ビデオ屋バイトのハイエナ君   作:華風鱗月

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最近ヘビや魚…魚?人魚かな?や恐らく天使?のシリオンも増えてきたしハイエナのシリオンだって居てもええやろの精神の基、主人公はハイエナ君です。


ハイエナ君 始まりの物語

 大都市、新エリー都の街の一つで長年住みたい街ランキング上位を維持し続けるヤヌス区六分街。

 ここには様々な店が存在する。各地に店舗を持つマーケット『141』、学生達の日々の溜まり場『GOD FINGER』にカフェ『Coff・cafe』、食事ならチョップ大将が経営しているラーメン屋『滝湯谷・錦鯉』に行くのも良いだろう。

 

 そんな六分街にはとあるビデオ屋が存在する。店名は『Random pray』、二人の兄妹が経営するこのビデオ屋は大堂の作品から超マイナーな作品まで多種多様なビデオが存在している。

 

 そんなRandom prayの店内にて一人の少年がレジにて店番をしているボンプ、18号(トワ)を膝に乗せながら大きな欠伸をしていた。

 

「ファ〜…眠い…」

「ンナナ、ンナワタ?(ギン、また夜更かししちゃったんですか?)」

 

 大きな欠伸に18号が顔を上げて少年の顔を見る。少年は全身が黄褐色の毛並みに覆われ、黒い斑模様が所々に存在している。頭の上には丸く、可愛らしい形状をした耳が乗っており、口元は黒くなっている。彼の名はギン・ドロースス。新エリー都では極少ない珍しいブチハイエナのシリオンだ。

 

「そうなんだよ、昨日は2時まで起きちゃっててさ…眠くて仕方ないよ」

「ンナンナ?ワタンナ!(少し休憩します?しばらくは僕一人でも大丈夫ですよ!)」

「ありがとう、でも大丈夫だよ。寝不足なのは慣れっこだから仕事に影響はないさ」

 

 18号はギンの体調を心配して休む様提案をする。しかしギンは大丈夫だと答える。ギンの生活リズムが既に夜中まで起きるリズムになっている事もあるが、ブチハイエナのシリオンの特徴として彼等全体が夜型のシリオンである。その為、昼間は多少辛くとも既に慣れているのだ。

 

「と言っても今の時間帯はお客さん少ないから暇なんだけどね」

「ンナンナ(今日は平日だからいつもより少ないですね)」

「そうそう。何か起こってくれたら眠気も吹き飛ぶんだけどなー」

 

 例えばちょっとしたトラブルとか?と少し物騒な事を言うギン。しかしそう言ってしまう程に今日は客入りが少なく穏やかに1日なのだ。

 

「まぁそんなこと言っても実際に起こるなんて「失礼するわよ!店長達は居る!?」ってニコ?」

 

 突如として店の扉を勢いよく開け放ちドタドタと店内へと入ってきたのはピンク髪をツインテールに纏めた少女。彼女の名はニコ・デマラ、邪兎屋と呼ばれる何でも屋の社長をしている。

 

「店長達なら奥の部屋に居るけど…なんかあったの?」

「サンキューギン!ごめんけど説明してる暇無いから!入らせてもらうわよ!」

「え、ちょ、待って!」

 

 突然現れては店長の所在を確認し、居ることが分かった途端ギンの静止を無視してカウンター横を通ってすぐ後ろにある店長達が『工房』と呼んでいる扉を開けていくニコ。

 

 本来なら関係者以外立ち入り禁止である為、ニコを引き留めようとするが生憎膝の上に乗せていた18号が居たために、無理に立ち上がってしまえば18号を床に落としてしまい怪我をさせてしまう。そのせいでニコを止める事が出来なかった。

 

「もう見なくていいわよ!ニュースで言ってる爆発、あたしが当事者だから!」

 

 工房の中では店長達が何かニュースを見ていたらしく、店にやってきたニコは報道されている事件の当事者だったようだ。

 

 ニコは蛇兎屋という何でも屋と言いつつアウトローな稼業を生業にしている為、こうしてドタバタと慌ててRandomPlayにやって来たときは何かしらのトラブルを引っ提げて来る。

 

「はぁ、仕方ない。ちょっと外の様子見てくるから一旦降ろすね」

「ンナ(分かりました)」

 

 18号の脇に手を入れて膝の上から彼を降ろし、レジカウンターから出るとそのまま店の扉を開けて外に出る。店の外は温かな太陽の光がギンを迎え、眩しさ故か目を細める。

 

「んっ…グググッ…!はぁ…良い天気だな…」

 

 長い間レジ内で座っていたせいか関節が凝り固まっているのをほぐす様に猫背になっていた背を伸ばす。その際に周りを密かに見渡して行く。

 

(特に不審者らしき奴は居ない…ニコの奴、付けられてはいないみたいだ)

 

 周囲の確認をほどほどに店の扉に掛けられていたOPENの看板を裏返しCLOSEDに変えて店へと戻る。

 

「「今度は何をやらかしたの?ニコ」」

 

 店へと戻った瞬間、二人の男女が扉の直ぐ側で立っていた。男の方はの名はアキラ。高い身長に銀色が光る髪、その顔はRandomPlayへとやって来た女性達を虜にする甘いマスクをしている。

 少し心配になるほどにはひょろっとした細身のスタイルをしていた。

 女の方の名前はリン。青髪にギンよりも少しだけ身長が高く、その自信溢れる顔は活発な印象を見せている。

 

 彼等は兄妹であり、ここRandomPlayの二人店長…つまりギンの雇い主だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、外の様子をみてくれていたのかい?ギン」

「一応不審者らしき奴は居なかったですよ」

「お〜!やって欲しいことをしてくれる。流石ギンだね!」

 

 店に戻ってきたギンの存在に気が付いたアキラが柔らかな笑みを浮かべる。対して妹であるリンはギンの頭をわしゃわしゃと撫でつける。

 

「ちょ、リンさん褒めてくれるのは嬉しいけど、子供じゃないんですから撫でないで下さいよ」

 

 茶髪のセットした髪が乱される中、ギンは少し嬉しそうな顔をしつつもリンに不満気に苦言を呈す。

 

「えへへ〜ごめんごめん!なんかギン見てると撫でなくなっちゃうんだよね!」

「全く…」

 

 笑いながら悪気が一切無い謝罪をしつつも撫でるのを辞める様子が無いリン。そのやり取りは何時もの事なのかギンも辞めて欲しいと言いつつも無理矢理辞めさせようとはしなかった。

 

「ちょっと!緊急事態なんだからイチャつかないで!それと外の確認なんてしなくていいわよ!後も付けられてないし目も付けられていない。やっとの思いで十四分街から抜け出したのはあたし一人なんだから!」

「イチャつきって…そんなつもり無いんだけど」

「あたしから見たら十分イチャついてたわよ!」

 

 どうやらかなり切羽詰まった状況らしく、まったくもう!…と怒りを顕にして不機嫌になってしまったニコ。そんな彼女をアキラはどうどうと宥めつつ会話に切り込みを入れる。

 

「それで?何か用があったんだろう?ニコ」

「あぁ!そうだったわ。あんた達に依頼があんの!それもすっっごく大事な依頼!」

 

 アキラの言葉によって自分がなんの為にRandomPlayへとやって来たのか思い出した彼女は自分の身に起こった事を語りだした。

 

 その内容はギンは知り得なかったが、アキラ達が先程まで工房で見ていたニュースで報道されていた十四分街での事件らしく、どうやらとある依頼でニコ率いる邪兎屋は巷で幅を利かしているチンピラ集団、「赤牙組」からとある物を回収する仕事を請け負っていたらしい。

 

 そしてその際にとあるトラブルが起こってしまい…

 

「…それでビリーとアンビーがホロウに落ちたの。二人を助けて依頼人から頼まれたモノを取り返さないと!本当に緊急事態なの!あたしを助けてくれる人なんてあんた達しか居ないのよ!」

 

 ホロウとはここ新エリー都で発生する災害であり、ホロウ内ではエーテルと呼ばれるエネルギーで満たされ、そのエーテルの影響か空間はバラバラに繋がり、ホロウ外との通信も不可かつ、内部にはエーテリアスと呼ばれる怪物が闊歩する異空間となっている。

 

「ホロウ調査協会に救助をしたら?」

 

 そんなホロウに対し、ホロウの調査や人名の救助、エーテリアスの討伐等を行う都市公認の組織、「ホロウ調査協会」。助けを求めてやって来たニコに対し、その組織に救助を求めるという一番手っ取り早い提案をする。

 

 しかしニコは顔を顰め、躊躇する様に目を伏せる。

 

「あたし…今はまだ協会に目を付けられる訳にはいかないの。ホロウレイダーをやったってバレたら大変な事になるの…それにあの強欲な連中を満足させるには全財産の大半を投げ売っても足りないわ!」

「確かに。邪兎屋は常に赤字だもんな」

「そうそう…って煩いわねギン!」

 

 茶々を入れたギンに余計な事を言うなと言わんばかなりに怒鳴るニコ。事実、邪兎屋は暫くの間赤字経営である。

 

「はぁ…話を戻すけど、そんな訳でうちの従業員を放って置く訳にはいかないでしょ?」

「従業員を放って置く…か。ニコならやりかねない気もするけど」

「ふざけないでよ!あたしは収益の中から『社員事故救援予算』として大金を使ってるんだから!」

 

 「あんた達あたしのことなんだと思ってるのよ!」と先程茶々を入れたギンへよりも更に憤慨して言い返すニコ。

 

「と!に!か!く!あたしの依頼は簡単よ!うちの人間とあたしの依頼人のモノをホロウから無事に出してくれればいいの!典型的なプロキシの仕事よ。引き受けてくれるでしょ?パエトーン?それにギンも!この依頼が終わったらこれまでのツケを纏めて払うから!ギンから借りたお金も!ね!?」

 

 どうしてもと懇願するニコに対し、アキラ達三人を顔を見合わせ考えている。そんな三人の中で一番最初に口を開いたのはギンだった。

 

「ニコは友達ですし、ツケを返すって言う事はそれなりの大金が貰える依頼って事でしょうからやっても良いっすけど…お二人はどうします?」

「ん〜いいよ!取引成立!」

「ほんと!?」

「本当だよ。知り合いの頼みなんだし、それにギンがどうしてもって顔してるしね〜」

「えっ…!」

 

 ギン本人は「別に?店長達が断るなら俺は別にそれでもいいッスよ?」見たいな顔をしていたつもりだったがある程度付き合いが長いリン達からしてみれば通用しなかったらしく、ギンは少しショックを受け「そんな顔に出てました…?」と呟く。それに対しアキラ「うん、出てたね」と返し続けて

 

「まぁこちらとしては今までのツケをしっかり払ってくれるのであれば別に問題ないさ。その依頼受けるよ」

「えぇかなりのディニーを貰えるわ!」

「なら大丈夫だ」

 

 こうしてニコの従業員、そして彼女達が受けていたとあるブツの回収の道案内の仕事を引き受けることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おれそんなにも分かりやすいやつだったんですね…」

「いや〜単純に私達との付き合いが長いだけじゃないかな…?」

 

 

 アキラとニコが会話している後ろでそんな事を話している二人がいたそうだが。

 

 

 

 

 

 

 

 




ギン・ドロースス
ブチハイエナのシリオンの少年。

新エリー都では珍しいブチハイエナのシリオン。黄褐色の毛に黒い斑模様の見た目をした少年。口元部分は黒くなっている。頭の上に付いた丸い可愛らしい耳が特徴。
 
気怠げなダウナーな性格だが夜になるにつれてテンションが上がり始める夜型のシリオン。

背は低く更に若干猫背なせいでリンよりも10cmも低いのがすこしコンプレックスである。しかしハイエナのシリオンの特徴として男性陣は皆小柄になってしまう。 
数年前にリン達兄妹にとある事で救ってもらい、恩返しとしてバイトをしている。

趣味は音楽鑑賞ー特にロックやヘヴィメタを好む。



普段はRandomPlayのアルバイトをしているがその裏ではとある副業をしているとか…




因みにバイト中は店員である18号を膝の上に乗せて接客している姿が可愛いと密かに人気なんだとか。
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