――D.U.外郭地区、シャーレオフィス近郊
ダダダダダダダ!
ドゴォォーーン!!
「な、何よこれ!?」
リンさんに誘導され、シャーレ近郊に来た私達が目にしたのは、一言で言えば世紀末と言える惨状…
「まさか……ここまで深刻な状況になっているとは…」
銃を装備した不良が好き勝手に乱射し、爆発も所々で起こっている。
……キヴォトスってここまで治安悪いんですか……?
「何で私達が不良と戦わなきゃいけないの!!」
「サンクトゥムタワーの行政権を取り戻し、キヴォトスを安定させるためには、あの部室の奪還が必要ですから……」
「それは…そうだけど……!私これでもうちの学校では生徒会に所属してて、それなりの扱いなんだけど!なんで私が……」
ユウカさん、かなり不満に思ってるようですね。
まぁ…そうでしょう。誰だって面倒事は嫌いですから。
「申し訳ありません、面倒事に付き合わせてしまって……」
「せ、先生は謝らないでください!!」
[みなさん、聞こえてますか?]
リンさんから通信が届きました。
「リンさん、はい、聞こえてます。」
[状況がかなり深刻な様ですが…]
「ほんとよ!何で代行はここにいないわけ!!」
[私は皆さんのように強くありませんし、足を引っ張るだけでしょうから。]
「そんな事言ったら先生はどうなるのよ!!」
[……そうですね。先生は私達と違い、外の世界から来たお方。銃弾一発で致命傷に至ります。]
[ですが先生には、いち早くシャーレの部室に到着していただきたいのです。]
[皆さんにならお願いしてもいいでしょう?]
「わかりました、行政官。早急にシャーレの部室を奪還しましょう。」
「もう!先生を守りながら部室まで連れてけばいいのね!?」
[はい、どうか皆さんお願いします。ご武運を…]
リンさんが通信を切る。
別に銃弾くらいなら避けれそうな気もしますが……
当たれば痛いものは痛いですし、妖怪だとバレかねないですし……大人しく守られますか。
「私は主に後方支援担当なので前には出ません。」
「先生は、私と安全なこの位置に居てください。」
「戦闘は私達3人で行います。」
「主にユウカさんと私が前衛、後衛をハスミさんにお願いしてもいいですか?」
「「分かったわ(ました)。」」
「では、皆さんお願いします。」
行動が始まるとまず、ユウカさんが先陣を切り2人が後を追う。
一方、不良達もこちらに感づいたようで慌ただしく戦闘準備を進めている…
「かなり敵が多いようですね。」
「しょうがないわね…一気に行くわよ!!」
ユウカさんが発砲しながら前進、それを援護するようにスズミさんが投擲物を投げ…次の瞬間には
キィィーーーン
「うわっ!?」
「閃光弾か…!?」
つんざくような音と強烈な光が襲う。
「ま、眩しっ!?」
「ちょっと!閃光弾投げるなら言ってよ!!」
しかし…援護の為に投げられた投擲物は、一定の効果は出したものの、味方にも影響を及ぼしてしまった。
「痛っ!?こいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!?」
光で行動が遮られている間にユウカさんが被弾する…
どうやら、そこまで深刻な怪我はしていない…
妖怪でも銃弾を食らえば怪我は負うだろう。
キヴォトスの人の防御力は一体どうなって……
「ユウカさん、ホローポイント弾は違法指定はされていません。」
「うちの学校ではこれから禁止になるの!!傷跡が残るじゃない!」
「それはミレニアムだけでしょう。」
「お二人とも、話してる余裕はありません。奥からさらに不良が来てます!」
「ああっもう!どれだけいるのよ!!」
…かなり劣勢ですね。
人数で負けているのに加え、連携も不安定…
確かに個々の戦力が高くても、それを上手く活かせていないのでは……
再びユウカさんが前に出て、不良達と応戦を始める。
スズミさんが投擲物で、後方からハスミさんが狙撃による支援を行っているものの、状況は芳しくない。
ただでさえここは障害物が多く、相手が防衛・奇襲するには絶好の場所……
チナツさんは空中から支援を行っているようですが、戦況の変化に対応しきれていない様子。
(ああもう!眩しすぎて戦うどころじゃないわよ!)
(…先程から閃光弾がユウカさんの邪魔を……しかし投げなければ対応が間に合わない…!)
(お二人が敵と重なって…狙撃による支援が上手くできない…一体どうすれば……)
(ドローンによる支援が間に合いません…このままでは押し切られてしまう…)
不安な状況のこちらに構わず不良達はさらに攻勢を強めてくる。
不良達もスズミさんと同じように“投擲物”を投げ始めている。
その投擲物はユウカさんの後方に落ちる。
「うわっ!?痛い!痛いってば!!」
ユウカさんが不良に奇襲を受け、後退する…
……はっ…!?
今そこに後退しては!!
「ユウカさん!危ない!」
「えっ…!?」
ドゴォォーーン
投擲物がユウカさんのすぐ後方で爆破する。
ユウカさんは爆発で飛ばされ、障害物に体を強打する。
「ユウカ!大丈夫ですか!?」
「い…ったいわねぇ…!」
「い、今支援を送ります!!」
ユウカさんは…何とか大丈夫そう…ほんと耐久力どうなってるんですか……
「ユウカさん!立てますか?」
「は、はい、何とか立てます。先生!」
無線?とかいう物でユウカさんの無事を確認しました…
無事なようでよかった…
……ですが今ので完全に戦線が崩れました…
この状況では突破……いえ、包囲すらあり得ますね…
「相手が崩れてる!攻めろ攻めろ!!」
ドドドドドド
「クッ…!?下がりましょう!!」
三人が後退を始めようとしたその時
「させねぇよ!」
三人の後方から不良達が現れる。
……完全に包囲された…こうなっては……
「ほ、包囲されてるじゃないの!?」
「な、何とか突破を!」
駄目だ…こういう時無理に包囲を破ろうとすればそれは損耗を多くするだけ……
……仕方がありません。
あまり使いたくはありませんでした。
「せ、先生何を…?」
かなり身体に負担がかかるでしょうね。
なにせ、一人の心を深くまで読むのすら大変なこの世界でこれをするのですから。
「だ、駄目です。先生、下がってください!」
「チナツさん、私は大丈夫です。少し、下がっていてください。」
「せんせs」
「スペルカード発動!」
想起「恐怖催眠術」!!
スペルカードを発動し、消耗覚悟で不良達の深層心理を探る。
…なるほど…ここにいる不良達、苦手な弾幕が酷似していますね…
同じ相手にやられたのでしょうか…
…うっ…!……やはり負担が大きい…
読めば読もうとするだけ……強烈な頭痛が……
スペルカードでもないものを無理やり押し込む負担は想定していましたが…ここまでとは…
……しかしここで諦める訳には…いかない!!
分析完了…!いきます!
想起「終幕:イシュ・ボシェテ」!!
先生が突如前に出て、何か呪文のようなものを叫んだと同時、先生の後方から無数の弾幕…?のようなものが発生しました。
それは大小さまざまで…光り輝いていて…何より…
「綺麗…」
この世のものとは思えない景色でした。
その弾幕は真っ直ぐに不良達の元へ放たれました。
「な、なにこれ!?こっちに…いや私たちじゃない…?」
「ええ…どうやら不良達に向いているようです。」
「これは…一体…?」
「何だよこれ!!よけれ…」
「お、おい!…クソッ!」
「こ、この光弾…まるで…!!」
その弾幕が包囲していた不良達へと次々に向い、散らしていきました…
…先ほどから感じていた既視感……
まさかこれは……ヒナ委員長の…?
「はぁ、はぁ…」
打ち終わった後、私は足に力が入らなくなり地面に手をつく……
かなり無理をした。だが…包囲を企んでいた不良たちは一掃することができました。
しかし、まだ不良が多い…
…はあ…今は…何とか回復しなければ……
…あとは……せめて地形と味方の位置関係を俯瞰できるものがあれば……
「ち、チナツさん、何かこのあたりの地形と味方の位置関係を見られる物はありますか?」
「は、はい、こちらに…せ、先生、大丈夫ですか?」
「それに…さっきのは…?」
「大丈夫です…助かります。それと先ほどの説明は一旦後です。」
正直だいぶ賭けですが……今よりもマシになると信じて…
未だ身体は辛いですが、無理をしてでも立ち上がる。
「皆さん!聞いてください!!」
「せ、先生!?」
「何を…!?」
「い、今から私が戦闘指揮を取ります。私の指示に従ってください!」
「せ、先生が!?」
「指揮なんてできるのですか?」
「……正直賭けです!」
「それ大丈夫なんですか!?」
「やるだけやってみます。皆さん、どうか協力してください!」
「…分かりました、今から先生の指揮に入ります。」
「お願いします!先生!!」
「支援はお任せください。」
「ありがとうございます、皆さん!…では…」
「作戦開始です!」