみましょう。
「席にいない…?体調を崩されたのですか?それとも怪我でしょうか?」
「それは…なんと言いますか…」
(かなり怪しんでいますね…言うべきでしょうか…?)
「…もしくは行方不明、失踪されたとか?」
「えっ……!?」
(嘘…なんで…知って…)
「図星のようですね。」
「…は、はい。現在連邦生徒会長は突如失踪され、その行方が分からない状況です。」
(先生は失踪の事を知っていたのでしょうか…?)
失踪の事を言ってくれたのはいいですが…
あらぬ誤解が生まれそうですね…どうしましょうか。
「先生は、連邦生徒会長が失踪されたと…何故分かったのでしょう…?」
(もし…先生が失踪されたことを知っているなら、連邦生徒会長の居場所を知っているかもしれません…)
「リンさんが席にいないと答えた時点で、考えられる可能性がその3つだっただけですよ。」
「そ、そうですか…変なことを聞いて申し訳ありません。」
(流石に…上手くはいきませんか…)
少しがっかりされましたが…知らないものは知らないですからね…
「いえ、大丈夫です。では、現状の連邦生徒会を率いている方はいるのですか?」
「はい、それが私です。」
「なるほど。リンさんが代行なのですね。分かりました、聞きたいことは以上です。答えてくださりありがとうございます。」
「い、いえ大丈夫です。…先生、いきなりになってしまいますが、これから先生にはやって頂きたい事があります。」
私にやって欲しいこと?…正直私にできることなんてなさそうですが…
「ですから先生、私についてきてほしいのですが…大丈夫ですか…?」
「ええ、もちろん大丈夫ですよ。」
「ありがとうございます、先生。」
(これが連邦生徒会長がお選びになった先生…)
(見た目から想像できないほど頭の回転が早くて…まるで見透かされるような感じがします…)
(これが先生の力…なのでしょうか…?)
私の能力に感づくとは。
…リンさん、中々勘がいいですね。
それからリンさんについて行き、えれべーたー……?
というのに乗りました。河童が開発した昇降機に近いものですが、明らかにこちらのほうが発展していますね。
流石にドアが自動で開くのには驚きました。
エレベーターの外側はガラス張りになっていて、街の風景が見えました。
先ほどの部屋から見てなんとなく感じていましたが、キヴォトスの街はかなり巨大で、幻想郷とは比較にならないほど発展しているみたいです。
リンさんが数字の書いているボタンを押すとエレベーターが動き始めました。
…河童が開発していたものよりかなり静かです。
それに操作も複雑ではないようです。
「先生、ようこそ“キヴォトス”へ」
「キヴォトスは何千という学園が集まっている…いわば連邦のような学園都市です。」
何千…?何千って言いましたか…?
このキヴォトスにそこまで多くの学園があるとは…
「キヴォトスは確かに連邦のようなものですが、それらを構成する学園は国のような役割を果たしています。」
「国…?ですか。キヴォトスに存在する学園一つ一つがですか?」
「はい。そのとおりです。」
「もちろん、これから先生が働くところでもあります。」
私が働く場所…ですか…
正直…幻想郷に帰りたいのですが…
…これ本当に帰れるのでしょうか?
「恐らく先生がいらっしゃった所とは違いが多くあり、苦労されると思います。」
多分何もかも違っていそうです。
心配しかないのですが…
「でも先生なら、心配しなくともすぐに慣れることでしょう。」
…本気で言ってますか?
私からすれば100年近くタイムスリップした感覚ですよ…
「なにしろ、連邦生徒会長が指名された方ですから。」
それほど信頼を寄せているとは…
連邦生徒会長はとんでもない人だというのは分かりますね。
「……それは後ほどゆっくり説明致します。」
チリンという音と共にエレベーターが停止しました。
ほんの数十秒で目的の階まで降りてきたようです。
ドアが再び自動で開きリンさんがエレベーターから降りました。
「さとり先生、行きましょう。」
「はい、案内お願いしますね。」
さとり「え、えれべーたー…?とは…?」
リン「えっ?」