ターニャ・フォン・デグレチャフ、下弦会議に出る   作:らら、

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#6 仲良く遊ぼうではないか!

思考が途切れる。

頭を撃たれた。撃たれたのは多分、目の前に刺さっている銃弾だ。

死ぬ。でも、まだ死んでない。まだ死ねない。アニキのとなりに立つまでは、死ねない。だから

 

不死川玄弥は眼前に刺さった銃弾に手を伸ばす。

自分にしかできない。自分だからできる、できてしまう。こんな力よりも呼吸を使えるようになりたい。でも、オレにはそれができない。

 

それを手に取り、口に含み、嚙み砕いた。

 

~~~~~~

 

多勢に無勢ではある。個として力がこの人間たちに負けている気は全くしない。それどころか、今までの鬼生活を振り返るに自分より強い存在の方が少ないのだろう。そしてその数少ない存在が上弦などと呼ばれる自分の上部組織、鬼舞辻と呼ばれていた女、そして『鬼殺隊』の”柱”と呼ばれる者たちだ。

 

とは言え数が多いと相応に面倒なものだ。特にこのように数がいると後ろまで警戒をしなければならない。

 

以前のように銃だけを使っていたならばこうならないように作戦を立てた。なぜなら、銃とは散弾式でもない限り多数を相手にするには向かない武器だからだ。多勢、それも接近戦など絶対に避けるべき状況だ。以前の銃でも一応先端に帝国の魔導銃よろしく小剣を取り付けていたのだが、あのような純粋な日本刀を相手にするには少々頼りない。

予備武装とはどこまでいっても予備なのだ。

 

そこで新たに近接戦闘用の武装を『血鬼術』を活用し作った。いきなり本番ではなく事前準備や訓練は余裕のあるうちに済ませるべきだろう。彼らにはその実験台になってもらおうというわけだ。

 

刀、日本刀という武器はなかなかに扱いが難しい武器だ。使いこなせれば世界規模で見ても指折りの切断力を誇るが、横からの衝撃にめっぽう弱く簡単に折れる。そんな武器を碌な剣道経験がない私が使いこなせる訳が無い。練兵過程でも剣やナイフの扱いは多少学んだが、やはり手になじんでいるのは魔導士として扱いに慣れた銃だ。

だが、幸いにもライン戦線で塹壕戦の経験を多少なり積んだ私には、使い慣れた信頼に足る近接武装があるのを思い出したのだ。

 

その近接用武装こそ

 

『シャベル』

 

である。

 

耐久性は十分だし、ただ力任せに振るうだけでも十分な威力を発揮する。特にこの力に溢れた体ならば私の想像を超えた破壊を与えることだろう。

先が尖っているおかげで刺突もできるし、土を掘る部分は薄いので斬撃も可能な上、向きに気を付ければ殴打武器にもなる。

帝国での非力な幼女生活では塹壕を掘るのに使う上、本体の重量に任せるだけで良かったという理由もあり愛用していたのだが、力が溢れていても有用とは、全く素晴らしいではないか!

 

向けられた剣先に怯む事無く創り出したシャベルを手に、私は高らかに宣った。

 

「さて、諸君らには訓練に付き合ってもらうとしよう。さぁ、この私と仲良く遊ぼうではないか!」

 

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力任せにシャベルを振るうだけでも風を切る音が荒ぶ。単純な暴力とはかくも素晴らしい。力量差が圧倒的であっても注意を怠るのは職務怠慢のようなものだ。特に彼らが使用する”呼吸”と呼ばれる特殊技能には注意しなければならない。

その特殊技能を私は自身のスキルアップのためにも是非に習得したいのだが、どうやら貴社の特色であるこの技術は社外秘らしい。情操教育の徹底に舌打ちなどしたものだ。

さっさと吐いてくれれば良かったものを話さなかったので尋問の最中に死んでしまったこともあった。無論、国際法の無いこの世界では拷問をしようが何をしようが罪には問われないのだが、したからと言って吐いてくれるとも思えなくなったというのが本音だ。

気弱そうな者が来たなら試そうと心のメモ帳に記しておく。

 

そして誠に残念ながら今回は私のお眼鏡に適うような者はいないように見える。

そのため情報漏洩の観点からもこの場にいる者には守秘義務を設けなければなるまい。口と一緒に人生も閉ざすことになってしまうかもしれないが、そこはご容赦願いたい。謝辞なら送ろう。

 

「般若波羅蜜多………」

「ん?念仏か?信心深い者もいるようだな。仏など存在しないが、それで心が安定するのなら価値もあろう」

 

縋るという行為は弱者がする行いだが、そのような者が存在するのは資本主義社会である以上仕方のないことだ。それを理解した上で、どうすれば社会的強者になれるかを考えるべきだ。

だが、この者たちは違う。自ら死地に飛び込んでおいて往生を願うなどマッチポンプも甚だしい。一向宗のようなタチの悪さがそこにはある。自らが心に抱く仏の寛容さにつけ込んだ傲慢な願いである。

 

私の周りには脳漿をぶちまけた人間が転がっている。

 

「やはり、か。最初に殺した男が柱と呼ばれる存在だったりしないものか」

 

手ごたえが無い。殺し甲斐がないという意味ではなく、上司に認められるような仕事をしたという実感がない。これではまだ、足りない。

 

 

どれだけ弱い人間だろうと喰らえば多少なりとも私の力になってくれる。私は転がった人間の腕を掴み、引きちぎった。

その時、立つ音がした。足で地面を踏みしめる音だ。

おかしい。全員殺したはずだ。

 

「般若波羅蜜多………」

 

先ほども聞こえた念仏だ。その声が大きくなる。

 

「まだ終わってねぇぞ、コラァ!オレの名前は不死川玄弥!お前を殺す、男の名前だァ!!」

 

犬歯がのび、開いた口からは唾液が垂れている。が、そんなことはどうでもいい。

 

何故、死者が生き返る!!!

そんな当然の疑問の後、私は以前にもこのような光景を見たことを思い出した。

それは第二〇三航空魔導大隊の指揮官として北方ノルデンに赴いた時のこと。墜落させた爆撃機のパイロットを捕虜にしようと降り立った時。死んだ協商国軍の体を簒奪し、”ヤツ”は現れた。

 

「またしても貴様か!!!存在X!!!!!」




今回のお話は『幼女戦記』をアニメだけで追っている方には少々馴染みの無いお話になってしまったかもしれません。
この話でターニャが使う武器を原作小説では使っていますので気になった方は原作を買いましょう!
確か二巻に記述があったと思います

日輪刀を構える隊士vsシャベルを構えるターニャ(轆轤)
絶妙にシュールだなぁと思いながら書きました
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