さとり妖怪、先生になる   作:ルロイラ

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たくさんの方に読んでもらえているみたいで嬉しいです!
これからも頑張って投稿続けていきます!


序章6話 読心は風よりも速く

「皆さん、まず現在の位置から50メートル程の後退してください!」

 

「こ、後退ですか!?」

 

「はい、その位置では先程のように奇襲や包囲を受けやすい。こちらは個々の戦力では優位ですが、それ以上に敵の数が多いです。」

「少し下がり、防衛に適した場所で相手の戦力を削る…時間はかかりますが今はこれが最善です。」

 

「わ、わかりました!」

(まさか…この短時間でここまで思いつくとは……)

 

「チナツさん、相手の位置の監視はできますか?」

 

「は、はい!できます。」

 

「前線の3人は投擲物には細心の注意を払ってください!」

 

「了解しました。」

 

3人に後退を指示し、不良達の出方を複数想定しておく。

その中でも一番考慮しなければいけないのは、相手がまだ何か隠している可能性。

もしそうなら“ソレ”は追い込まれた時に投入してくるでしょう。

そして今はこちらが不利な状況、相手からすれば追い返すのに絶好のチャンスになる。

……それを逆手に取ります。

 

「後退、完了しました。」

 

「分かりました。ではユウカさん、スズミさんはその位置で不良達の迎撃を。ハスミさんは定期的に位置を変えながら狙撃による支援を行ってください。」

 

「「「分かりました。」」」

 

迎撃の準備は完了、あとは不良達が攻めてくるかですが…

 

 

「いけいけ!追い返すなら今だ!」

 

「相手も逃げ腰だ!このまま突撃だ!!」

 

 

どうやらその心配は杞憂のようですね。

戦闘開始から感じていたことですが、キヴォトスの生徒は基本突撃してくる。

恐らく死ぬことがないと分かっているからの行動…

死なないという前提は、戦術を単純化してくれます。

その習性、利用しない手はありませんね。

 

「敵、左右に分かれてこちらに向かってきています。」

「接敵するまでは約20秒です!」

 

チナツさんが敵の行動と具体的な時間を伝えてくれました。

 

「スズミさん、15秒後左方向、車の影に投擲物を投げてください!光るものです!炸裂後、射撃を開始してください。」

 

「せ、閃光弾ですね!了解です!!」

 

閃光弾というのですね。私も護身用に持っておきましょうか…

 

「ユウカさんは右方向を警戒、敵が見え始めたら射撃を開始してください。」

 

「わ、わかりました!」

 

「ハスミさんはユウカさんの支援をメインに、状況を判断しながらスズミさんの支援を行ってください。」

「チナツさんは3人の状況を見ながら空中から支援を行ってください。」

「もしできそうでしたら空中からの妨害もお願いします。」

「お二人はかなり難しい役ですが…頼みます。」

 

自分でもかなり無理を言っている自覚はありますが…

 

「分かりました。任せてください。」

 

…頼もしい。

これなら少なくとも突破されることはあり得ない。

 

「閃光弾、投げます!」

 

左方向へ閃光弾が投げられ、地面を転がり指示した位置に完璧に転がる。

視界に入っていないことから、不良達はそれに気づかない。

炸裂するまでおよそ5秒。

なんの警戒もなしにこちらに向かってくる不良達にそれは避けられるはずもない。

 

「よし、奴らが見え…!来るな!閃光弾だ!」

 

「なっ!?」

 

 

キィィーーーーン

 

 

不良達とほぼゼロ距離で炸裂した閃光弾は、不良達の視界を奪うだけでなく、一部の不良の意識を奪う。

炸裂後すぐにスズミさんが射撃を開始。

視界が奪われた状況で不良達がそれに対応できるわけがありません。

それどころか適当に乱射し、仲間に当てている始末……

スズミさんの方は最早大丈夫でしょう。

 

ユウカさん達の方も地の利を活かして不良達を迎撃していますが…少し押され気味ですね。

 

「先生、左から来ていた不良達は殲滅できました。」

 

想定より早く終わりました。

どうやら増援も無さそうですし、スズミさんもユウカさん達の援護に回しましょう。

 

「お疲れさまです。スズミさん、閃光弾を右方向から来ている不良達の集団の中に投げられますか?」

 

「な、中ですか…?」

 

「はい、不良達の前に投げればユウカさんとハスミさんを妨害をしてしまいます。かといって、後方では効果が薄い。」

「ですので不良達の中です。集団の中から混乱を起こせれば、大きく戦線を崩せます。」

 

「そういうことですか。わかりました。」

 

「ありがとうございます。では5秒後に投擲してください。その後はユウカさんの支援を行ってください。」

 

「わかりました。」

 

スズミさんが閃光弾を投擲。

 

「!?閃光弾だ!伏せろーー!!」

 

投げられた閃光弾は不良達の中に入り、炸裂。

中央が崩れた事で、前方の不良達の意識が大きくそれる。

その隙に3人で総攻撃を仕掛け、不良達を撃退。

…これで一段落です。ですが、サードアイで周囲の警戒は続けておきましょうか。

 

 

「突撃してきていた不良達の撃退を確認しました。」

 

チナツさんが作戦の完了を告げる。

 

「わかりました、皆さん作戦成功です。」

 

無線でそう伝え、チナツさんと3人の元へ向かいました。

 

「…なんだか、戦闘がいつもよりやりやすかった気がします……。」

 

「……やっぱりそうよね?」

 

「そうなのですか?」

 

「はい。先生の指揮、作戦のおかげで普段よりずっと戦いやすかったです。」

 

「なるほど……これが先生の力……まぁ、連邦生徒会長が選んだ方だから当たり前か…。」

 

少々過大評価しすぎな気もしますね。

しっかり作戦さえ練ればあの程度なら誰でも迎撃できそうな気もしますが…

 

「あの程度なら状況を見て作戦を立てれば、誰でも対応はできます。凄いのは皆さんが的確に指示に従ってくれたことです。」

 

「ですが、あの危機的な状況から冷静に、そしてすぐ最善策を出せるのは紛れもない先生のお力です。」

 

「もし私達だけだったら、あの包囲の時点で負けていました。」

 

「…そういえば、結局あの光弾何だったのかしら…?」

 

「不良達の姿も見えませんし、説明していただいてもいいですか?」

 

…まぁスペルカードの説明ぐらいだったら問題はないでしょう。

 

「あれはですね……」

 

私はユウカさん達に、弾幕とスペルカードの説明を行うことにしました。

第三の目(サードアイ)に映るこちらを狙う心に気づかないふりをして。

 

 

***

 

「よし、何とか奴らの近くまでこれたぞ。」

 

まだ気づかれていないな。

奴らが他に気を取られていて助かった。

 

 

「よくやった!そうしたら、指揮をしていた奴を撃て!」

 

「了解、任せな!」

 

気配を消し、照準を合わせる。

確か…あのピンク髪のガキか。

あのままいけば勝っていたのに……邪魔しやがって…!

許さねぇ!!

 

「いつでも撃てるぞ。」

 

「分かった。タイミングは任せる。」

 

***

 

 

「……つまりそのスペルカードっていうのは、必殺技みたいなものなんですか?」

 

「ええ、その認識で構いません。ただ、相手を殺すものではありませんけど。」

 

「凄い力をお持ちなんですね、先生。」

 

「私の故郷では一般的なものですよ。」

 

「……あの子達が聞いたらいい刺激になりそうね。」

(ゲームのアイデアが浮かばないって言ってたモモイに聞かせてあげようかしら…)

 

「ユウカさん、関係のない方に聞かせるのはどうなんでしょうか…?」

 

「あ、もしかして辞めておいた方がいいですか…?」

 

「そうですね……どうせそのうちバレると思いますし、大丈夫ですよ。」

 

「やった!」

 

「それより…今は別の事をしなければなりませんし。」

 

「…?別の事…?」

 

「先生、何か大事なことでも…?」

 

「ええ、大事なことですよ。」

「そうですよね?先程から私を狙っている狙撃手さん?」

 

「なっ…!?」

(気づかれた!?)

(いやハッタリだ、それに奴らは銃を向けてない!)

(撃つなら…今だ!)

 

 

「はぁ、馬鹿ですね。焦りに任せて撃つ弾丸など…」

 

引き金を引く決意を感じ、私は弾が撃たれる直前に横に飛ぶ。

 

ダンッ!

 

銃口から弾丸が放たれる。

気づかれた焦りからか、少し照準がズレたその軌道は、私が躱した事で横を通り過ぎる。

 

「この私に、当たるわけが無いでしょう?」

 

……とカッコつけたものの服に掠りましたね…

ま、まぁ当たってはいませんから!

 

「嘘だろ!?」

(何で躱せるんだよ!?)

 

「ハスミさん!」

 

「はい、見えています!」

 

ダンッ!

 

すかさずハスミさんが狙撃。

頭に当たり、そのまま気を失ったようです。

 

「ありがとうございます、ハスミさん。助かりました。」

 

「いえ、それより先生、お怪我は…?」

 

「私は大丈夫です。少し服に掠っただけです。」

 

「よ、よかった…いつから気づかれてたんですか?」

 

「スペルカードの説明をし始めるあたりから、気配は感じていました。」

 

「す、すみません先生。敵の監視は私の役目なのに…」

 

「大丈夫ですよ、チナツさん、私に怪我はありませんから。」

 

「ですが…」

(もし怪我をしていたら……)

 

「あまり考えすぎなくても大丈夫です。」

「それに、失敗したと感じたら次から気をつければいいんです。」

 

「…!はい、分かりました。」

(次は…絶対にこんなミスをしない!)

 

「期待してますよ、チナツさん。」

「少しゆっくりし過ぎましたね。リンさんも待っていることですからシャーレに急ぎましょう!」

 

「「「はい!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

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