良くあるゲームトリップものじゅじゅ風味   作:かりん2022

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臨時講師

 唐突に、大学費用は出せないと言われました。

 うちって裕福じゃなかったのか……。

 あまりのショックに、兄弟の事を追求するのをやめてしまった。

 というか、兄弟いたのって聞くの勇気いるしね。

 藪から蛇を出したくない。

 

 代わりに差し出されたのが、全寮制の中高大一貫校のパンフレット。学費がとっても安いらしい。

 いや、これじゃ欲しい資格とれんやろ。大学行きゃいーってもんじゃねーぞ。

 ええ? 世間体のために絶対入学してくれ? 困るなぁ……。

 普通の国公立大に奨学金申し込んで入学じゃ駄目?

 えっ 期限もう過ぎてる? この学校に行きたいって前々から言ってたんだから、学費がないなら教えてくれよ……。

 

 凹んでいると、空也も同じ状況らしい。

 パンフレットを見ても、何を学んでいるのかよくわからないし。

 なんだか強烈にプッシュされて困惑気味だ。

 家を出て、自立しようと相談した。

 まずは短期のバイトを見つけないとどうしようもない。

 そこで約束を思い出す。12万円あればとても助かる。

 

 まずは、4月1日の約束を果たそう。来ているかどうかはわからないけれど……。

 ついでに変装代わりにおしゃれしていこ。

 入学式? 行かないよ、当たり前だろ。怪しすぎる。

 第一、朝7時集合とかふざけてんのか。

 そんなわけで、4月1日、エイプリルフール。俺は荷造りをして、もう家には戻らないつもりで、空也と約束の地へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 約束の地。

 

 

 

 

 

 お屋敷は消えていた。

 お屋敷は消えていた。

 凄い破壊のあとである。まあ、変身すれば同じことはできるけどさ。

 しかも、なんか沢山人がいた。ただならぬ雰囲気である。

 しかも皆さん、何やらコスプレしてる。

 俺達は恐る恐る声をかけた。

 

「ここで何かあるのか?」

「うおっ!? 君、新入生かな。他組織の人が、稽古つけてくれるらしいんだよ」

「そ、そうか……」

「ハニー、クエストが出てる」

 

『退魔組織の人達102人をレベルアップさせてあげよう!』

 

数多っ そりゃ人数指定してなかったけどさぁ!

 

「あ、はは……」

「え、ハニーってもしかして講師の人?」

「えっ その、そうだよ! こんな大人数なんて聞いてないけど!?」

「こんなオタクみたいなのが指導かぁ?」

 

 ムキムキマッチョが覗き込むのを、空也が庇ってくれる。

 

「ハニーに何ガンくれてんだよ。準備するから、時間までちゃんと待っとけ」

 

 話していると、着物姿の人が寄ってきた。

 

「あ、来ましたか? 私は学長の由良木 現と言います。10月は当校の生徒がお世話になったそうで、ありがとうございます。勝手ながら、稽古をつけて頂けるということで、是非見学させていただきたいと思いまして。もちろん、参加させていただけたら嬉しいです。本当は事前に連絡したかったのですが、連絡先を聞いておらず、すみません」

「あー。今回だけ稽古はつけるけどよ。困るぜ、こんな」

 

 それでも今回だけは稽古つけるダーリンの優しさ。

 っていうかそうしないと引っ込みつかないけどさ。

 

「あ、これ今回の授業料と名簿です♡」

「……しゃーねーな」

 

 ドサッと大金を渡される。俺は空也からそれを受け取り、数えて収納する。306万。しゅごい。二人暮らしが余裕で出来ちゃう。でも、アイテムも使うからそれ以上に散財させられるんだよなぁ。用意してたメニューは、身内含む4人だからって理由で結構豪華だ。でも、いきなり別メニューを、と言っても思いつかない。このまま行くしかない。クエストのご褒美に期待。

 空也は、皆にどいてもらって大きな魔法陣を書いた。

 そして、魔力を注いでいく。

 

「あー。じゃあ、午前は順番に見ていってコースを言ってくから、そしたらハニーのとこに行ってコースをメモに書いてもらって受け取ってくれ。授業は午後。俺より強いのもいるだろうし、お互い、とどめを刺さないようにしよう。軽く実力を見ていく。順番にその魔法陣のこの部分に立ってくれ。あと、力を制御できないのがいたら別で見るからそっちで待機。 待ってる間は組手でも勉強でも好きな事しててくれ」

 

 そして、一人目が立った。互いのシャドウが顕現する。

 戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お昼近く。空也はグロッキーになっていた。無理もない。

 

「ぜひゅー、ぜひゅー」

「ダーリン、大丈夫?」

 

 俺は空也に水筒の水を飲ませる。たんなる100人切りではない。

 実力をある程度吐き出させつつアドバイスを入れての100人切りである。

 勝負が付く前にコースを決めることも多いけど、それでも負担が大きい。

 

 まだ、指導待ちの教師が6人もいる。その後、制御できない子3人も見ないといけない。

 

「残りは変わろうか? 勝負がつくまでやるわけじゃないし」

「ハニーを、一人で、戦わせねぇっ……」

「ダーリン、男前♡」

 

 俺はゲームアイテムを出して、回復してもらう。ダーリンのためなら惜しくない。

 

「サンキュ。次の人位置について」

 

 ようやく息を整えたダーリンは、教師に指示をした。

 

「いやー、凄いね。ダーリン強い。でも、僕も生徒に良いところ見せたいから、頑張っちゃうよ」

「勝ち負けじゃ、ねーし。ある程度、実力を見たら、すぐ止めるから」

 

 ストレッチしてやる気十分の教師に、ダーリンは息を整えて、再度戦いに身を投じた。

 

 待ち時間長くて暇だろうなと思ったが、全員が真剣にクラスメイトの戦いを見ているし、アドバイスを聞いている。

 すごい子は真剣にメモをしているし、なんなら動画にも取っている。シャドウはカメラに映らないけど、ダーリンのアドバイスは記録できるからね。

 実況とかして、ちゃんと見返したときに思い出せるよう努力してるのもすごい。

 

 さて、戦いだ。

 教師の出した、細身の格好いい道化師のシャドウが素早く迫る。早いっ

 

「シールド」

 

 空也のシャドウの前に、壁が現れて防ぐ。ドレインしたスキルである。

 

「ここからは、絡め手も入れてくな。出ないと実力見る前にこっちがやられる」

「ダーリン、格好いいー♡」

「……へぇ。じゃあ、胸を借りるとしようか!」

 

 教師の空気が変わった。

 向かってくるのを、空也のシャドウが真正面から受け止める!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いやー。先生組超強い。

 なんとか六人降した後に、魔法陣に手を加えて制御できない子を一人ずつ呼んでいく。なんだか凄いものに憑かれている子が一人、潜在能力が物凄い子、それに加えて制御力がちょい低い子の三人だった。

 この子らは二人がかりでデータを取って、昼食タイム。

 皆、興奮気味に午前のシャドウ戦について話し合っててキャッキャ。

 

 もちろん、講師である俺達には暇はない。

 まず二人がかりで、初めの魔法陣を消す。

 3人の能力を鑑みて、制御の腕輪の作成が俺。

 コースの人数を正の字でメモしておいたので、その人数に合わせてコースの準備が空也である。

 

「まず、Aコース! この魔法陣は、5人ずつ入れるから、協力して次々と現れるモンスターを倒せ! 1時間で交代!」

「次、Bコース! 同じ! 油断して死ぬなよ!」

「Cコース! 同じ! ただし、協力しないと倒せないぞ!」

「Dコース! 制御出来ない野郎どもはハニーのおっぱい吸ってろ!」

「Eコース! タイマンでボス戦!」

 

 一応、先生の面子を考慮し、先生は全員ボス戦である。

 

 Aコースは設置された魔法陣から弱い方のスライム的なのがもりもり出てくる。

 わあわあと楽しそうに頑張っている。

 

 Bコースはもうちょっと強い魔物が出てくる。

 割と必死に戦っている。連携が重要だぞー。

 

 Cコースは中ボス戦だ。

 下手すると大怪我するし、戦略が必要。

 自主的にチーム決めとかして挑んでいた。さすがだ。

 

 Eコース。先生のシャドウと巨大な刃で出来た蜘蛛が睨み合う。

 

 A~Cはレベルが上がり、Eはスキルが付与される。勝てばな。

 

 そして、Dコースである。

 制御できない組は14人。3人より増えてる。全くの素人とか、制御が甘い子達だ。影二もここに入る。というか、何故初めから制御できないチームに行かなかった、弟よ。素直に自己申告しなかった子は腕輪なしです。

 

「じゃあ、三人は俺の作った腕輪をした上で授業をして欲しい。まずは、敷布の上で、瞑想してくれ。自分の内面世界に潜っていけるから。自分と向き合うことが制御の第一歩だ……。後、それ以外の子はまず自分の力量を知ることから始めよう。順番に見ていくね……」

 

 俺がバブちゃんの面倒を見ている間、空也が全体の様子を見て、召喚魔法陣に魔石を追加したり、死者が出来ないように気を使う。

 

 17:00。地獄のような(講師が)ハードな授業が終わった。

 2人で魔法陣を消していく。

 

 その後、新たに召喚魔法陣を描く。

 

「よーし、皆さん、水分補給してください。今度は、シャドウ無しで、軽く戦ってもらいます。強くなった直後が加減がわからず一番死にやすいので、気をつけてください。十人ずつ、十分戦ったら今日の授業は終わりです。Aコースから」

 

 弱い魔物を徐々に強くしつつ、10分交代で生徒を入れてかえていく。

 全員、なんだか強くなったみたいだと驚いている。

 先生方には、変わった体の感覚についていけない人も。気をつけろよー。

 

 そして、見事にクエスト達成。たっぷりと報酬を得られた。

 

19:00。召喚魔法陣を消して、ちゃんと全ての魔法陣が始末できてるか確認。一人一つ、熟練度上げで作ったアクセサリーをプレゼントして終了した。

 

 日も落ちて、もう真っ暗だ。

 

 最初に絡んできたムキムキマッチョが近づいてきた。

 

「ハニー! 結婚して欲しい!」

「俺の前でハニーを口説くとか舐めてんのか」

 

 空也が怒ってゲシゲシと蹴る。ムキムキマッチョはDコースだったのだ。

 お前そんな鍛えてるように見えてDかよ。

 

 それから、ぞろぞろとバスへ乗り込んでいく。

 駅まで送ってくれるということで、ありがたく頷いた。

 何せ真っ暗な状態で徒歩で大荷物担いで下山とかやめてほしい。

 夜行バスする事になったバスの運転手さんはごめんね。この人数と思わなかったから……。

 揺られていると、眠くなってきたな……。駅まで少しあるし、眠ってしまうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 起きたら学校だった。

 勧められてい寮生の中高大一貫校だ。ちょ……!?

 




マシュマロ
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