VRMMOが大好きだった。すごくハマっていたゲームがあった。
ゲームこそが人生だった。
だから、転生して、VRゲームが無いことに絶望した。
そりゃ、ゲームや漫画、アニメはあるんだから、本物の中世ヨーロッパみたいなファンタジー世界に転生するよりはマシだったけど。
電脳世界で体を動かして遊べないっていうのは、もう五感の一つがないみたいに感じられた。それは言い過ぎかもしれないけど、娯楽の大きなジャンルがない感じ。
何やっていても満たされない。
あの安全なのに血湧き肉躍る戦いは、ゲームの中でしか味わえない。
絶望である。
ないなら作ればいいと思い立ち、理工系の勉強を初めて、特待生で結構いい学校に通えている。16歳の誕生日の朝、土曜日に俺は彼氏の元へケーキを持って尋ねた。
俺の名前は谷井 真影。
彼氏の名前は山野 空也。空也は不良で音楽家で漫画家でもある。
目立つ赤毛のいかにも不良って感じだが、顔は最高。
ああ、多趣味なのは電脳世界で時間加速すら可能になった前世では当たり前の事だった。俺もイラストが得意だし、小規模ゲームが作りたくて理工学や医学、プログラムの勉強を詰め込んでたりする。
空也は俺と同じ前世持ちで、前世のクランメンバーで、前世のゲーム内の旦那である。なお、ゲームキャラは両性がデフォである。
俺達は、すぐにビビッと互いがわかって意気投合して、それから付き合い始めていた。
空也の家でケーキを食べていると、ファンファーレが鳴った。
『魔王退治の報酬が受け取り完了しました!』
『体に起きていたエラーをデバッグ。お詫びとして強化と予備知識を付与しておきました!』
『これからもクエストを受理しますか? Y/N』
「「は?」」
その瞬間、魔法の知識やアイテムボックスの使い方の知識などが流れ込み、体が作り変えられて行くのが感じ取れて、クラクラして横になる。
目覚めた時は、もう夜だった。
アイテムボックスの中身がわかる。ゲームアイテムだった。
どうやら、以前やっていたゲームはゲームじゃなかったらしい。
そう言えば、ゲームの中に転生チケットとか、来世再会の誓いのアイテムがあって使ったわ。もちろん旦那に。
望めばゲームキャラにも変身できるようだ。
体には、薄いもや。この世界特有の「力」。常人には見えない、人を食らう生き物、それに相対するための力。
「普通の現代社会じゃなかったのかよ……」
声が震える。また、戦いを楽しめる。
そう考えると、自然と口の端が釣り上がっていった。
「怖いのか?」
「まさか」
立ち上がり、クエストの選択肢のYをタップする。興奮のままにキスをした。
「明日、二人で遊びに行こーぜ?」
「ああ、真影。まずはこの辺りの偵察だな」
そして、俺達の冒険は始まった。
マシュマロ
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